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#いるらん
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🦖👻友情
注意事項
※不穏
※wnkgのwnとrbruのruです。wnruではありません。紛らわしくてすみません。
あらすじ
ヒーロー業によって心が疲れてしまったwnがruを誘ってキャンプに行くお話。
wnとruの友情物語ですが途中途中rbruやらwnkgやらが挟まったりもします。
色々と許せる方のみお読みください。
ここから伏字なし
小柳side
横から運転するウェンを見る。普段会話をしている時やゲームしてる時のテキトーさとは裏腹にちゃんと道路交通法に則って運転しているウェンは何だか変な感じがした。酒が入ってない時でも様子がおかしいギャルだと思っていたが、ちゃんとシラフの時もあるのだと助手席で胸を撫で下ろす。
「…どこ向かってんだ?」
もう車の窓から見える景色が知らない土地になってきた所で、ここまで持ち前の話の通じなさでうやむやにされてきた行き先を聞いてみる。ちょうど信号が赤になり、ウェンも言い逃れできない雰囲気を感じ取ったのか、「んー…」などと声を漏らし、もみ上げを人差し指でかいている。
「…ロウきゅんはさ、?なんで着いてきてくれたの?」
「ロウきゅんって呼ぶな。てかお前の方から急にドライブ誘ってきたんだろ」
「あははっー⤴︎そうなんだけどさぁー…」
ここまで来てもまだ煮え切らない態度を取るウェン。本当にこいつは逃げるのが上手いというか、本心を見せないというか。俺もそれなりに長く生きてきたつもりだが、ここまで心の内に抱えた感情を読み取れない相手はそうそう居なかった。ウェンに関しては隠すのが下手なくせに隠している事は決して察させないからタチが悪い。
「…無理に言わせるのも嫌だけど、こっちも無言で連れ回されるのはキツイんよ」
「いやーかわいそー」
「おい質問から逃げんな」
「えー?じゃあさ」
「今からキャンプ行こ。半分ぐらいは僕の奢りね」
「なっ…いや…、え?キャンプ?今から?
…いや半分奢りはただの割り勘だろ」
「あはははwwうそうそwちゃんと僕の奢り!」
色々と信じられないまま、確かに車は山の方へと走りを進める。一抹どころではない不安を抱きながらも、いざとなったら嘘でもなんでもついて帰ろうと心に決めた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「着いたー!!」
「ガチで山じゃん…」
自然の香りが鼻を着く。ウェンが車を停めた所には大きな木が影を作り、木漏れ日が降り注いでいる。そんな中トランクを開けてテントやBBQセットを取り出すウェン。その横にはちゃっかりしっかり業務用ハイボールと炭酸水が積まれているんだから感心する。
「ちょっとロウきゅんー?運ぶの手伝ってー!」
「ロウきゅんって呼ぶな。どれ持てばいい?」
「後部座席にクーラーボックスあるからそれ持って!」
言われた通りクーラーボックスを持つ。意外と重く、中に何が入っているのか気になり車の中で開けてみると、BBQ用の肉や野菜、そしてクーラー用兼ハイボール用と見られる氷が大量に入っていた。
「うわ…どんだけ飲むつもりだよ…」
「なんか言ったー??あんまり文句言うと割り勘にするよー!」
「…本当飽きずによく飲むな…」
両手にテントやらBBQセットを持ったウェンはズカズカと歩いて行ってさっさと場所決めをしている。良いところでテントを出し始めたので俺も立てるのを手伝った。
「ロウきゅんテントの立て方知ってるんだ。意外〜」
「知らねぇけど何となく分かるだろこういうのって。お前に任せる方が心配だわ」
「ねぇ全然信用されてなくなーい?」
