【おんりーsaid】
「……………っ!」
僕が生きていた間、
彼みたいに『人間』として扱ってくれた人はいない。
僕が家族が嫌いな理由。
所詮、父さんと母さんにとって、
僕はただのオモチャにすぎなかったんだ。
使用人達もみんな、僕をオモチャのように遊んでた。
僕は、父さんと母さんの為だけに生きる。
自由もなんもない生活に毎日、飽き飽きしてた。
だから、支配下から僕がいなくなったとき。
2人の絶望に満ちた顔が、堪らなく愛おしかった。
こんなこと思ってるから、
いつまでもいつまでも
成仏できないことは知っている。
でも、今は違う。
僕は、彼という存在の奴隷になったんだ。
僕をオモチャ扱いせず、ただ寄り添ってくれる。
そんな存在が欲しかった。その存在が彼なんだ。
「……ねぇ、君。名前は?」
「僕?僕は、ドズルだよ。」
「そっか、よろしく。僕は、おんりー。」
「よろしくね、おんりー。」
ドズル…ドズルが僕の家族だったらいいのに。
なんとなく分かる。僕は、もうすぐ消えてしまう。
貴方という優しくて暖かい存在に出会えたから。
「ドズル。」
「何?」
「………僕が消えても忘れないで。」
「えっ、それってどういう………」
「どうもこうもないよ。」
「さようなら、、、君に会えて良かった…」
「ま、待って!僕はおんりーの事が………」
空から僕の住んでいた世界を見渡す。
もっと早く知りたかった。
人はこんなにも暖かいんだなって。
少なくとも、
ドズルと同じ時代に生きていたら幸せだったのかな?
聞きたくなかったな、あの言葉。
「おんりーの事が好きになった。」
ふふっ、おかしな子。
僕の事が好きですって。僕だって本当は………