テラーノベル
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その後も自己紹介は続いていた。
その中でひとり。
ふわふわサラサラの髪。
深緑色の綺麗な瞳。目が悪いのか、黒縁の眼鏡。
「涼風凛」
その彼は笑うこともなく、クラスに目を向けることもなく。
自分の名前だけを言って席に座った。
ちょうど、雪くんの後ろの席だった。
なんで、あんなに悲しそうなんだろう。
それが彼への第一印象だった。
・・・・・・・
自己紹介が終わった。
今は交流タイム。
今から30分間、好きに雑談などしていいらしい。
私はあの彼が気になっていた。物静かで誰とも交流しようとしてない彼。
でもクラスのみんなには良くうつってなかったみたい。
「何あのインキャ」
「きも〜」
なんてヒソヒソ言葉。
あー、こういうの、嫌だ。
耳を塞ぎたくなるような小さな小さな声での悪口。
ストレス!!!!
バンッ!!
思わず台パンというやつをしてしまった。
雪「はるちゃんっ!?」
雪くんが驚いている。
無理もない。
私も驚いた。
は「わ、ごめん!なんか虫いてさぁ!みんなも驚かしちゃってごめんね」
なんて誤魔化し方。
虫、無理なのに。
再びそれぞれの席で会話が再開され、ざわざわと騒がしくなる教室。
これ機に悪口は止まった。いいきっかけにはなったみたい。みんな話題変わってるし。台パンした甲斐あった〜。
蒼「はるちゃん」
後ろの席の蒼くんに声をかけられる。
は「ん?」
蒼「いま、イラってしたでしょ」
クスっと笑ってなんだか少し楽しそうな蒼くん。
え。
は「そ、そんなことないですが?」
蒼「隠しても無駄ですが?」
雪「はるちゃんびっくりしたよ、どしたの」
蒼「はるちゃん、いまわざと台パンしたでしょ」
は「いえ、私も驚いたところです」
なんて言ってみる。