「普段の行いのせいだろ」
ガヤガヤ言い合いながらも居住スペースを無事確保する。近くには川も流れているようで空気が澄んでいる。本来の生息場所故の居心地の良さを感じ、拉致された身だがこの場所を知れた事だけは感謝できるなと思った。
「はぁ〜運転疲れたぁ〜」
大の字でテントの中に転がるウェン。彼も背丈がある方だがテントが思いの外大きく、もう1人ぐらい余裕で寝れそうな大きさだ。
「テントはウェンの私物か?デカいな」
「うん。カゲツきゅんといつかデート行こうと思って買った」
「…何で俺誘っ…いや攫った?」
「えー暇そーだったし」
「意味わかんねー…」
俺も靴は脱がずにウェンが寝転がる横に腰を下ろす。見ての通りまだ彼は飯の準備をする気にはなれないようなので俺も少し休憩する事にした。
…彼の表情に、今日は少し陰りがあるように見えるのは気のせいだろうか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
出発したのが昼過ぎだったのもあり、夕食の準備をしているとあっという間に日が暮れた。あれから軽く休憩を挟んだウェンは、起きてから炭火を用意しBBQの用意をそつなくこなし始める。俺も焚き火を準備しながらウェンの様子を伺っていた。こんな自然の中でご馳走を前に二人というのは少し味気なさも感じたが、もう既にハイボールを摂取したウェンは上機嫌で肉を焼き俺の皿に盛っている。
「お前も食えよ」
「いーのー!作ってるとお腹いっぱいになってくるからさ〜」
「あぁそう。足りるだけ食べろよ」
そんな俺の言葉に生返事を返し、火を消し追加の酒を作るウェン。普段からあまり食べない方だと思っていたが、今日は尚更食が細いように感じる。
「ねぇー。こんなにロウきゅん連れ回してさー、るべショウに怒られない?僕」
「あー。帰ったら八つ裂きかもなぁ」
「えぇっ!?!ちょっと出発する前に行ってよぉ〜僕八つ裂かれる準備できてないんだけど!」
「行先きも告げずに連れてきたのはどっちだよ」
「ははぁっ⤴︎」
普段と何ら変わらないように見えるウェン。…いや嘘だな。やっぱり空元気さが拭えない。お得意のアルコールが入ってもこのテンションというのは大分重症なのではないだろうか。ウェンがこうなるのに思い当たる出来事なんか知らない。何があったって心にギャルを飼う事を忘れないメンタル最強ヒーローだったのに…。そう考えると尚更原因が分からなくなるが、1番可能性として高そうな事を聞いてみる事にした。
「…何?カゲツとなんかあったか?」
「んーん。順調だよ。もうラブラブすぎて毎日べりはっぴー⤴︎って感じ」
「じゃあなんで急にこんな…」
「……」
ジョッキを置いて腕をさするウェン。こういう時に酒は嫌な事を忘れさせてくれる物のはずなのだが、一般的な量じゃ酔わない俺らは何だか普通の人間よりも損をしている気分になる。
憂い目で焚き火を見つめたウェンが口を開いた。
「恋人にも言えない事って、ロウにはないの?」
「…まぁ無いと言ったら嘘になるな」
「そっかー。じゃあ僕ら悪いヤツ同盟だね」
氷を足して、おかわりを作るウェン。まだまだ酔える気はしないらしく、焚き火と炭酸水と氷の音がこの空間に響き渡る。
「僕さ、この間の任務で人殺したんだよね」
「は…」
高火力とか、そんなもんじゃないきっぱりとした物言いに何も返せなくなる。そんな俺に構うことなく彼は言葉を吐き続ける。
「僕のせいじゃない…って言えばそうんだけど、まぁ目の前で息絶えられちゃったらさ、ヒーローとしては殺したも同然じゃん?オリエンスの野郎達に何言われても、カゲツきゅんに何言われても、もうちょっとさー入ってこないっていうか。気遣って優しい言葉かけてくれてるのはわかるんだけど、ずっとなんか、体っていうか心の中っていうかが冷たいみたいな?
