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『二章 花束、また冬が来るまで。』
それは次の日の朝のことだった。
【食堂】
秘「…」
音「…」
羽「…」
いつもより空気が凍りついている。
秘「…瑞稀、どうしたんだ?」
音「…動機の注射が配られたらしくてさ…」
あ…そうだった。
完全に昨日のせいで忘れていたが、今日は動機の配布日だ
秘「誰が…誰が持ってるんだ?」
紅「わかりませんわ。」
秘「紅葉…」
紅葉はミルクティーの入ったカップを片手に、俺にちかづ近づいてきた
紅「誰も名乗りあげておりませんの。」
秘「なんで?」
紅「さぁ。びびっておられますのよ、言ったら自分が除け者にされる可能性があるから」
除け者…確かに、もし今殺人が起こった場合真っ先に疑われるのは注射を持っている人だ
そうなるよりは、黙秘して誰が持っているかわからない方が安心かもしれない
けど…
秘「…」
言わないと犯人への手がかりは少なくなり、みんな疑心暗鬼で過ごすことになる…
本当にそれでいいのか?
紅「…まぁ、今日一日は部屋で過ごした方がいいですわ。」
秘「…」
紅「貴方と私の、命の安全のために」
そう言うと紅葉は見鏡を連れ、部屋へと帰っていった
そして周りで朝食を取っていた人も次々と帰って行き、食堂には俺と兎月だけが残った
秘「…」
兎「…あ、あのっ…」
秘「?どうしたんだ?」
兎「…こんな時にあれなんですけど…」
兎「す、好きな人と…その…距離を近づけるにはどうすればいいんですか?」
秘「…え?」
好きな人?急になんで?
兎「えっと…あの…ルナちゃん…いや、友達の話なんですけど…」
羽衣のことか
兎「その…好きな人がいて、でもその好きな人は…恋する気がなさそうな相手で…」
兎「こんな状況ですし…」
誰のことだろう…地味に気になる
兎「…どうやったらその人に意識してもらえると思いますか?」
秘「うーん…うーん………」
わからない。
情報が少なすぎる
兎「…すみません、変なこと話しちゃいました。今のことは…忘れてください」
そう言うと兎月はゆっくりと立ち上がり、食堂から出ていった
…羽衣の好きな人…誰だろうか?
【午後21時 秘田ミライの部屋】
俺は一日中部屋に置いてあったノートで絵を描いていた
そして疲れて寝ようとした時だった。
見「…秘田」
秘「うわっ!…見鏡?」
なぜか見鏡が俺の部屋の中にいた
秘「どうやって部屋に…」
見「鍵が開けっぱなしだった。…それより」
見「…ちょっと、ついてきてよ」
見鏡の顔が若干険しくなる。
秘「…どこに?」
見「どこでもいいでしょ。早く…」
なんでだ?何がしたい?
…もしかして…俺、見鏡に殺されるのか?
外には人がいないし、俺は誰にも何も伝えてないから俺がいつ死んだかとかわからない…
だからこのまま見鏡に連れてかれたら…確実に殺される!
見「…本当に早くして。」
秘「あ…えーっと…あ…」
見鏡は切羽詰まったような顔をしている
…もしかしたら何かに困ってるかもしれない…
だから断る…というのは申し訳ないし可哀想だ
…かくなる上は…
秘「だ、蛇足も連れていっていいか?」
見「…」
見鏡は無言で頷いた
【二番ビル前】
蛇「…こんな夜遅くに、花を見に行くんですか?」
俺は結局隣の部屋で小説を書いていた蛇足を部屋から引き摺り出すことにした
本人の性格的に何も気にしてはいないんだろうけど、申し訳ない…
見「…3時間、紅葉がここに行ってから帰ってきてないの」
秘「紅葉が?」
見「…」
またもや見鏡が無言で頷く
蛇「それは心配ですね。」
見「1人で行くのは…あれだったから、アンタに…ついてきてもらおうと…」
なんで俺を選んだか疑問に思ったが、今はそれどころではない
秘「…取り敢えず。中に入って紅葉を探そう」
蛇「ですね。きっと無事ですよ」
見「…うん」
秘「…じゃあ、開けるぞ」
俺はそう言って、ビルの扉をゆっくりと開けた
【植物園】
見「…!」
蛇「…あ…」
俺たちは紅葉を探す必要がなかった。
なぜなら紅葉は…
入ってすぐの場所で、死んでいたのだから。