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はじまり

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はじまり

1 - 第1話

♥

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2025年06月12日

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大分意味がわからない。少し腐。


『ロスサントス警察より本日の10時から13時まで本署にてイベント開催!!この人はだ〜れだ。』


そのメッセージにヴァンダーマーが気づいたのはつい先ほどだった。目が覚めて部下から報告を受けている時に話題に上がったのである。


『警察の奴ら暇なんすかね』

そんな言葉を言うのはmosuのNo.2のキミトスである。確かに警察がこのようなイベントをするのは珍しい。普段はそのようなことができるほど時間がないはずだ。


『なんか上官どもが徹夜して頭おかしくなっとるんだとよ』

『それ誰から聞いたんだよ』

『さっきボイラから聞いた』

『それでいいのか警察』


そんなことを言っている間に通知がきて確認するとさらに詳しく情報が提示された。

『警察署員が女装します!!全員を当てることが出来たら1000万円。しかし女装した警察は話すことはないため観察力が試されます。誰でも参加可能!!!!しかしギャングで指名手配の場合、当てたら指名手配を取り消すが当てられなかった場合その場で即逮捕とする。ちなみに参加費100万円』


参加費あるんかい。しかもあんまり指名手配犯にとって利益ないし白市民しか参加しないだろ。頭がおかしくなるにしてもおかしくなりすぎだろう、と思ったが彼らが頭がおかしくなるほど徹夜することになった原因というのは我々ギャング達のせいだろう。

(実はそれだけでないのだが)そう思うと気の毒のような気もする。

珍しいイベントに参加したい野次馬心と警察に対するちょっとした同情心、当てることができたら得にはなるかぁ〜?とかいろいろ思うこともあり結局ヴァンダーマーはイベントに参加することにしたのである。



イベントが始まるまであと10分。本署にいくとかなりの人数が集まっていた。白市民のほうが多いと思いきやまさかのギャングとほぼ互角であった。

よくよくみると同じギャングボスであるウェスカーにmond、マクドナルドまでいる。たしかウェスカーは自分と同じく指名手配であったはずた。何参加してるんだあの人は…とも思ったが自分も参加しているので言葉にはしなかった。

あっという間に10分が経ち、警察署長であるジャック馬ウアーが登場した。


『すごい数の人だなぁ〜!!!!これは盛り上がりそうだ!!!!!!アッハハハ!!!!!』


なんてことをガン開きの目で言っている。なんかテンションがおかしい。あと目が怖い。これにはあのマクドナルドでさえ少し引いている様子だ。


イベントに関する説明がされ、まとめると、どうやら5人の男性署員が女装をするらしい。一定の時間が経てば我々が紙に自分の名前と予想した署員の名前5人分かくといったものだった。また段々と難しくなるらしくlv.1〜lv.5が順番に出てくるらしい。


『最初の一人はコイツだぁーーー!!!!!!』

登場したのは特殊刑事課の赤ちゃんキャップであった。いつものメイド服姿である。そのまんまじゃねぇか。案の定野次がキャップに飛ばされている。

『おいっ!!!女装というかいつもとおんなじじゃねぇか!!!!!!』

『特殊にもほどがあんだろっ!!特殊刑事課!!!!』

『うるさいグルネード投げるぞ』

『この国家ギャングがー!!!!』


登場一人目にしては大盛り上がりになるイベント会場。level1にしても簡単すぎるな。これだと案外全員当てられそうだ。

その予想通りlevel2、3はlevel1と同じくらいわかりやすいクオリティであった。ただメイド服を着ただけのまるんに、化粧はしているものの髪型を一切変えず鍛えられたムキムキの体を隠せてないミンドリー、心なしか二人とも目が死んでいるような気がする。


茶番が続くなか4人目が登場する。瞬間その場全員がはっと息を呑んだのがわかった。青色のミディアムヘアーはシュシュで軽く纏められ、長めの丈のコートにタイトなパンツ、パンプスととても上品に仕上がっていて男性特有の体つきも上手く隠されている。

『いったい誰なんだ』

『可憐だ…』

『今までの全部茶番』

『結婚しよう』

先ほどまでとは全く違う野次が飛び交う。誰かわからない人間が多いようだ。しかしヴァンダーマーは違った。

(あれは青井らだおくんだな。)

そうヴァンダーマーは青井らだおの顔を知っていた。しかも一度見た顔は忘れない、気に入った相手は特に。そんな性質を持っているヴァンダーマにとってはこれも簡単であった。

(やはり青井さんはいい…)