…カゲツきゅんさ、自分から僕にキスしてくれたんだよ?普段絶対自分からなんてしないのに。だから僕めっちゃ嬉しかったのに、…?嬉しかったはずなのに、なんか、何も言えなくて、」
ウェンは泣いていた。それすらも自分の意思ではないように、垂れ流れる涙をそのままに俯く。
「ハイボール、こんなに不味いの初めて」
「っ…ウェン…」
目にハイライトがない。絶望しきったような暗い顔。色々と考えてしまう。被害者の家族からも様々な言葉を投げられたのだろう。同期がそれに本気で怒ってくれたのだろう。それなのに自分は何も言えなくて、好きな人からの好意でさえ上手く返せない。自分に失望するには十分すぎる彼の境遇に返す言葉が見つからなかった。
「ねぇロウ、好きって言ってよ。僕に」
「…は?」
どんな言葉をかけようかと考えを巡らせていると、ウェンから意味の分からない頼みを言われた。
「お願い。るべショウに全部僕が悪いって言っていいから。お願いロウ」
「…っ」
ふざけんなよ言うわけないだろ、と口をつきそうになった言葉を飲み込む。いつものへらへらした感じが一切感じられない、彼から伝わる不安と苦しさと緊迫感。そんな有無を言わせないウェンの気迫に俺は負け、友達としての精一杯の気持ちを言葉にした。
「…好き…、だよ」
「……っふ。全然嬉しくなぁいっ」
直後彼の瞳から堰を切ったように大量の涙がこぼれ落ちる。わんわんと膝を抱え泣くウェンはあまりにも幼く、俺もただ背中を撫でる事しか出来なかった。しゃくりあげながら度々「ごめん…ごめんなさい…っ」と呟くウェンの姿が痛々しく、たとえ今彼を抱きしめたって俺は大した安心感を与えられない無力さを知る。それでも俺はただひたすらにウェンが泣き止むまで隣に居た。
大事な友達が、ここまで傷ついて尚ヒーローを続ける理由を、俺はまだ見つけられていない。でも、きっと俺がどんな言葉をかけたって、赤城ウェンという男は人生をヒーローに捧げるんだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
山の方ということもあり、夜中になってから予報にない雨が降ってきた。先程まで俺らを照らしてくれていた焚き火も消えてしまい、外に出していた調理器具や食料品類も急いで車に積む。その間もウェンは一言も発さず、淡々と雨に降られながら作業をしていた。
色々と済んだ所で先に建てておいたテントの中に入り、ウェンの用意したタオルで体を拭く。上着はびしょびしょになってしまった為、明日になったら干そうと丸めて置いておく。俺が体に着いた水気を一通り拭き取ってもウェンはテントに入ってこなかった。入口の目の前で何処かを見たまま突っ立っているのだ。フード付きの上着を被っているとはいえ、もうウェンの前髪はとうに濡れてしまって、顔だってもう涙か雨か分からない程度にはびしょ濡れだ。雨に降られたい彼の気持ちも分からなくは無いが、運転手に風邪をひかれては困るので、意を決して話しかける。
「…おいウェン。風邪引くぞ」
「うん…。引こうかな」
「お前しか車運転出来ないんだぞ?何日俺をここで野宿させる気だ」
「ロウきゅん野生の狼だから大丈夫だよ」
「…。それ以上駄々こねんなら星導からだけじゃなく俺も八つ裂くぞ。嫌なら入れ。ロウきゅんって呼ぶな」
「んふ。キャンセルされるかー」
全然笑ってない顔のまま、こちらを振り向きやっとテントの中に入るウェン。上着を脱がせ、タオルを渡す。体の水気をいくら拭き取っても、目という絶えない水源のせいで頬は濡れたままらしく、頭をわしゃわしゃと拭いたタオルを頭にかけたまま横たわるウェン。俺もそれに合わせて寝転がった。
「…雨の音すごいねー」
「そうだな」
「…」
たわいのない言葉を交わし、彼の気持ちも落ち着いたのかと思った直後、また静かに体を震わせ泣き始めるウェン。きっと彼の目元は明日の朝真っ赤になっている事だろう。嗚咽を出さないようにしているのか、口元にタオルを押し付け、隣にいる俺にもバレないようにして泣いているウェン。バレバレなのに、もう心は限界なはずなのに、隣で寝る俺を気遣ってうるさくしないようにと配慮するその姿勢。何も気にして無さそうなのに誰より周りを見ている彼の良い所が、今は彼を蝕んでいる気がした。
