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⚠︎︎
・溺愛
・自己満
・nmmn
元貴は、どこに行っても誰にでも好かれるタイプだった。
明るくて優しくて、たまに見せる寂しそうな顔。
だからこそ、若井と藤澤の視線はいつも元貴に向いていた。
若井ー
俺はいつも元貴の隣をキープするのが当たり前になっていた。
「今日も一緒に帰るよね?」
それはお願いじゃなくて、ほぼ決定事項みたいな言い方。
でも、元貴はいつも「うん、いいよ。」と微笑みを向けてくれる。
それだけで俺はほっとする。
藤澤ー
僕は昔から静かで、前に出るのが得意ではない。
でも、元貴は他の誰かと楽しそうにしている。そんな姿を教室の隅の方で見ていた。
「元貴は他の人と話すのそんなに楽しいんだ。」
誰にも聞こえない声で呟きながら、ノートに落書きをして誤魔化す。
ある日、元貴が体調を崩して学校を休んだ。
若井と藤澤はいつになく落ち着きがなかった。先生が休みの理由を言っただけなのに、2人は同時に席を立ちそうになる。
放課後、偶然鉢合わせた2人は、気まずい沈黙のまま元貴の家の前に立った。
「…なんでいるの。」
若井は元貴の家に来る1人の男に対してイライラしてしまい、苛立ちが声に出てしまう。
「…同じ理由でしょ。」
若井にまるで『来るな。』と言われんばかりの言葉を投げつけられたので、僕も言い返すように言った。
お互い引かず、そのままインターフォンを押した。
数秒後に、元貴の家のドアが開いて、少し顔色の悪い元貴がちらりと出てきた。
「ゎ…2人とも、来てくれたんだあ」
熱もあって少し呂律がまわっていない。
そんな元貴の一言で2人の表情が少しだけ緩む。
「当たり前だろ。」と若井が言い。
「…勝手に来ただけ。」と藤澤が言う。
2人とも言い方が違うのに、気持ちはどちらも真っ直ぐだった。
元貴はそんな様子を見て弱々しく笑って言った。
「ありがとぅ…2人が来てくれたから、ちょっと元気になった、。」
その笑顔に若井も藤澤も胸の奥がじんわり熱くなる。
重たいくらいでも、元貴が受け止めてくれるならそれで十分と思える日だった。
~全作品フォロワー限定にさせてもらいました。