青井がお気に入りなヴァンダーマーはめったに見られない青井の顔が見れて大変満足した。


ついに5人目。青井による高クオリティな女装に大盛り上がりする会場。最後ということもありかなりハードルが上がってしまっている。

これは最後の人間が気の毒だなとヴァンダーマーは感じた。青井ほど顔の整った署員なんてものはなかなかいないだろう。ためをはりそうなのと言えばカニぐらいであろう。


(最後はカニかもな。あいつノリノリでこういうのしそうだし。)


『最後はこいつだぁーーーーーー!!!!!!』

掛け声とともに最後の署員がでてきた。その人物は青井よりも少し長めのサラサラした髪をたなびかせながら登場した。

少し褐色ぎみな肌、成人したてなのか幼い顔立ち、少しガタイもよく背は高いがその分すらっとしており、チャイナ服のようなものをきている。その人物は目を細めながらニコッと微笑んだ。歩き方、立ち姿、その他もろもろ随分上品で育ちがよさそうだ。チャイナ服からは足が覗いている。他の署員と比べてセクシーなこともあり何人かは恥ずかしそうに目を逸らす。


(だれだ……?)


カニではないことはわかる。褐色肌…ねぇ。割とわかりやすい個性なんだがな……。なんなら今まで会ったことがあるだろうか。ヴァンダーマも流石にこれにはお手上げであった。ふと隣のキミトスをみると、

『な、なんてき、きれいなんだ……』

なんてことをいってその人物に釘付けになっている。おい簡単に惚れるな。恋愛禁止だぞ。しかし引き込まれる理由もわかる。

見目がいいだけでなく所作も美しい、あとなんていってもあの目である。オレンジ色の少し垂れた目は一見温かみのある様子だが目の奥にギラギラとした輝いた光がみえる。真っ直ぐで、自信に満ち溢れた目だ。

ギャングには自分を含めて仄暗い目をした者しかいない。ない者ねだりというやつなのだろうか、ヴァンダーマーは自分にはないその目に引き込まれていた。きっとそんな人間は自分だけでないだろう。現に視界に映るギャングたちはその人物に、、その目に釘付けだ。



あっという間に投票の時間となり、投票箱に次々と紙が投入される。

『それでは結果発表となりまーす!!一人目は特殊刑事課の赤ちゃんキャップ!!なんと正答率100%です!!二人目はまるん!!!!正答率96.5%、3人目はミンドリー!!!!正答率は94.5%!!!!ここまではほとんどの人が当たっています!!!!そしておまちかね四人目!!!!なんとっ!!?青井らだおでーーーーーーす!!!!!!!!正答率7.5%!!!!!!』


四人目の人物が青井らだおであることが発表され、ザワザワしたが納得する人間がほとんどだった。

『らだおさんだったの!?』

『あの人めっちゃ顔整ってんじゃん』

『らだおきゅん僕は分かってたよ』

『なんか目覚めたかも』

なかには新たなドアが開いたものがいそうだがそれは置いとくとしよう。

さて5人目はだれかな。ヴァンダーマーは自分が知らない署員がまだいることに、ましてやあのような上品で整った顔をしている者に今まで気づかなかったことに、好奇心がでていた。もしかしたら新入署員なのかもしれない。そんなことまで思っていた。

『さて最後!!!!五人目の発表としたいところですが、、、、やはり内緒とさせていただきまーす!!!!!!!!』

「「「「「「はぁっ!!!??」」」」」

イベント会場の全員の声が揃った。本日1番の音量だろう。

『なんと五人目がわかったのは一人もいなかった。ならそのまま内緒にしといたほうが面白いと思ってな笑』

なんて呑気にいう。

『ふざけんなー』

『それでいいのか警察ーーー!!!!』


案の定野次がすごい。しかし、このようなイベントに参加させられたことに不満をもっていたのかキャップがロケランを担いでその場はパニック状態になり、イベントは五人目がわからないまま終了した。

誰も全員当てられなかったため、指名手配犯は自分含めて全員牢屋にいた。まぁ指名手配犯が集まっているため牢屋の中に入っていない犯罪者も多かったが(ヴァンダーマも牢屋に入っていない)みな素直に切符をきられている。

『らだおかわいいね〜触っていい?』

『セクハラ罪切りますよ、ウェスカーさん』

『らだおきゅんセクハラ罪でもなんでも切っていいからアンブレラきてよ、ねっ?』

『いかないっていってるでしょ』


青井さんはギャングから人気ということもありたくさんのギャングに囲まれている。

『ふふふ…、本当に美しいですよらだおさん。あなたは本当に青色がよく似合う…』

『ヴァンさんまで…あんまりからかわないでくださいよ』


少し照れたようすな青井さん。ギャング達全員がほっこりしている。が、青井も流石の優秀な警察ということもあり、次々とギャングをプリズン送りにしている。牢屋にいるのがあと五人といったところで、自分と同じくギャングボスであるウェスカーがらだおに問いかける。