「…雨の音で何も聞こえんわ。隣でウェンがエペし始めても気付かねぇよ」
「…っ…グスッ……し、く…優しくしないでよ…っ…うぅ」
こんな俺の遠回しの言葉でさえ真意を見抜き、とうとう声を漏らして泣くウェン。誰かへの気遣いも、見栄も道化も剥がれた今の姿を、ウェンはきっと、いや絶対にカゲツや、オリエンスの友人らに見せたく無かったのだろう。横で静かに叫ぶように泣くウェンを見て、俺はこのヒーローを支える為に存在しているんだと錯覚する。今ここにいる彼を救う為に俺は友人になったのだと思ってしまう程、この空間のこの空気が肌に刺さった。
暫くして泣き疲れ気絶するように眠ったウェンを残し、雨の小降りになった外へ出る。カゲツに怒られる覚悟で「ウェンとキャンプ行ってる。文句は星導まで」とメッセージを送った。それから星導へ電話をかける。
『もしもし』
「あーもしもし星導?俺さ今日明日ウェンとキャンプしてるから一応把握しといて」
『は?事後報告?』
「仕方ないだろウェンが俺の事拉致って着いた先がキャンプ場だったんだよ」
『ニキは推しなので許しますけど小柳君は帰ってきたら色々お話あるので』
「うん…、色々言いたいけどいいよそれで。…あともう1つ。俺ウェンに…好きって言った。本心でないにせよごめん」
『…え?何どういう事』
そこでウェンが任務関係で心の調子を崩してしまった事を星導に明かした。勝手に喋った事をウェンに謝らなければいけないが、まぁ彼が一番知られたくないオリエンスの面々やカゲツに話した訳ではないので許してくれてと心の中で願う。
『んー…。まぁ事情は分かりました。ニキ大丈夫ですか?今話に聞いただけでも相当な重症みたいですけど』
「いつも以上に酒飲んでたけど現実逃避も上手くできないみたいで全然酔ってなかった。なんか泣いては泣き止んでを繰り返してる感じ。弱ってるのをオリエンスの奴らとかカゲツに見せたくないんだと」
『ふーん。それで小柳君を選ぶのはニキもセンスがいいですね』
「どういう意味だよ」
『いえ、弱った時に横にいて欲しい友達として小柳君は優秀ですから。深くは聞かず、でもずっと傍に居てくれる所とか。まぁ俺は恋人なので日頃からそういう小柳君のいい所を堪能させてもらっ…』
「いい、いいよもう分かった…//…とりあえずウェンの方のメンタルケアは俺がやるから、カゲツの方は頼んだぞ」
『え?あぁ、はい。?』
「くれぐれもウェンが調子悪いって事は言うなよ。本人の口からちゃんと伝えさせるから」
『あぁ、分かりました。』
「じゃ」
『ちょっと待って』
電話を切ろうとした所で星導に呼び止められる。流石に寒くなってきたのでもうテントに戻りたかったのだが。
『大好きですよ。小柳君の思う、ウェンにしてあげたい事をちゃんとしてあげてください。俺の推し傷つけたら許さないですから』
「はっ…w分かったよ。明日には帰れると思うけど、まぁまた連絡するわ。
……俺も好きだよ」
『ふっ。いい夢が見られそうです』
「はいはい、じゃあな」
『おやすみなさい』
おやすみ、と返して電話を切る。他の男と2人で泊まりだという事をもっと責め立てられるかと思ったが、俺が想像していたよりも星導は俺を信頼してくれているようで嬉しくなった。まぁはなからお前以外に振り向く事なんて無いなんて言葉は、俺の中だけに留めておこうと思うのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
静けさに目を覚ます。
朝になり、雨は止んだようだった。俺は体を起こし、昨日べしょべしょになった上着を上手いことテントの屋根に括り付け干した。ウェンの上着も干しておこうと再びテントの中に入った所で彼も目を覚ましたようだ。
「…んーっ……頭いたぁい…」
「えっ…?熱か?」
「んーん。たぶん二日酔い。僕か二日酔いとか都市伝説レベルなんですけどー…」
「言ってる場合か。まじで頼むからどうにか酒抜いて今日中に帰らせてくれ」
「えー…無理かも」
