私はすぅーっと息を吐いた。白いそれはすぐ、冬と春の境目の夕暮れ時の空気の中に溶け混んで、あたりを幻想的に包み込んだように見えた。
歩くたびに冷たい空気が全身に吹きつけられて思わず、首に巻いたマフラーに顔をうずめる。これが毎日。
でもその毎日が、変わる出来事が起こった。これは私の、不思議で夢のような、この世でたった一つと信じられる物語である__
ある日のこと。
雪を踏みしめながら通学路を歩いていると、見慣れない家___いや、店があることに気がついたんだ。
私「…新しく建てられたものなのかな…」
いいや、きっと違うよね。
小綺麗な町並みにいきなり古くさい汚い家など建てるはずがないもの。
白い家がたくさんある中、それだけがものものしい雰囲気を放っている。
その店の窓はホコリでくもっているし、木でできた外壁にはツタのようなものまで生えている。
私「…まるで山奥からまるごと家を持ってきたみたいじゃない…」
信じがたい話だ。山奥からわざわざこんなところまで運べるはずもないし。
それに、このあたりには山もないもの。こんな憶測、間違っているに決まっている。
気になって少し、あたりをウロウロしてみる。
私「…辺りは別に普通だよね」
ここは元々、いや昨日まで空き地だった。
別に工事してる様子とかまったくなかったのに。
お店の裏の、木々がうっそうとしている場所を歩いてる時だった。コツン、と。音こそしなかったけれど足元に感覚があった。
ハッと下を見ると赤い半透明の石…宝石みたいなのがいくらか転がっていた。
私「宝石…?でも形はゴツゴツしてるし…」
どれも光を反射させている。だけど奥に怪しげな影を宿していて神秘的。
私はそれを一つつまみ上げて近くでよく観察してみようと思って、注意深く拾い上げた。
そしたらあたり一面が輝きのこもった夕焼け色に染まった。それも、青々しい緑さえも赤く。
きっと、これ以上の絶景はないだろうなぁ、綺麗…。
私「わっ!」
その時、誤って手を滑らせ、その石を落としてしまった。
それは待ってと声をかけとも止まらずにゴロゴロと転がり続け………。
草むらの中に消えてしまった。
わ、どうしよ、どうしよ!
私「えっえっ、ちょっとまってぇ!」
慌てて追いかけようとしたけど、ふと気がついた、そう、足元にはまだ石が残ってる。
私「まあいっか。なんとかなるでしょー…」
もう一個拾おうとしたときに、近くの室外機の隣にうずくまった小さな黒猫がいることに気がついた。
その猫は私と目があうとしばらくそのままでいて、
「ニャー」
とだけいって立ち上がった。
そのまま歩いて行ってしまうかと思っていたけれど、ゆっくり歩きながらときおり振り返りまた鳴くを繰り返していたから、私はついてこいとでも言ってるのか?と思い石を3つほど拾い上げて、
私「ちょっとまってね」
と猫の後を追いかけることにした。
私「君は野良猫なのかな…でも、こんなに綺麗なんだからありえないよね。飼い猫?」
うわぁ…多分これ道端でやったらイタイっておもわれるやつだよ…。
でも、この猫はとてもきれいだ。黒くつやのあるもふもふした毛には汚れ一つない。
私の問いに答えるようにして見上げたエメラルド色の右目と透けた空色の左目(オッドアイ…って言うんだっけ)はきっと誰でも見とれてるだろう。
私「どうみても野良ではないよなぁー」
そんなことを呟いてまがった先は例の店の前。
その猫はなんのためらいもなく壁に空いた小さな穴から中へ入っていった。
その様子はまるで、魔女の住む小屋に住み着いた猫が帰っていったようだった。
しばらく経って猫が中に入ってから鳴き声も、風の音さえもしなくなってきて不安になってくる。
それにこの店の放つやばいオーラ。よけいに怖さを倍増させてきて恐ろしい。
しばらくそこに立っていたけれど暗い闇が曇った窓の向こう側から覗いてくるだけ。
私は通学中ということも忘れて、勇気を出して中に入る決心をした。
ギギギ…ときしんだ音を立てる扉は想像以上に重く、体全体で体重をかけないとうまく開かなかった。
私「何よ、これ!重すぎるでしょ…」
バタンと音を立てて扉を閉じ、改めて店内…いや…内装を見渡すとコンクリートむき出しの床にホコリがかぶり、明かりは暗くチカチカと点滅しながら虫を寄せている。他にはよくわからないガラクタがチラホラ。