『結局あのチャイナ服の署員は誰だったの?』

『え〜?教えませんよーー』


二人の会話を聞くためかまだ牢屋内にいたジョーカーやキミトスが黙る。


『教えてよ〜〜』

『うーん。でもあいつ恥ずかしがりやだからな〜』


はて、らだおくんがそのようにいうってことはあれは新入署員ではないのか。なんなら随分親しいとみえる。あいつということはらだおの部下であることには間違いないだろう、もしかしたら同期かもしれないが。

今思えばらだお含めた黄金世代全員の顔を知っているかと思いきやそうでもない。諦めきれないのかウェスカーが話題を終わらせまいと再度その署員について話す。


『綺麗な子だよね〜らだおももちろん美しいけどそれとはまた違って』

『可憐だった…』

『あんなやついたらすぐわかりそうだけどな〜』


黙っていたキミトスやジョーカーもその署員について話す。


『ヴァンちゃんもそう思ったでしょ?なんてたってあのm、』

『はいはいそこまで〜。そろそろプリズン送りますよ〜』


自分に振られたと思いきやらだおがそれをぶった切る。やはりウェスカーにとってもあの目は大変魅力的に映ったのだろう。

そんなことを考えている後ろでらだおとウェスカーが「浮気ですか?ウェスカーさん」「らだおきゅんそれって…」「なんちゃって〜プリズン送りまーす」「まったく小悪魔なんだから…心配しなくても俺はらだおくんh、」なんてやりとりをしており、非常にもウェスカーは話の途中で容赦なくプリズン送りされていたのだが…。「キミトスとジョーカーもね〜」「ちょっ、適当じゃない?俺らの時だけ」ということで二人もプリズンに送られて自分とらだお二人っきりになる。


そこでヴァンダーマはらだおのプリズン送りのタイミングに少し疑問に思う。普段の彼なら話がひと段落つくまで待ってくれそうなものだが…、疲れているのかそれとも署員の正体について探られないようにするためなのか…

『その署員と仲がよろしいようですね、らだおさん』

『そんなことないっすよ、、、バレたらめんどくさいことになりそうなんで』

『おやおや、あなたにそんな風に言われるとは…』

誰にでも丁寧な態度をとるらだおが少し粗暴になる、そんな署員はいたか。まだ自分があっていない黄金世代なのか。


『あれ?まだやってたんすか〜?』

聞き覚えのある生意気な声が聞こえてきた。

『つぼ浦か…』

『なんだぁ?ワクワクおじさんか。あんたもきてたんだな。こういうの好きじゃないと思ってたぜ。』

『ヴァンダーマーだ。いい加減普通に呼びやがれ。まぁたまには息抜きにいいと思ってな』

『なんかカッコつけてるけど捕まってんじゃねぇか、やっぱコメディおじさんだな。』

『このやろう』

『アアッ?』

『喧嘩すんなって。も〜。俺大分やったしヴァンさんはお前に任せるわ』

『いいんすかっ!?ラッキー、お小遣いゲット〜』

青井がいなくなりつぼ浦と二人きりになる。そういえばいたな、青井らだおが粗暴になる数少ない人物が、まぁカニも当てはまるが…

『フンお前ちゃんとできんのか』

『あたりめえだ、できる限りトッピングしてやるぜ』

『ふざけんな、また裁判起こされてぇのか』

売り言葉に買い言葉。いつもこうである。拉致があかねえな、そう思ったヴァンダーマは話を変えた。

『そういえばお前五人目誰か知ってんのか』

『…ああ、まぁ、な』

『誰なんだ』

『教えるわけねぇだろ』

『けちだな』

『なんとでもいいやがれ』

そういってさっさとヴァンダーマーをプリズンに送ろうとする。

『なんだ知られたら困るのか』

『テメエには教えねぇ』

『教えろ』

『くそ拉致があかねぇな、平行線だぜ』

『別にわしはプリズン出た後警察襲撃してもいいんだぞ』

『そんなことのためにか?やっぱコメディじゃねぇか』

『なんだと』

一触即発、そんなとき

『匠〜!!今屋上でみんなチルしてるからあとでこいよ〜』

つぼ浦の同期のオルカだ。

『おうよ。』

つぼ浦がオルカの方を向いて返事をする。つぼ浦の横顔がヴァンダーマの目にうつる。普段正面からみないためつぼ浦の顔はサングラスにより見えづらかったのだか横からだとよく見えた。オレンジの目がヴァンダーマーの瞳に映る。

