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あ ぁ 、 好 き 病 み が ち 好 き 💕
えぐすぎますって まじで書くの上手すぎ🥺🥺
さいこう! こういうシチュ好きです(*´ω`*)
⚠︎ attention ⚠︎
✔︎︎︎︎ 病み表現
✖︎ 伏字
start____
個人配信中の、薄暗い部屋。
そこは、配信用のモニターだけがついていた。
初兎 は椅子にもたれたまま、配信を終える挨拶をする。
白「今日も見てくれてありがとな〜!」
最後、配信を切るその瞬間まで、ちゃんと “ 初兎 ” だった。
でも、配信が終わると同時に、その笑顔はふっと溶けて消える。
机の上には、飲みかけのエナジードリンクと少し口をつけただけの吸うゼリー。
「はぁ…っ…食う気せぇへん…」
独り言が、狭い部屋の中で少し大きく跳ね返る。
胸の奥がきゅっと痛む。
歌うたびに出なくなってる声を思い出すと、焦りがこみ上げた。
“ もっと頑張らないと、みんなに置いてかれる “
そんな思いが、ずっと心にあった。
メンバーは、気づいてるのだろうか。
最近、 初兎 の笑い方が少し不自然なこと。
「大丈夫やで」って笑うそれが、本当は全然大丈夫ではないこと。
…気づいてないとええな…
そう思っていると、スマホが震える。
通知は、 ほとけ からだった。
水「今日の配信、ちょっと元気なかったけど大丈夫?」
指が止まった。
バレてはいけない。
この人たちには余計な心配をかけてはいけない。
僕なんかのために、時間を無駄に使わせてはいけない。
「大丈夫やで!」
「配信前にお気に入りのコップ落としてもうて…w」と打ち込んで、送信ボタンを押す。
嘘の言葉が、またひとつ積もる。
初兎 は息を吐いて、モニターの明かりを消した。
暗闇の中、胸の奥が重く沈む。
けど、それでも――
「明日も、ちゃんと笑わな…っ」
笑顔担当って言ってくれとんのやから。
小さくつぶやいて、眠れない夜をやり過ごした。
ーー
翌日
朝、目が覚めたとき、体が動かなかった。
ただ疲れてるだけ、って思っていた。思いたかった。
けど、胸の奥にずっと重たい石みたいなのがあって、息をするのも少ししんどい。
スマホを見ると、通知がいくつも溜まってる。
桃「初兎ちゃん、次の資料の確認よろしく!」
赤「起きてる?」
水「無理しなくていいからね」
ほとけ からの最後のメッセージ
“ 無理しなくていいからね ”
その一文で、ちょっとだけ心が緩む。
けど同時に、心の奥がズキッと痛んだ。
「なんで、わかってまうんやろ…」
笑って隠したつもりでも、やっぱりバレてる。
自分は一番頑張ってるって思いたかったのに、本当は一番何もできていない。
そんなのとっくにわかってる。
「…ー…ッ♪…ーーっ…」
歌ってみるけど全然形にならないような声。
とても人には聞かせられないほどだった。
「……なんか、更に下手なったなぁ…っ…」
そう呟いた瞬間、胸が詰まって、息が止まりそうになった。
歌うことが怖くなったのは初めてだった。
あんなに大好きだった“ 歌 ”が、自分を苦しめるものになるなんて思わなかった。
ーー
夜、配信開始30分前のアラームが鳴る。
椅子に座ってマイクを見つめたまま、動けなかった。
部屋の中、時計の針の音だけが響いてる。
「…俺…っ…なんで、歌っとるんやろ…ッ…」
誰に言うでもなく放った言葉は、行き場をなくして静かに落ちていった。
涙は出ない。ただ、自分の中で何かが崩れていく音がした。
それでも、体はちゃんとパソコンの電源を押す。
画面に映る“ 初兎 ”は、今日もちゃんと笑ってる。
本当の 初兎 がどこにいるのか、自分でももうわからない。
部屋の空気は、やけに重かった。
ーー
配信終わりの部屋で、 初兎 はヘッドフォンをつけたまま椅子に座って、動けずにいた。
声がかすれて、頭が痛い。
でも、笑って終わった。
「おつしょう〜!」って、ちゃんと元気に。
通知が鳴る。
次は会議が始まる合図。
ただでさえみんなより遅れをとっているのだから、1秒でも無駄にはできない。
もう何もしたくないと叫ぶ体のSOSを無視して通話ボタンを押す。
赤「初兎ちゃん、配信おつかれ〜」
白「ありがとな〜!」
