新しい2人

相変わらず、目黒の家には行く。晩ご飯食べて、色んな話をして、渡辺は、「好き」と言われたことを忘れそうになる。だけど、目黒が変わっていく。

目黒ーしょっぴー、手貸して？

渡辺ーん？

目黒ー左手。

渡辺ーん。

目黒は渡辺の人差し指に指輪を付けた。小さなスワロフスキーがたくさん付いている。色は、淡いブルー。

渡辺ー何これ？

目黒ーしょっぴー、アンバサダーしてるじゃん。

渡辺ースワロフスキー？

目黒ー見えないでしょ？でも、ちゃんとスワロフスキー使ってる。

渡辺ーへぇ、これ俺に？

目黒ー派手じゃないし、付けてくれたら嬉しい。

渡辺ーん、ありがと。

目黒ー簡単にもらっていいの？

渡辺ーえっ、だって綺麗じゃん、お前の気持ちも入ってるし。

目黒ー俺の気持ち、嫌じゃないの？

渡辺ー嫌なら友達やめてる。

目黒ーしょっぴー、好き。

渡辺ーん。

渡辺は「好き」とも「嫌い」とも言わない。戸惑いがあるのだろう。

目黒は言ったことは後悔しない。けど、つい、先を求めてしまう。「好き」と言ってくれないだろうか？都合良すぎだろうか？

目黒ーしょっぴー、ずっと好きでいていい？

渡辺ーん、俺の気持ち、変えてみろ。

目黒ーそんなこと言っていいの？

渡辺ーめめを嫌いになれないから、なら、好きになるよう頑張ってくれ。

目黒ーおっしゃ〜！しょっぴー、抱きしめていい？

渡辺ーだめ、まだだめ。

目黒ー好きになるまでだめ？

渡辺ーいや、違うけど、今日は、心の準備が出来てないし。

目黒ーただ抱きしめるだけなのに、準備いるの？

渡辺ー当たり前だ、ばか。

渡辺は、赤い顔して、横を向く。

それを見た目黒は、可愛いと思うのだ。言わないけど。

目黒ーうちに晩ご飯食べに来たら、抱きしめたい。

渡辺ー分かった。

目黒ーそのつもりでも、来てくれる？

渡辺ーあぁ、ご飯は美味しいからな。めめんちで食べると思う。

家に帰って来た渡辺。

何であんなこと言ったんだろう？目黒の家に行くたびに抱きしめられるのに。自分の気持ちは、まだ「好き」じゃないのに。友達以上恋人未満の今の状況が嫌いじゃない。

だけど、自分の感情が分からない。

友達以上なんだろうか？

目黒ーいらっしゃい。

渡辺ーん、今夜は何？

目黒ー焼肉。スープ。サラダ。

渡辺ー食べる食べる。

目黒ーしょっぴー？

渡辺ー食べてから。両手は、下ろせ。逃げないから。

余裕があるのだろうか？

笑いながら目黒の手を軽く叩き、ソファに荷物を置いてテーブルに着く。話は尽きない、時には食べる手が止まる。

目黒ーしょっぴー、これから2人の時は、翔太くんって呼んでいい？

渡辺ー最初はそうだったもんな、いいけど。じゃあ、俺も、最初みたいに、目黒って言う。なんかめめって可愛すぎる。

目黒ーん、目黒の方がいい。

渡辺ーふふふ。

少しずつ距離が近くなっていく。

気持ちの変化はあったのだろうか？渡辺は抱きしめられる。そっと手を目黒の背に回す。

目黒ー翔太くん、小さい。

渡辺ーうるさい。

目黒ー可愛い。

渡辺ーばか、男に言う言葉じゃない。

目黒ーでも、やっぱり可愛い。

渡辺ーもう、離せ。

目黒ーやだ。

渡辺ー目黒、明日早いだろ。俺も早い。だから帰る。

目黒ー仕方ないなぁ。

目黒の腕から離れた渡辺。

う〜んと伸びをする。目黒の目には、何をしても可愛いと映る。

渡辺が荷物を持ち振り返って「またな」と言う。

続く