まさかの2泊疑惑が出たところで俺は静かにため息をついた。まぁ確かに今日中に帰れたとしてもウェンの心を取り巻く重たい現実は、まだ何一つ変わっていないんだから急ぐのもおかしいが…。だからといって俺がウェンともう1泊したからってその鬱蒼とした気持ちを和らげてあげられる自信もない。でも昨日星導に言われた「ウェンにしてあげたい事をちゃんとしてあげてください」という言葉を思い出し、静かに覚悟を決める。
「ウェン、やっぱこのキャンプ割り勘な」
「んぇ?」
「今日は俺がやりたい事をやる。泊まりのつもりでいろよ」
「…さっきと言ってる事違くない?今日帰りたかったんじゃないの?」
「社会の歯車にハマってんのが気持ち悪くなったんだよ、野生の狼だからな。…それに俺らは悪いヤツ同盟なんだろ?付き合えよ俺のサボりに」
「…んふっwいーよ。氷買い足したいから後で1回山下ろうね」
「あぁ。起きて水飲んで酒抜いとけ」
「はーい」
ちょっとだけ笑顔の戻ったウェンに俺も安心する。恋人でも思いやりのある同期でもない、ただの友人の俺だから出来る事をしてやろうと心に決めた。
星導side
小柳君から予告があった通り、カゲツから連絡があった。文面でのやり取りは今のカゲツにとって最善ではないと考え、家まで行こうかと提案すると「僕が行く」と言われてしまったので来てもらう事にした。
連絡をもらってから小一時間後、玄関のチャイムが鳴る。インターホンを押してすぐに玄関のドアを開けに行った。
「いらっしゃ…」
「タコぉ…!!…っ僕、あかぎに嫌われたかもしれんっ…。前から様子おかしくて、この前も僕から色々キスとか…したのに全然喜んでくれんくて…。今っ、ロウからあかぎと旅行行ってるって、っ僕、ぼくあかぎに捨てられたんかなぁっ」
玄関前で気持ちを吐露するカゲツ。小柳君からカゲツの方は頼んだと言われたがこういう事かと1人納得した。自分で話しながら涙が止まらないらしく袖で拭い肩を震わせている。
「とりあえず、中入れば?」
「うん…」
目を伏せたままフラフラ歩いて俺の家に入ってくるカゲツ。何だか気を抜いたら倒れそうな彼をある程度の距離で見守りながらリビングへ通す。お茶を出して彼の向かいに座り、話を聞く体制をとった。
「一旦落ち着きましょう。小柳君の方からも軽く話は聞いたので」
「…タコは心配やないんか?おおかみがあかぎと泊まりに行っとるの」
「まぁ…嫌ですけど、今回は小柳君の方からちゃんと自己申告があったので許しました。まぁそれに、小柳君は俺の事大好きなのでウェンなんて眼中にないですよ」
「でもあいつら2人でゲームとかもしとるやん…もしかしたらあかぎは…僕より…っ」
「絶対無いです。断言します。カゲツは誰よりも大切にされてますよ。ウェンがちょっと言葉足らずなだけです」
「そうなんか…?…」
すっかり自信喪失の様子のカゲツを励ます。…とはいえ、ウェンの調子が悪い事を言わずしてこの状況をどう納得してもらうか…。今更ながら無理難題を押し付けられたなと小柳君を少し恨む。とりあえず、ウェンの任務の事がどの程度伝わっているのかを探ってみる事にした。
「カゲツはウェンの最近の任務の話とか聞いてます?」
「任務…?あぁ、なんか…あんまり赤城に聞いても答えてくれんからちゃんとは知らないんやけど、1週間ぐらい前に菓子折り持ってスーツで出かけた日あって…被害者出たんかなとか思ってたんやけど…」
カゲツが任務の概要は聞いていない事を把握する。まぁ確かに同居しているとはいえあのウェンが相手じゃ詳しくは話して貰えなさそうだなと思った。
「なるほど。まぁ、それが最近の様子のおかしい主な原因だと思います」
「そうなんか…。元気ないからさ、さっきも言ったんやけど、僕なりに元気づけられるようにハグとかキスとかしてみたんよ。でも、なんか心ここに在らずって言うん?「あぁ…」みたいな、反応薄くて…僕本当にどうしたらいいんか分からんくて…」
「うんうん。カゲツはウェンの事沢山考えて頑張ったんですね。いい彼氏じゃないですか」
「…ん…当然やろ…」
少しは自信が戻ってきたのか、はたまた強がりなのかは分からないがいつもの調子になってきたカゲツ。やっと俺が出したお茶に気づいたのかちびちびと啜っている。