笑って返したつもりだけど、本当にできているのかはわからなかった。
水「初兎ちゃん、最近寝てる? 」
痛いところを突かれた。
早く返さないと心配をかけてしまう。
白「…寝とる寝とる、昨日もちゃんと……」
青「無理してんなら言えよ。お前、ちょっと変やで。」
白「変ってなんやねん、w俺はいつも通りやん」
軽く笑い飛ばす。お願いだからその“ いつも通り “のままでいさせてほしい。
黒「なぁ初兎」
白「なんや〜?」
黒「お前、歌ってて楽しいか?」
一瞬、時間が止まった。
心臓が早く、強く鳴る。
答えなきゃ。答えなきゃ、早く…っ
…無理、だ…っ
水「…初兎ちゃん、?」
白「た、楽しいに決まっとるやん…っ!w」
桃「……初兎。無理な時は、ちゃんと休んでね?…」
みんな、欲しい優しい言葉をくれる。
でも、ぼくはつよいから。
大丈夫だから、みんなはこんなぼくなんかに構ってなくて大丈夫だから。
「そんな心配せんくて大丈夫やで、しゃちょーさん♪」
「そんで、今日は何するんやっけ?」
冗談っぽく返して、話を強制終了させた。
ーー
2時間弱の会議が終わった。
モニターの光だけが、部屋を照らしてる。
“ お前、歌ってて楽しいか? “
そう問いかけられた声が、頭に染み付いて離れない。
…離れてはくれない
喉が痛い。
息が浅い。
目の奥が熱いのに、涙はもう渇ききっている。
「もう、…いやや…」
小さくつぶやいた。
その声は、もう自分のものではない気がした。
ーー
しばらく椅子に座ったままぼーっとしていると、
スマホがまた震えた。
ほとけ からのメッセージ。
『今から家行っていい〜?』
画面を見つめる。
“ ええよ ” って打とうとした指が、途中で止まった。
世界が少し歪んで、視界が暗くなる。
白「…あっ…れ…ッ?」
バランスを崩し、小さく音を立てて椅子からずり落ちる。
そのまま意識はブラックアウトしていった。
ーー
時刻は0時を過ぎていた。
ほとけ はずっとスマホを握ったまま、 初兎 からの返信を待っていた。
「返信、来ないな…っ…」
指先で画面をなぞる。
ついさっきまで通話してたのに、既読もついたのに。
何か引っかかる。
あの 初兎 が、既読スルーなんてするだろうか。
いつも、どれだけ疲れてても「おつー!」って一言は返してくれる。
それがないのは、初めてだった。
普段なら寝落ちしちゃったのかな?って、そう思えるのに。
「…行くか……」
小さく呟いて、上着を羽織る。
寒い夜の空気が肌を刺す。
「気のせい」だって何度も自分に言い聞かせるけど、嫌な胸のざわめきは消えなかった。
ーー
ピーンポーン…
これで3回目。
何回鳴らしても出ない。
念の為持ってきていた合鍵で、ドアを開ける。
真っ暗な家の中は、人がいるとは思えないほど静かだった。
初兎 の部屋の前に着く。
ノックしても、反応がない。
「初兎ちゃん? 起きてる?」
少し間をおいて、もう一度。
__。
やっぱり何も聞こえない。
心臓の鼓動が早くなる。
嫌な予感がする。
ドアノブをゆっくり回すと、鍵は開いていた。
部屋の中は真っ暗。
モニターの強い光だけが、ぽつんと光っている。
「……初兎、ちゃん?…」
声が震えた。
パッと見では 初兎 の姿は見えなくて、部屋に入って少し中を見る。
いないのかな、なんて思っていると、 椅子の下にうつ伏せで倒れているのが見えた。
一瞬、息が止まる。
「…初兎ちゃんっ!!」
駆け寄って、肩を揺さぶる。
反応がない。
息は……ある。微かに。
「…ッなん、…っ!」
声が裏返る。
胸の奥から、焦りと悔しさが一気に溢れ出した。
スマホを掴んで、電話をかける。
桃「…もしもし?どうしたん?」
「ないちゃん…っ! 初兎ちゃんが…ッ」
「…倒れてるッ!!」
通話の向こうの声が変わった。
「すぐ行く。救急車呼んで!」
震える手で119の番号を押す。
ほとけ の目に映る 初兎 は、余りにも静かで。
くっきり見える目の下の隈、明らかに良くない顔色。
普段あんなに明るくて、よく笑っている 初兎 とは真逆だった。
「……初兎ちゃん、なんで、なんも言ってくれないの…っ」
涙が、頬を伝って落ちた。
静かな部屋の中に、機械音とかすかな ほとけ の嗚咽だけが響いた。
ーー
…ここ、は…?
真っ暗で、何も見えない…よりかは何も無い、?
