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【笑うあの子の裏事情 】
Episode.14 雪だるま
《🎼📢side》
🎼📢「はあっ……はあっ……」
寒い。
耳が、ちぎれそうだ。
でも、そんなことどうでもいい。
ただ───走る。
雪の中を。
ずっと。
靴が雪に沈む。
踏み出すたびに、足が重くなる。
🎼📢「っ……こさめ」
息が白く吐き出される。
🎼📢「こさめッ!」
呼ぶ。
名前を。
あの背中を。
夜に出ていった、あの背中を。
ドアが閉まる音。
振り返りもしなかった背中。
雪が降っていた。
あいつ、靴もちゃんと履いてなかった。
そのまま、外に出ていった。
俺は少し遅れて家を飛び出した。
でも。
もう、見えなかった。
🎼📢「……くそ」
走る。
雪はまだ降っている。
手袋なんてしてない。
手が、かじかむ。
でも止まらない。
🎼📢「こさめ!!」
叫ぶ。
真夜中の住宅街。
雪が音を吸い込んで、声は遠くまで届かない。
俺は公園を見た。
いない。
コンビニの前。
いない。
学校の近く。
……いない。
🎼📢「っ……」
息が上がる。
肺が痛い。
でも、 止まれない。
だって───
もし。
もし。
この雪の中で、 もし倒れていたら。
もし───
俺は首を振る。
考えるな。
考えたくない。
でも、頭の中に浮かぶ。
あいつの顔。
俯いて、 何も言わない顔。
🎼📢「……言えよ」
息を吐く。
🎼📢「言いたいことあるなら言えよ」
なんで黙る。
なんで逃げる。
なんで俺を避ける。
なんで。
なんで。
なんで。
🎼📢「……俺に言えよ」
声は、雪の中に消えた。
《🎼🌸side》
保健室。
静かな部屋。
こさめは───眠っていた。
ベッドの上で。
無理やり、俺が休ませた。
怪我の手当てを終えた後。
緊張が切れたのか。
こさめは、すぐに目を閉じた。
🎼🌸「……」
寝顔を見る。
包帯だらけの腕。
頬のガーゼ。
少し赤い目元。
痛かっただろうな。
怖かっただろうな。
その時、 扉が開いた。
🎼🍍「らん」
振り向く。
🎼🌸「…なつ」
なつが入ってくる。
🎼🌸「こさめ、寝たよ」
🎼🍍「そうか」
なつは静かに歩いて、ベッドの横に座った。
眠っているこさめを見る。
そして、小さく言った。
🎼🍍「……酷いな」
俺は頷く。
🎼🌸「見た時はぎょっとした」
本当に。
血だらけだった。
普通の転び方じゃない。
🎼🌸「……普通に過ごしてたら」
俺は言う。
🎼🌸「こんな怪我はしない」
言い切る。
断言できる。
🎼🍍「……だよな」
なつもすぐに同意した。
しばらく沈黙。
時計の音だけが聞こえる。
🎼🍍「……俺たち教師だけじゃ」
なつがぽつりと言う。
🎼🍍「どうしようも出来ない」
🎼🌸「…親が必要だ」
俺は言う。
でも。
なつは首を縦には振らない。
🎼🍍「何回も電話してる」
低い声。
🎼🍍「でも」
🎼🍍「返ってくる言葉は毎回同じだ」
『期待してない』
『あの子はいい』
『それより、いるまは』
なつは目を伏せる。
🎼🍍「……こさめのことなんか、見てない」
俺の頭に浮かぶ言葉。
『俺のこと、嫌いだから』
『こさめのこと、見てくれないから』
……そういうことか。
あの言葉。
ただの思い込みじゃなかった。
本当に─── 家庭環境が、良くない。
親の役割が、 逆効果だ。
沈黙の後。
なつが言った。
🎼🍍「……ここが」
そして、こさめを見る。
🎼🍍「ここが、こさめの本当の居場所だ」
なつを見る。
真剣な目。
冗談でも。
勢いでもない。
本気だ。
🎼🍍「……間違いなんて言ってねぇよ」
そんな顔。
俺はゆっくり頷く。
🎼🌸「……そうだな」
本当に、そう思う。
こさめが。
安心して眠れる場所。
それが、 保健室なら。
それでいい。
《🎼👑side》
🎼👑「……ねぇ、すっちー」
🎼🍵「なぁに?」
俺とすっちーは、外にいた。
雪だるま作り。
学校も休み。
雪はいっぱい積もってる。
やることなんて、これしかない。
久しぶりの雪だから。
すっちーは大きな雪玉を転がしている。
🎼👑「大きいのの作ろ!」
🎼🍵「腕疲れるよぉ」
でも。
俺は、少し不安だった。
でも、少しだけ。
少しだけ、気付かないふりをした。
*
🎼👑「……昨日、ね」
🎼🍵「ん?」
🎼👑「夜、物音が外から聞こえたんよ」
すっちーの手が止まる。
🎼🍵「物音?」
🎼👑「うん」
夜の11時くらい。
雪が一番強かった時間。
俺は寝てた。
でも、 ガタガタガタって音。
それと。
誰かが叫ぶみたいな声。
🎼👑「……窓、見たんよ」
🎼🍵「うん」
🎼👑「そしたら」
俺は少し言いづらくなる。
🎼👑「……こさめちゃんが」
すっちーの目が開く。
🎼👑「走ってるの、見えた気がして」
🎼🍵「……え?」
すっちーの声が低くなる。
🎼👑「ほら」
俺は言う。
🎼👑「俺の家って、まニキの家と近いじゃん」
🎼🍵「……うん」
🎼👑「だから」
雪だるまの手を止める。
🎼👑「見間違えじゃなかったら」
少しだけ震える声。
🎼👑「……こさめちゃんだったと思う」
すっちーは黙る。
風が吹く。
雪が少し舞う。
すっちーがゆっくり言う。
🎼🍵「……昨日」
🎼🍵「雪、すごかったよね…?」
🎼👑「うん、…夜」
すっちーは空を見る。
🎼🍵「もし」
小さく言う。
🎼🍵「こさめちゃんが、外にいたなら」
俺たちは、 同時に思った。
同じことを。
すっちーが言った。
🎼🍵「……探そう」
俺はすぐ頷いた。
雪だるまは。
途中のままだった。
next.♡1000
コメント
6件
ちゃんとストーリー性があって、本当続きが気になるような作品です。これからも頑張ってください!応援してください。
🌸くん、保健の先生大正解ッ💯✨ 📢くんは表じゃあまり感じられないけど☔くんのことを1番に考えているんだね… 続きたのしみにしてます( *´꒳`* )
📢ちゃん、人前では気にしてないように見えるけど、1人になると大切な弟を1番に心配してるんだな.... 居場所がない☔️ちゃんの居場所を作ろうとする🌸🌸と🍍ちゃん優しすぎる.....