ジャラ…ジャラ…
「ン…?」
鎖の音がして目が覚める
(寒い…)
「起きたか」
嫌な声、でも聞き慣れてしまった声が聞こえる
「…」
私はゆっくりと起き上がった
「おはよう、シア」
「…」ボーッ
「まだ喉の調子が悪いみたいだな、昨日は無理をさせたか?」
(蹴り飛ばしたい、殴りたい…)
でも、ほんとにそんなことをしたら私の首が飛んでしまう
いや、首が飛ぶくらいならまだ優しい方なのでは?
なんたって、この方は魔界を統べる王なのだから…
「ハハハ!そんな不服そうな顔をするな」クックッ
魔王はとても愉快そうに笑う
そんな笑顔を見るととても敵地ならば女子供まで殺してしまい私を攫い無理矢理人を殺させ、そんな私を嘲笑いながら妃にした様な男には見えない
「まだボーッとしておるな…やはり無理をさせたか」
あぁ、勘違いしそうだ
私はまだ利用価値がある。だから死なれては困るから心配しているんだ
「だ…ぃ…じょブ」
「何処がだ?声がカスカスでは無いか。」ハァ
ため息を付かれてしまった
「無理もない、昨日あんなに歌ったのだから。」
魔王はそう言い私の頭を撫でる。
「め…わく…ごめ……い」
カスカスな声で謝罪をする
「気にするな。倒れたことには驚いたが迷惑なんぞとは思っておらぬ。」
(悪かったわね。人間は貴方達より脆いのですよ…)
「そうかそうか、それは悪い事をしたな。確かに人の子はたかが風邪で死んでしまうものなぁ?」
(私の心を読まないでください…)
「勝手に聞こえてくるのだよ」フフフッ
ぜっっっっったい嘘!
ココ最近は心を読んでくることが少なくなったから油断してた…
「しかし、お前はいくら人間と言えど我が直接力を分け与えておる。そう簡単に倒れることも無いと思っておったのだが…」
(まだ力が完全に馴染んでいないのですよ…)
「ふむ、そういうものか…」
何故か納得いってなさそうな彼を横目に私はベットから降りる
「もう良いのか?まだ寝ておっても問題は無いぞ?」
(ご心配どうも、けれどこの後の舞踏会には私も参加しなければならないのでしょう?)
「…そうだな。早く準備を済ませるように。」
そう言って部屋から出ていく彼にお辞儀をする
彼が出ていくと入れ違いで侍女が入ってくる
「失礼致します、シェアリーン様。」
「オ、ハヨゥ…」
「はい、おはようございます。お声がかすれておりますね、お着替えをされている間に別の者に蜂蜜レモンでもご用意させましょうか?」
「…」コクコク
「フフッ、ではそのように取り計らいます。」
…笑われた。流石に17歳で蜂蜜レモンが好きなのは子供っぽかったかしら?
「シェアリーン様、本日はどの様なお召し物になさいますか?この後に舞踏会も控えておりますので、もうそちら用のものに着替えてしまいますか?」
「…」コク
早く済ませるように魔王に言われたから丁度いい
「かしこまりました。ではすぐにお持ち致しますね。」
そう言って侍女は出て行ってしまう
パタン…
「…出てきたらどうかしら?」
シーン……
「そこに居るのは分かっているのよ、ジル」
「…なんで分かったんだよ!」
そう叫ぶ声と同時に彼は姿を現す
「うるさい…」
「ひっど!これでも静かにしてるほうじゃない?!」
「……」
「わ、悪かったって!」
(はぁ、早く帰って欲しい…)
「で、一体何しにこちらにいらしたのです?ジルディート様」
そう聞くと彼は待ってました!と言わんばかりに顔をして
「俺の舞踏会のパートn「お断りします」…え」
ーーーー
こうなるから早く帰って欲しかったのに…
あの「深紅の凍鬼」とも名高いジルディート・ラヴィ・アバティラス。彼は今、私の腰を折れんばかりに抱きしめている
「ジルディート様、そんな力強く抱き締められると私の腰が折れてしまいますわ…」
「……嫌だ」
いや、嫌だとかではなく私の腰が悲鳴をあげているんです!!