とにかくカゲツが調子に乗るぐらい褒めまくって、安心して帰ってもらう事にした。ウェンの詳しい状況を話せないという枷のある状態では出来ることが限られるのだ。
「無責任って言われてもしょうがないんですけど、大丈夫ですよ。ウェンは絶対喜んでるはずです。俺だって小柳君から積極的に行動されたら嬉しすぎて言葉失うと思いますし」
「そうなん?嬉しくてなんも言ってくれんかったって可能性もあるんか…」
「えぇ。もう少し自身持ってください。今回勝手に小柳君と出かけたのは確かに怒ってもいいことですけど、それとは別にちゃんと愛されてるって事、分かってくださいね」
「うん…。…何かメッセージ送ってみようかな…」
「いいんじゃないですか?」
スマホを取り出したカゲツはウェンとのメッセージ画面を開いて硬い表情をしている。
「…送らないんですか?」
「いや…僕が今送っても…おおかみとの時間の邪魔になるかなって…」
「じゃあ今ウェンからメッセージ来たらカゲツは俺との時間の邪魔だって感じるんですか?」
「なわけあるか!」
「じゃあ大丈夫ですよ」
「…ん。」
尚もスマホとにらめっこしながら数十分かけてカゲツは何かを送ったようだった。
「よし」
「なんて送ったんですか?」
「元気か?って」
「内容薄っ。もっと色々送ればいいのに」
「だって思いつかんのや…何か余計な事まで言っちゃいそうやし」
「余計な事?」
「寂しい…とか」
おもむろに指を遊ばせているカゲツからスマホを奪い、「僕は寂しい」と追加で送信した。
「ちょっ…タコ!?!」
「こういうのは言ったほうがいいですよ!ウェンだって何も言ってくれないから今カゲツは不安になってるんでしょ?」
「そ…そうやけど…。嫌われたらどうしよ…」
「はぁ……もう嫌われる訳ないでしょ…何言ってるんですか…」
思わずため息をついてしまう。俺が小柳君から寂しいなんて送られてきたらその日の夜は寝かせない…なんて事をカゲツに言ったらウェンから怒られそうな気がしたので言えなかったが、本当にもう少し自信を持つべきだと思う。
「…タコ、もう少し家居てもええか…?」
スマホを机に放って、自身も机に伏してしまったカゲツ。無理に帰す理由もないので、そってしておく事にした。
「いいですよ。俺も小柳君居なくて暇なので」
「……寂しくないん?」
「ちょっとは寂しいです。でも小柳君は俺のものなので、絶対帰ってきてくれるのが分かってるとそんなに寂しくないですよ」
「すごい自信やな」
「はい。大好きですから」
カゲツは俺の方をぼうっと眺めて呟いた。
「…俺もあかぎの事。大好きやから。」
「ふっ。カゲツには負けるかもしれないですね」
「…当然や」
少しは落ち着いた様子のカゲツに俺も胸を撫で下ろし、小柳君に状況を送っておこうとメッセージアプリを開いた。
小柳side
「くらえっ!!」
「っ…!?お前服濡らしてくんなよ!」
今俺らは絶賛近くの川で鮎鷲掴みチャレンジを行っている。上手く行けば俺らの昼飯は鮎になり、捕まえられなければ食べていいのか分からない山菜と酒が昼飯になる。なので真剣に捕まえなければいけないのにも関わらずウェンは手で水鉄砲を作って俺の顔めがけて噴射してきた。
「やーい当たってやんのー!」
「お前…昼飯がかかってんだぞ?もっと真剣に取れよ!」
「いやいや遊び心足りてないね〜ロウは。僕の標的は鮎じゃなくてロウきゅんになったから!今!」
「ロウきゅんって呼ぶなぁー!」
俺も水鉄砲を作って彼の顔面めがけて水を吹き出させる。普段エイムを鍛えてるだけあって、彼の前髪めがけて見事に水が飛んでいった。
「うっわ最悪!!ちょっと男子ぃ!?前髪狙うのは反則でしょー!」
「しーらね!!当たるお前が悪いね!」
「はぁー⤴︎︎︎!?w」
ぎゃいぎゃい言い合いながら水辺で遊ぶ俺ら。傍から見たら野生の獣のじゃれあいのように見えているのかもしれないと思ったら、何となくもうどうでも良くなってしまった。足元でまくっていた布が落ち、水に浸かる俺のズボン。ウェンは丈の短いズボンを履いている事で濡れずに済んでいるのが鼻につき、丁度捕まえた鮎をウェンの方に投げる。
