アルモニア村の出発は、まるで祭りのような雰囲気だった。
太鼓のリズムに乗って歩を進める者、笛の音に合わせて踊る者。
それぞれが楽器を手にし、音楽を奏でながら進んでいく。
玲央はその先頭に立ち、風を感じながら歩いていた。
「まるでパレードだな。」
リュカが笑いながら言うと、玲央もニヤリと笑った。
「ただのパレードじゃねぇよ。これは——戦いに向かう行進だ。」
リュカはその言葉に少し真剣な表情になる。
「千空たちってのは、そんなにすげぇのか?」
玲央は少し考えてから、ゆっくりと口を開いた。
「……ああ。あいつらは、”未来を創る”人間たちさ。」
リュカは目を見開く。
「未来を……?」
玲央は前を向いたまま、静かに続けた。
「科学ってのは、音楽と似てるんだよ。どんなに混沌としてても、法則がある。リズムがある。それを理解したやつが、世界を変える。」
「……すげぇな。」
リュカがぽつりとつぶやいた。
その時——遠くの空に黒い影が見えた。
「ん?」
玲央が目を細める。
「あれ……なんだよ!?」
リュカが指をさして叫ぶ。
小さな黒い点が、徐々に近づいてくる。
「やべぇぞ玲央!これ、敵じゃねぇのか!?」
玲央の心臓が跳ね上がる。
「くそ……まさか、スタンリーか!?」
玲央はすぐに村人たちに指示を出した。
「楽器をやめろ!物陰に隠れろ!」
村人たちは一斉に身を低くし、茂みに身を潜める。
飛行機が上空を通過し、数回旋回した後、遠ざかっていく。
「偵察か……?」
玲央は歯を食いしばる。
(……まずいな。こっちの動きがバレたかもしれねぇ。)
リュカが焦った表情で言った。
「どうする、玲央?」
玲央は数秒考え——決断した。
「予定を早めるぞ。このまま千空たちの拠点に急行する!」
「お、おい、本気かよ!?」
「今ならまだ奇襲の可能性がある。」
玲央は拳を握った。
「アルモニア村——全力で駆け抜けるぞ!!」
「おおおお!!」
村人たちは再び勢いを取り戻し、一気にスピードを上げた。
こうして、玲央たちは千空たちとの再会を果たすべく、戦場へと足を踏み入れるのだった——。
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