(この目だ…褐色肌だしよくみると幼い顔立ちをしている……)

ここでヴァンダーマーは五人目がつぼ浦であることに気づいた。たしかにつぼ浦は褐色肌だったな、あまりにも普段の粗暴さが隠されていて全然わからなかった、ヴァンダーマーはつぼ浦の顔を脳裏に刻み込む。

『なんだ人の顔じろじろみて』

『いやお前そんな顔してたんだな』

ヴァンダーマーの言葉でまたニヤニヤしたその表情をみて、つぼ浦は五人目が自分であることがバレたとわかった。そう五人目はつぼ浦であった。本当はしたくなかったが押しに負けたのである。なんでも上官が徹夜する原因はギャングだけでなく自分たち特殊刑事課のせいだとかなんやら。人選がキャップと自分、否定しているがno.3のまるん、対応課のらだお、なぜか巻き込まれたミンドリーなのはそういうことである。つぼ浦はちくしょーと小さく呟いた。

『そうかそうかお前かわいい顔してるな』

『うるせぇ』

『あの服もよく似合っていた…今度あの格好でmosuにきたらいい。可愛がってやろう、なぁ?匠ちゃん?』

つぼ浦の顔が赤くなる。なるほど粗暴な態度、ヤンチャそうな見た目と裏腹に随分とピュアらしい。これは面白いことを知った。ヴァンダーマは新しいおもちゃを手に入れたような顔をする。こうしてみるとつぼ浦匠がなんだか可愛らしくみえる。

『あんな素足を晒して…、、触ってほしいのか?ん?』

『う、うるせぇ、セクハラ罪だこのやろ〜』

『おーおー、切れ切れ〜、だはははは』

普段は自分がいじられてばかりだが今日だけは別である。ヴァンダーマーがつぼ浦の顔に手を伸ばす。

『??なんだぁ、俺を殺す気か?』

『まさか……そんなことよりももっといいことさ』

そういってつぼ浦の体をひっぱり顔を近づける。サングラス上でもつぼ浦の見開いた目がみえる。ヴァンダーマーはつぼ浦のあどけない表情をみてニヤリとした。かわいい子はいじめたい、そんな子どものような彼はつぼ浦のまだ見ぬ表情をみようと瞬き一つせずつぼ浦を見つめる。恥ずかしそうに言葉にならない言葉を話すつぼ浦をみてそのままさらに顔を近づける。口と口が重なりそうになった瞬間、、、


プリズンに送られた。どうやらつぼ浦がキャパオーバーになったらしい。

(おっと…少し遊び過ぎたか………。どんな顔をするかみたかったんだがな…。まぁ今日はイベントに参加してよかった、、、おかげさまでつぼ浦の弱いところを知れた。アイツにはいろいろ世話になったからな、どうしてやろうか……あぁでもアイツに仕返ししたいギャングは山ほどいる、そいつらと手を組んで痛めつけるのもありかもしれない、そしてあの目を…)

ヴァンダーマーはつぼ浦の輝いている目を思い出す。綺麗なものは好きだ。しかし、、、

(堕ちるとあの目はどんな色になる?何を宿す?何を映す?……あぁ早く見たい、お前の堕ちた姿を)

ギャングボスであるヴァンダーマ。綺麗なものが好きな彼は、綺麗なものが堕ちる姿も大好きである。自分とは違う輝いた目をしたものが自分たちによって澱む。生意気で真っ直ぐな彼も堕ちるとどうなるか。自分に従順なペットにするのも案外いいかもしれない。そして毎度あの目にキスしてやるのだ。ヴァンダーマーは一人プリズンの中でつぼ浦の目を思い嗤った。

(次会える時が楽しみだ……なぁ、つぼ浦?)

そんなことを思われてるとも知らずにつぼ浦は顔を赤くしたまま、しばらく一人で顔の熱をとるために画作するのであった。




この先つぼ浦はどうなるのか。しかしつぼ浦匠という男は実に真っ直ぐな人間である。たとえ何が起こってもされても彼は闇に堕ちることはないだろう。彼の太陽のような目が暗くなることは一切ない。何が起こっても彼は誰かの従順なペットになんかならない。いつもと変わらず人を混沌に巻き込みその憎めない人柄で多くの人間を振り回す。ヴァンダーマーがそれに気付くのはいつになるだろうか。そして仄暗い思いが実はただの甘酸っぱい恋心であることに気づくのはいつなのか。前途多難である。

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