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【注意事項】
こちらの作品は、実在する方々のお名前と、一部容姿をお借りした二次創作作品です。
公式様方と一切の関係はございません。
また、こちらの作品には
・学パロ
・年齢操作
・腐要素
が含まれています。
そして何から何まで捏造です。
誤字脱字などありましても、暖かい目で見守っていただけますと幸いです。
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ページをめくる音が一定のリズムで響く午後。
窓際にある、春の光が柔らかく差し込む特等席に、俺はいつも座る。
静かな図書室は俺の唯一の安息地だ。
ここなら、誰にも邪魔されない
はずだった。
◆
その日、向かいの椅子が静かに引かれた。
視線を上げると、知らない男子が視界に映る。
青みがかった黒い髪に、青色のニット帽。
そして、同じ二年の紺色のネクタイ。
顔や見た目に見覚えがないので、多分、クラスが違うのだろう。
同じクラスなら申し訳ないけど、俺陰キャだし。
ソイツは俺と目も合わせず、椅子に座るなり机に突っ伏した。
数秒後には、規則正しい寝息。
(え、ここ寝る場所じゃないんだけど)
図書室は静かに本を読む場所であって、仮眠室じゃない。
注意するべきか。
けど、わざわざ関わるのも面倒くさい。
そう思いながら、ちらりと様子を窺う。
が、完全に寝ている。
肩も動かないし、呼吸も一定。
前髪が少し揺れるだけ。
(めっちゃ爆睡じゃん…)
これなら起こすのも気まずい。
…まあ、放っておくか。
本に視線を戻そうとしたとき、ぱち、と目が合う。
思わず固まってしまった。
(コイツ寝てたんじゃないのかよ)
伏せていたはずの顔が少しだけ上がっており、半分閉じた瞳がじっとこちらを見ていた。
「そんなに見つめて…なぁに?」
寝起きのはずなのに、妙に余裕のある声。
「いや、あの、寝るなら保健室の方が…」
できるだけ小声で返す。
「ここ、静かで好きなんだよねぇ」
ソイツはにやっと口角を上げて笑う。
(…..なんだそれ)
初対面なのに、自然な距離感。
まるで前から知り合いみたいな顔をする。
「君、名前なに?」
「…黒瀬」
「下の名前は?」
「零羽…です」
「へぇ…。俺は青井」
「…下の名前は…?」
「んー?ないしょー」
青井さんは満足したみたいにまた机に突っ伏した。
今度こそ、本気で寝るらしい。
(人に聞くくせに、自分が聞かれたら答えないのかよ…!)
数秒後、また規則正しい寝息が聞こえる。
(自由すぎるだろコイツ…)
『変なやつ』
それが、俺の第一印象だった。
本を読もうと視線を落とすが
どうしてか、ページをめくる手が動かない。
向かい側に視線を向けると
らっだぁの寝顔は、さっきまでの笑みが嘘みたいに穏やかだった。
長めの前髪が頬にかかっていて、春のやわらかい光で透ける。
睫毛が影を落として、無防備に緩んだ口元は、少しだけ幼く見えた。
寝息は小さく、図書室の静かな空気に溶け込んでいる。
(…なんで俺の前なんだよ)
この席は、俺だけの場所だった。
誰にも教えていない。
誰にも邪魔されたことがない。
「俺だけのだったのに…」
(バレちゃった…)
でも不思議と、追い払おうとは思わなかった。
この静かな空間に、もう一人分の体温があることが、ほんの少しだけ、ほんっの少しだけ、悪くないと思ってしまう。
「…青井、か」
小さく声に出してみる。
当然、返事はない。
(読み終わったら帰ろ…)
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