とにかく、今は早く離して貰わないとあの人が…
「…何をしておる?」
(お、遅かったぁ…)
ジルディートは私に抱きついたまま
「シェリーに抱きついてるんだよ!」
っと言う… いや、離れてください。じゃないと私が…
「シェアリーン」
ちょうど低音で名を呼ばれる。魔王が私をちゃんとした名を呼ぶ時は身内が少ない正式な場かあるいは怒っている時。今回は紛れも無く後者だろう
「…は、はい」
あぁ、一体どんな罰が下されるのだろうか…
「待て、ルシファー待って!」
「…なんだ?ジル。最後の言葉でも思いついたか?」ニヤリ
「いや、俺が勝手に来てやってるだけでシェリーは何も悪くないからな?!ってかその顔こえーよ!」ガクブル
「…はぁ、そういう事にしといてやる」
(た、たすかった…)
「シア」
「はい?」
「今日の舞踏会、お前を俺のパートナーとする。」
「…は?」
「え、ダメダメ!シェリーは俺のパートn「あ”?」…なんでもないです。」
「して、返事は?」
「お、恐れながら、私ではご期待に応えられないかと…」
「ほう、どうしてそう思うんだ?」
魔王は悪巧みをする子供のような顔をするとジルディートをワープで外に追い出し、私をベットに押し倒す
「え…で、ですから私は可愛くも綺麗でも教養や礼儀作法だってないのに魔王様のパートナーだなんて…」
「…」フッ
あぁ、よくない笑みを浮かべていらっしゃる…
「お前は自分がなんと呼ばれているか分かっておらぬ様だな?」
「…?血舞姫では無いのですか?」
私は戦争になると毎回最前線で敵を蹴散らす
その時、敵の血しぶきの中で歌いながら踊るように敵を屠るから付いた名だったはず。
実際城の中ではよく血舞姫様と呼ばれていますし、普通の女性なら不名誉だと嘆きそうですが罪深い私には相応しい名ですもの
「それではない。」
「…??」
(なんだろう、他に呼ばれる名?そんなのあったかしら?)
「…精霊の歌姫」
「え、せいれい…?」
そんな名前聞いたこともない。
せいれい?精霊?いやいや、歌姫はまだ認めます。実際私は詩魔法をよく使いますから…
ですが、精霊ってなんです?!
私、どちらかと言うと悪魔寄りなのですが?!
「やはり知らなかったようだな?」
「お、お待ちください。精霊って…??」
「その名の通りだが?」
「…???」
待て待て、理解が追いつかない…
(精霊?誰が?私が?!え、何処が?)
「精霊は自然を愛し自然に愛された麗しい種族。その命をかけてまで自然を護る為、神々が美しい容姿と千年たっても絶えることのない寿命を与えたとされている種族だ。」
「はい、知っております…」
「…?なんだその顔は?」
「いえ、まだ理解が…」
魔王は私の反応が思ったのと違うのか不服そうな顔をして
「もう少しで舞踏会が始まる。急ぐように」
と言うと消えてしまった。
……
???
「…へ?」
ガチャ
ドアが開き、先程着替えを取りに行った侍女が戻ってきた
「シェアリーン様、お待たせいたしました…?どうかなさいましたか?」
侍女は私の顔を見るなりそう聞いてくる。
「い、いえ。魔王様に早く準備を済ませるよう言われただけですわ…」
「まぁ!それは急がなければなりませんね!」
そう言うと侍女はテキパキと私を着替えさせる
ジャラ、ジャリン
両手首に着いている鎖が鳴る
(重いな…)
「次は御髪を整えますのでこちらにおかけください」
いつの間に着替え終わったのかボーッとしていた私を鏡の前に座らせる
「やはりシェアリーン様の御髪はいつ見ても美しいですわね。」
「そうかしら?」
「はい、月の光に照らされた白銀の綺麗な髪です」フフッ
「そう…」
白銀…嫌いな色、嫌われている色、穢れた色、汚れが…血の色がよく目立つ色
「さ、御髪も整いましたので魔王様をお呼びしますね」
「…いいえ、その必要は無いわ…そうでしょう?ルシファー?」
「流石だなシア」
「も、申し訳ございません魔王様。なんという不敬を…」
「問題ありませんわ。何せわざと気配を消して見ていたのですから、それで罪に問うことなど…ありませんわよねぇ?」
いや、この魔王ならやりかねない
でもこの子は私のお気に入りだから!
「…そうだな。今回は大目に見てやる。」
「ご慈悲に感謝いたします!」
そう言うと侍女は逃げるように部屋を出て行った
「なぜ庇った?」
あぁ、とても不服そうだ。
このままでは私が殺される
「あの子は私のお気に入りですので」
「……」
「お気に入りと言うだけで好きではありませんわよ?」
「……」
「…わ、私が好きなのは、ルシファー様ですから…」///
本当は世界一嫌いですがこうでも言わないと貴方の機嫌は直らないのでしょう?
「…」フンッ
あぁ、良かった機嫌を直してくれた
「ほら、行くぞ」
そう言って魔王は手を差し出してくる
私はその手を…
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手を取る/手を払う
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どちらがいいかコメントでお教えください
多い方を先に書きますが、少ない方も後々書こうかと思っていますのでご安心を!!
ここまで読んでくださりありがとうございました!
初めての割には頑張ったと思います!
これからも頑張りますので、そどうか暖かい目で見守っていてください
誤字脱字、質問等はなるべく修正、お答えいたします
それではまた次回で*˙︶˙*)ノ”