その上ゆかはところどころビビが入って穴が開いてるところもある、汚い…。
綺麗な古時計のうえにブリキのバケツ、
机の下には石ころが落ちてたり、
小さな布の上にさっきの猫が丸くなってたり。
奥に進むにつれてそれは酷くなる一方で、もうはきけがとまらない…。
ずっと奥の隅の壁に大きすぎる本棚があった。どの本も古そうなものばかり。これもやはりホコリをかぶっていて時代を感じた。
ちょうど近くにはしごがかかっていたからそれを登り、上の方の本を一つ、手に取ってみた。
わぁ、紙が黄ばんでいるしイラスト…?絵もモノクロ印刷なんだね。
ページをめくるたびにホコリが辺りをまい、咳込んでしまう。
たしかホコリって健康に悪いんだよね。
ハウスダストアレルギーとか、喘息とかになりやすいって聞いたことあるな…。この本、読むのやめたほうがいいね。
それに本は好きだけれど字もろくに読めないのじゃつまらない。
私は本を閉じてはしごを降りた。
ふと振り返るとそこに、人がいた。
長い髪には金色のメッシュが入っていて丸メガネをかけている。
私はあれに、尖った円錐のツバの広い帽子にローブを着せたら魔女らしくなりそうだなと想像して少し吹き出してしまった。
それに気づいてその人はハッとこっちを向いた。それも勢いよく。
めがねの人「わっ、こっ、こんにち、おはようございますいらっしゃいませ!」
私「おっ、おはようござっ、います!」
わ〜、ぎこちない挨拶になっちゃった〜…。
めがねの人「ただいま店主お呼びしますね、はい!」
とだけ言いのこし、のれんをくぐって店のさらに奥に行った。
私「あ〜っ、あっ、えと、…あー……」
猫「にゃーん」
私「わっ、さっきの猫!びっくりしたぁ…」
猫「にゃ」
私「ん、ど、どうしたの?……ん?首輪…」
にゃーんと声を上げて近づいてきたのはさっきのそのコで間違いない……んだけれど、さっきと違って首輪がついていた。
金色のチェーンに繋がれた丸いプレートには【RUINA】と彫られてある。
そっか、ルイナちゃんっていうのね。
この子目の感じやちょっと上から目線な感じが女王様ってかんじがあるけれど、ルイナっていうのは素敵だね。
私「そっかそっか、きみはルイナちゃんて言うのね!」
ルイナ猫「にゃー」
私「あれれ…💦」
ルイナは私が話しかけているにも関わらずのれんの方へ走って行ってしまった。
あちゃ…。
めがねの人「お待たせしました〜ッ!!」
私「わあ!?」
めがねの人「いま店主のユリナガさん呼びましたからね!ごゆっくり!」
私「はっ、はい…あの…ありがとう」
めがねの人「いえいえいえいえ!お安い御用ですよ!」
その人は緑色のエプロンを制服…?の上に着ていたけれどその制服には見覚えがあった。
多分、私の学校の西隣にあるトコの制服…だったはず。
その学校の名前は西〇〇高校だ。
…私が受験して見事落ちた、トラウマ高校なのだ。
私「あの、もしかしてあなた、西〇〇の生徒さん…ですか?」
めがねの人「え、ええ、そうですけど…」
わわ、警戒させちゃったよ!
私「よ、よかったぁ、間違えたらどうしようかと…。あ、私東〇〇高校の“伊藤サラ”って言います!一年です!…って!こんなこと話してすみませんっ!変…ですよね…」
めがねの人「いえ全然!サラさん…ですね!おぼえますよ、全然!」
私「光栄ですー!…ちなみにお名前と…あ、あと学年も教えていただけますか…?」
輝丘「て、輝丘(てらおか)ミサキ、ともうします!一年です!」
私「そ、そうだったんだ!ミサキちゃん、よろしくね!」
輝丘「こちらこそ!」
〜最後主から〜
主ですどーも!
いやぁ、ノベル思い切って書いてみましたぁ!
ちょっとファンタジーすぎるかなぁ〜…
ちなみに投稿頻度遅いしお話も短めなのはお許しを。
あ、よければいいねコメントよろです!
まだ一度もコメントされたことなくてアハハ!
コメントされてみたいってのがありますね!ハハ!
や~、自分でもまさか3524文字いくとは思ってませんでしたけど
いちからみるとだいぶ短いですねー…
頑張りますっ!
てことで!ばいなう〜!
コメント
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