「よォ……侵入者」
「……来たね」
侵入してきた奴は俺の予想通り
太宰だった
「なんのつもりだ?」
「なんのつもりって?」
「裏切り者が自らマフィアに来やがって……」
「ダメかい?」
「ダメに決まってんだろ」
「えぇ……」
「えぇじゃねぇ!とっとと探偵社に帰れよ」
俺は早く此奴を此奴から逃がさなければいけない……いや、でっててもらうのが正しいか
「中也……君」
「あ?」
「私はただの暇つぶしで此処に来たと思ってるでしょ」
「違ぇのかよ」
俺はただの暇つぶし、もしくは俺をからかいに来たのだと思っていたが、どうやら違ったらしい……
盛大な溜め息をつかれた
「はぁぁぁぁ……」
「んだよ……」
「中也、私は君に話があって来たのだよ」
「話?」
「そう……大事な話」
太宰が言う大事な話は俺にとってろくな事じゃない……
だから、きっと今日も大して大事じゃない話を聞かされるのだと思っていた
「中也は一体、何回ループしたか覚えているかい?」
「…………は?」
こいつは今、なんて言った……?
「いやぁ…実を言うと私は覚えていないのだよねぇ」
「お……手前……今、なんッて……」
「ん〜?私は覚えてない」
「違ぇ、その前だ」
「?」
「ループしたって……言っただろ……?」
「言ったけど…それが何?」
「手前…記憶がなかったんじゃ、ねぇのかよ」
「あぁ、私の記憶が戻ったのは、ループして少し経ったくらいなのだよ 」
少し経ったくらい?なら、此奴は記憶が無いフリをしてたのか……?記憶が戻って尚自殺をしてたのか?
「っ手前!! 」
「!」
「ちょっと……急に……」
「手前!記憶がある状態で!何度も自殺してやがったのか?!」
「そうだけど、それが?」
「俺がどんな思いで手前を生かそうとしてたのか分かんねぇのか?!」
「あぁ、そうだね、分からないよ」
「っ!」
「確かに君は転生する度に私を生かそうと必死だった、私から見てもそれはよく分かったよ……」
「なら…!」
「でも、私は死にたいのだよ…死んで、この世界から解放されたい、この酸化する世界から……」
太宰はそう言った……
「そうかよ…なら、俺が殺してやるよ」
また自殺をされるくらいなら、俺が殺して、スッキリさせちまった方がいい……
そうすれば、俺は死ななくて済む……
ループなんてもの、終わる筈だ……
「ははっ…そっか、中也は昔から私を殺したがっていたものね?」
「あぁ…だから今ここで、手前を殺す」
「そうだね、確かに今ここで、君に殺されれば君は解放される」
「何が言いてぇ」
「それじゃあ、面白くないのだよ…」
「は?」
何言ってやがるんだ?此奴は…
「私が自殺をして、中也が後を追って死ぬ、そして永遠にループを続ける」
「手前……まさか……っ 」
「最高の嫌がらせだと思わない?」
そう言いながら、奴の身体が落ちて行く、ゆっくりとスローモーションのように……
「っ!!」
「この糞太宰!!!!」
俺は吐き捨てるように言った、どれだけ速度を上げようと何故か届かない、そんな俺を面白がるように彼奴は言った
「中也!せっかくだから教えてあげるよ!」
「あぁ?!」
「君は永遠にこのループからは抜け出せない!」
「ふざけたこと言ってんじゃねぇ!!」
「何故なら、これが私から君に贈る、最後のプレゼントだからだ」
最後のプレゼントだと?
巫山戯るな、俺がそう言うと、太宰は寂しげな笑みを浮かべた、まるで誰かとの別れを惜しむように……
「太宰!!!」
後数ミリで太宰の服を掴むことができる、だが、俺の手は空を掴んだ
グシャリという音がした
俺は、その場に立ち尽くした、砂色の外套が赤色に染まっていく、あの時の包帯のように……
俺はきっと、手前の言った通りループからは抜け出せない……
だが、次に会ったその時は、俺の手で、必ず手前を殺す
覚悟しとけよ、糞太宰……
終わり?¿
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