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ちゅーい
(う) 尾白がボロボロになる尾白が色んな人とするお話です。(センシティブが多いためそこはちゅーいしてください)胸糞 最初は平和
■夜のグラウンド
グラウンドは、夜になるとやけに広い。
誰もいない時間が好きだ。
評価も視線もない。
……はずだった。
(尾白)「まだ帰ってなかったのか」
背後から声。
落ち着いた、真面目な声。
振り向かなくてもわかる。
(心操)「……お前こそ」
(尾白)「自主トレだ。心操は?」
(心操)「眠れなかっただけ」
沈黙。
砂を踏む音が、ひとつ近づく。
(尾白)「無理してるだろ」
(心操)「してない」
(尾白)「してる」
即答。
腹が立つくらい迷いがない。
(心操)「……なんでそう思うんだよ」
(尾白)「見てればわかる」
月明かりの下、尾白の影が隣に並ぶ。
近い。
なのに触れない距離。
(尾白)「体育祭のときもそうだった。あんな顔、しなくていい」
(心操)「どんな顔だよ」
(尾白)「全部一人で背負う顔」
胸の奥が、ひりつく。
理解されたくない。
でも。
理解されたい。
(心操)「……お前さ」
(尾白)「ん?」
(心操)「俺のこと、警戒しなさすぎ」
わざと、目を合わせる。
(心操)「今、命令したらどうする」
一瞬の静止。
でも、尾白は逸らさない。
(尾白)「しないだろ」
(心操)「なんで言い切れる」
(尾白)「お前は、そういうやつじゃない」
信じてる目。
ずるい。
(心操)「……ばか」
逃げ場がない。
距離は、あと半歩。
尾白の尾が、ふわりと揺れる。
無意識に、指が触れた。
(尾白)「……っ」
(心操)「嫌なら離せ」
(尾白)「嫌じゃない」
空気が、変わる。
夜が、静かすぎる。
(心操)「……ほんと、無防備」
(尾白)「心操の前だけだ」
心臓が、跳ねる。
ずるいのは、どっちだ。
(尾白)「俺は、お前をちゃんと見てる」
(心操)「……っ」
(尾白)「卑怯でも怖くもない。強いよ、お前」
触れていた尾を、今度はしっかり掴む。
逃げない。
(心操)「……そんなこと言われたら」
(尾白)「言われたら?」
(心操)「……好きになるだろ」
沈黙。
風が止まる。
(尾白)「……もう遅い」
(心操)「は?」
(尾白)「とっくに、なってる」
夜のグラウンドは、誰もいない。
でも。
今だけは、ふたり分の鼓動が響いていた。
机と机の間に、二人分の影。
(尾白)「……心操、そろそろ戻った方が」
(心操)「尾白」
遮る。
呼ぶだけで、尾白の肩がわずかに揺れる。
(尾白)「な、なんだ」
(心操)「今日、一日避けてただろ」
(尾白)「避けてない」
(心操)「目、合わなかった」
沈黙。
わかりやすい。
真面目なくせに、嘘が下手。
(尾白)「……意識は、してた」
(心操)「何を」
(尾白)「……お前を」
喉が鳴る音が、やけに大きい。
(心操)「なんで」
(尾白)「昨日の、あれ」
あれ。
尾に触れたこと。
あの距離。
(尾白)「ずっと、考えてた」
(心操)「何を」
(尾白)「……好きかもしれないって」
空気が、甘くなる。
逃げ道はない。
(心操)「かも?」
(尾白)「いや、好きだ」
真っ直ぐ。
嘘のない目。
ずるい。
(心操)「俺も」
短く言う。
それだけで、尾白の顔が赤くなる。
(尾白)「ほんとに?」
(心操)「嘘つく理由ある?」
近づく。
一歩。
もう一歩。
(尾白)「心操……」
(心操)「キスしていい?」
わざと聞く。
拒否できないの、わかってるくせに。
(尾白)「……ずるい」
(心操)「嫌なら命令しない」
(尾白)「命令じゃなくて、自分の意思で」
尾白の手が、制服の袖を掴む。
(尾白)「……してほしい」
限界。
額が触れる。
吐息が混ざる。
(心操)「目、閉じろ」
(尾白)「……うん」
そっと。
本当に、そっと。
唇が重なる。
触れるだけのキス。
一秒。
二秒。
離れない。
(尾白)「……っ」
(心操)「嫌?」
(尾白)「違う……もう一回」
そんな顔、反則。
今度は、少しだけ深く。
角度を変える。
柔らかい。
あたたかい。
尾白の手が、ぎゅっと背中を掴む。
(尾白)「心操……好き」
(心操)「知ってる」
(尾白)「言いたい」
(心操)「……俺も好きだよ、尾白」
月明かりの中。
何度も、何度も。
触れて、離れて、また触れる。
優しくて、甘い。
夜はまだ終わらない
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