音が、遠い。
風の音みたいな、誰かの声みたいなものが、遠くでゆれている。
――「 …初兎ちゃん 」
誰かが呼んでる。
懐かしい声。優しくて、あったかい。
でも、誰の声か思い出せない。
目の前に、薄い光が広がっていく。
初兎 は、ふらりと一歩を踏み出した。
真っ白な空間の中に、少しずつ、仲間たちの声が重なっていく。
赤「しょにだ、おつかれ! 今日の歌かっこよかった!」
水「寝てる? ちゃんと休んでよ〜?」
桃「…無理すんなよ…?」
青「お前、ほんま頑張りすぎやねん」
黒「初兎。俺ら、待ってるからな」
みんなの声が、まるで光みたいに 初兎 の周りをぐるぐる回っていく。
眩しいのに、泣きたくなる。
「……みんな、なんでそんな優しいねん…っ」
小さく呟くと、胸の奥がじんわり熱くなった。
本当は、ずっと怖かった。
歌えなくなることも、笑えなくなることも。
自分が “ 初兎 ” じゃなくなったら、みんなに嫌われる気がして。
「…ほーんま、アホやな…俺…w」
苦笑が漏れる。
足元の光が、少しずつ強くなっていく。
――「初兎ちゃん」
また、誰かが呼ぶ。
今度は、はっきり聞こえた。
ほとけ の声だ。
「戻ってきなよ、初兎ちゃん…!」
その声に、心臓が跳ねた。
遠くのほうで、何か温かいものに包まれる感覚がする。
涙がこぼれそうになる。
「……あかん、泣いたらまた声出なくなるやん」
それでも、笑っていた。
久しぶりに、ちゃんと “ 自分 ” の声で。
初兎 はゆっくりと目を閉じた。
次に開いたとき、光の向こうには――
仲間の顔が待っている気がした。
もう、大丈夫…
ーー
初兎 が倒れてから、丸一日が経った。
病室の中には、機械の音だけが一定のリズムで響いている。
初兎 は点滴に繋がれたまま、静かに眠っていた。
カーテン越しに夕陽が差し込む。
その光の中に、五人の影が並ぶ。
黒「……なあ、ほとけ。いつから気づいとった?」
一番最初に口を開いたのは 悠佑 だった。
声は落ち着いてるけど、目の奥が沈んでる。
ほとけ は視線を落としたまま、小さく息を吸った。
水「……なんとなく、最近、笑い方が不自然だった気がしたんだよね…」
水「無理してるなって思ったけど……まさか、こんな、倒れるまで…頑張ってるなんて…っ」
りうら が手のひらをぎゅっと握る。
赤「なんで…ッ…俺ら仲間じゃん…っ」
その声には怒りよりも、悔しさが滲んでた。
いふ が天井を見上げて、深く息を吐いた。
青「初兎 ってさ、他人のことばっか気にするやん。」
青「自分のしんどさ、絶対隠すタイプやろ 」
黒「5年もおるんに…そういうとこ、昔から変わんねぇな」
その言葉に、 ないこ も小さくうなずいた。
桃「……あいつ、自分で限界だってわかってたんだな…」
ないこ の声は静かだった。
けど、その静けさが一番つらかった。
誰もしゃべらなくなった。
機械の音だけが、ゆっくり時間を刻んでいく。
水「……でもさ」
ほとけ がぽつりと呟いた。
水「ちゃんと生きてて、よかった」
その言葉に、全員が小さく頷いた。
ーー
初兎 の指が、わずかに動く。
白い天井、機械の高く一定な音、そして、どこか懐かしい声。
水「…っ!ねぇ、今…っ動いた…!」
全員の視線が 初兎 に向く。
初兎 のまぶたが、ゆっくり震える。
その瞬間、空気が一気に変わった。
ないこ が小さく笑って、
「おかえり、バカうさぎ」
と呟いた。
みんな、もう泣きそうだった。
初兎 は喉の奥でかすれた声を出す。
白「……ここ、病院…ッ…?」
水「そうだよ…!やっと、起きてくれた…っ」
ほとけ は涙でぐちゃぐちゃな顔で少し安心したように笑った。
その笑顔に、 初兎 の胸がじんわり温かくなる。
赤「しょにだ…っ起きてよかった…ッ」
りうら はベッドの横でそっと自分の手を握りしめていた。
白「…り…ぅちゃ…」
初兎は少しだけ口角を上げる。
声はまだ弱々しいけど、笑顔は本物だった。
青「お前、ほんま心配したんやからな?」
青「…なんで、なんも言ってくれへんの…」
少し寂しそうな、辛そうな いふ の言葉がぎゅっと胸に響く。
悠佑 も震えてるけど強い声で言った。
黒「お前、ほんまアホやな…っ」
黒「…でも、戻ってきてくれてよかった」
ないこ はベッドの端に座り、深く息を吐いた。
桃「……初兎ちゃん、」
桃「もっと、頼り方を覚えて欲しい…」
桃「お前のこと、守りたいから」
初兎 は少し照れたように目をそらす。
でも、胸の奥の重さがすっと軽くなった気がした。
ほとけ がそっと手を握る。
水「焦らなくていいんだよ。僕たち、ずっと一緒だから…っ」
初兎 は小さく頷いた。
「……うん、僕……頑張る」
ベッドの周りに、5人の顔が並ぶ。
心配、安堵、全部が混ざった空気。
初兎 は目を閉じて、深く息を吐いた。
そして、小さく呟く。
白「……ただいま、 “ 初兎 “ 」
5年間ずっと支えてくれた仲間たちのところに、ちゃんと戻ってこれた。
この夜は、静かで、温かかった。
もう、大丈夫。
__end
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
病みやみもやっぱ楽しいですね︎💕︎
ただ、終わらせ方が難しいです…笑
よければ💬していってほしいです…!
おつ莉麗でした~っ!
🎀 2025/11/28
🫧 5889 m