テラーノベル
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※微霊→モブ
※本編後のはなし
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いつもの事務所
いつものラーメン屋
いつもの駅
いつもの人混み
いつもの道
お揃いの歩幅で歩いていたはずなのに
いつからかお前は 俺を忘れたりするのだろうか
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「師匠」
久しぶりに顔を出したモブは、以前よりも少し背が伸びて見えた。
姿勢のせいかもしれない。
“師匠”
その言葉だけで、こんなにも安心してしまう。
「モブ、また来たのか。もうここには来なくていいって言ったろ」
「いいじゃないですか。あれ、芹沢さんとエクボは? 」
「芹沢は用事があってきてない。エクボは知らん」
「あ、そうだ。このあいだ花沢くんと〜」
モブは話す、
友達のこと。部活のこと。進路のこと。
自分の知らない時間が、当たり前のように増えている。
それは喜ばしいことだ。
ちゃんと、外の世界に居場所がある。
なのに。
「……それで、どう思いますか、師匠」
不意に向けられる視線。
助言を求める声。
まだ俺に、答えを求めてくれる。
胸の奥で、ほっと息をつく自分がいる。
――必要とされてる。
その小さな事実が、やけに甘い。
そして同時に、ひどく醜い。
自分がいなくても歩けると証明されたはずなのに、
それでも差し出された“師匠”という呼び名に、縋っている。
(まだ手を伸ばせば届くかもな)
希望みたいに。
残り火みたいに。
ああ、嫌だ。
それが消える日を、どこかで想像してしまう。
「霊幻さん」と呼ばれる日。
あるいは、ただの知人になる日。
当たり前の未来だ。
それを怖がっている自分が、情けない。
「……師匠?」
ぼんやりしていたのに気づき、霊幻は笑う。
「あー悪い悪い。ちゃんと聞いてる」
言葉を選ぶ。
もう、導くための言葉じゃない。
縛らないための言葉を。
「…ありがとうございます。」
まだ頼られていることが嬉しい。
でもその嬉しさに、安堵している自分が嫌いだ。
俺はなんだ。
あいつの成長を喜んでるんじゃなかったのか。
それ以上は何も言わない。
帰り際。
「また来ます、師匠」
“また”という言葉に、また救われる。
帰る場所にしてくれている。
それで十分なはずなのに。
ドアが閉まり、足音が遠ざかる。
静寂。
霊幻はその場に立ったまま、小さく息を吐く。
「……」
まだ師匠でいられる。
その“まだ”を数えている自分がいる。
まるで猶予期間みたいに。
最低だな、と心の中で吐き捨てる。
あいつが自分の人生を生きるたびに、
俺の役目は薄くなる。
子供のままじゃいけない
それでいい。
それが正しい。
なのに、どこかで思ってしまう。
もう少しだけ。
もう少しだけ、このままで。
「……しあわせになんてならないで」
ぽつり。
…は?
なに考えてんだ俺は。
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ずっと一緒だよね
そんなことは言えなくて
あたりまえだったあれもそれも
だんだんと変わっていって、
きっとあいつの周りももっとずっと楽しいことが目の前で溢れ出して、
きっと全部輝いて
そんな未来が寂しいけれど
誰よりも嬉しいんだ
必要とされなくなることが、
師匠としての完成なら。
完成したあとも、ここに立っているのは、
ただの人間だ。
寂しいままでいい。
それでも、あいつには笑っていてほしい。
それだけは、嘘じゃない。
子供のままじゃいけない。全部わかってる
だから心の中で言うんだ
(幸せになって、ずっとずっと)
これから俺らは
どんな2人になるのだろう
これまでとちがう
ふたりで
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