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夢を見た。
燃え盛る炎の中、大勢の仲間達が悲鳴を上げながら次々と死んでいく。
相手の兵士達は悠々と焼け野原を走っている。
自国の主の首を取ったと豪語する相手の主に、成すすべのなくなった兵士たちが次々と倒れ、殺されていく。
これは、何回目の記憶だろうか。
夢であろうとなかろうと、自分も戦おうとする心のまま、その一歩を踏み出そうとする。
ガシッ
引っ張られる足元に視線をやれば、燃えたぎる血は音もなく引いていった。
黒く、燃え尽きた屍の口がゆっくりと開く。
固く閉じていた瞼を開けると、そこは生前使用していた応接間だった。
自身の部屋に帰ることすら億劫だったので、睡眠や食事は大抵この場所で行っていたのを思い出す。
机の上に置かれた、きれいな装飾の施されている二つのマグカップ。
まだ淹れたばかりなのだろう茶が湯気を立て、部屋の中に良い香りを充満させていた。
「いい加減承諾してはどうですか?我々はこれだけの好条件を与えているのに」
男性の話し声が聞こえると同時に、左手にあったソファに人影が映る。
片手を動かしながらさも理解できないような表情を作る彼。
「…確かに、我が国がさらに発展して行く為にとても良い条件だと思います」
長机を挟み、対抗に位置していたソファに聞き覚えのある声が姿を表す。
人影が『彼』の姿に変化する瞬間、何者かが机を殴った。
「なら何故…‼」
「しかし、そのために運営を差し出すなんて真似、絶対にしませんので」
青い彼の後ろにいた外交官の彼が、緊迫した空気に静かに息を呑む。
まだ夏の暑い日だった。
外から聞こえてくる蝉の声に混じり、国民であるら民達の元気な声が聞こえてくる。
変に着飾った男が笑みをこぼす。
「…こんな辺鄙な場所に位置するのもうんざりでしょうw」
相手は、交渉相手に似つかわしくない発言を吐いた。
「私どもは幾らでも交渉相手がいる…けれどそちらはどうでしょう?」
この時の運営国は、まだ外交相手を選べる立場には無かった。
男がセリフを吐き続ける。
「なにも運営様じゃなくても良いんです。貴方様でも…ね?」
その言葉に膝の上で拳を握っていた『彼』の肩が震える。
「どうです?私どもの国にいらっしゃいませn」
「お断りさせていただきます」
彼の後ろにいた外交官の青年がハッキリと物申す。
その様子に大人しく話を聞いていた『彼』が驚き、振り返る。
青年は笑顔で話を続ける。
「残念ながら、我が国の総統は…_____」
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