「昼飯お見舞いしてやるよっ」
「えっ!?ちょっ…うわぁっ!!」
暴れる鮎をキャッチしきれずバランスを崩したウェンは、見事に川の中で尻もちをついた。鮎も無事に逃げれたようだ。これが本当のキャッチ&リリースなんつって。
「おい!!ふざけんなぁ!下べしょべしょになったじゃねぇかー!!」
「俺ももう濡れてんだわ!」
「お前足元だけだろぉ!!こちとらお気にの下着ちゃんが真水にダイブしちゃってんの!」
「ぎゃーぎゃー言うなwほら起き上がれよ」
彼に手を差し出し立ち上がらせる。しかし向こうも企んでいる事は同じで、俺の手をぐんっと引き転ばせようとしてきた。急いで重心を変えるが大剣持ちのウェンにはあまり通用せず、抵抗虚しく川へ放り投げられてしまった。
「お゛い!!…っははっww」
「はははははハァ⤴︎︎︎ww」
結局ウェンも体のほとんどを川に浸けたまま俺を見て爆笑している。昨日の色の無い世界を見ていた目からは想像出来ない程ハイライトいっぱいの瞳で笑う彼。もしこれが彼の演じる空元気だったらという不安を一瞬でかき消してくれた、ウェンからの「楽しい」という匂い。
流水に冷やされていく体が気にならない程、俺の心は友人と過ごす時間によって温まっていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後お互いに着替え、昼飯は無事鮎の塩焼きを食べる事ができた。腹ごしらえをしたあとは木の茂った中で軽い戦闘訓練にウェンを付き合わせた。程よい運動は悩みのある人間に対して効果的だと長く生きる上で俺が学んだ事だ。とはいえ任務で嫌なことがあった人間に無理強いは出来ないと思っていたが、俺が提案したらウェンのほうが乗り気になって参加してきたのだ。
「ウェン…っ、大剣持ってねぇからバランス取りにくいんじゃねぇーのっ」
「だから今頑張ってんでしょうがー!っほんとロウきゅん早すぎ!!追いつけないって!!」
「文句より足動かせ!ロウきゅんって呼ぶなっ」
木々を蹴ってウェンの方まで一気に距離を詰めて、そこら辺にあった木の棒で彼の背中をぽんと叩く。
「はい一撃〜」
「はっ…!?ずる!?」
「ずるくねぇよ。ウェンは無理に敵を追っかけるんじゃなくて自分のテリトリー内に敵を引きつけろ。いくらリトみたいに体力バカになったとしても、あんなデカい武器持って自分からやみくもに敵追うのはスタミナの無駄だ。逃げ場のない所まで追い詰めるか何かしたほうが効率が良い。まぁそんな事言ってらんねぇ時もあるけどな」
「…急に真面目じゃん。どうしたのロウきゅん?頭打った?」
「次はお前の頭に抜刀食らわしてやるよ。ロウきゅんって呼ぶな」
そう言って俺は後ろに思い切り飛んで木々の中に隠れる。これ以上下がると林を抜け少し開けた道の方に出てしまうため、木の上の方を伝ってウェンの後ろへUターンしようとした…
その時、ザンッという凄い轟音が鳴ったかと思うと、1つの木がガサガサと揺れ動く。さっきウェンがいた地点の木なので俺もそこめがけて移動する。案の定木の上まで登ってきたウェンを見つけ、また棒で叩こうと構えていると
「やばっ!?ロウきゅん早すぎるんだって!」
と文句を言いながら、あろう事か数メートルは離れていそうな隣の木に向かって飛んで移動した。
「はっ…!?お前危ない…って、…いつの間に変身した?」
ウェンは気づいたら変身していたようで、ご自慢の尻尾を揺らしながら開けた道の方に走って逃げている。
「俺が隠れられないように誘ってんのか。いいじゃん」
ウェンの策略にハマってやろうと俺も木々を伝ってウェンの後を追う。あと少しで道に出るという所で、突然、足場にしていた木々が倒れた。倒れた?
「っ!?」
急いで地面に着地し、倒れた木の方を見る。根本からきれいにバッサリ切られており、まさか…と考えていると、その周りの木も俺の方に向かって倒れてきた。
「何だよ…っ」
「僕のテリトリーだよロウきゅんっ!!」
いつの間にやってきたのか、倒れる木から逃げるため後ろを振り向くとウェンが大剣を持って立ちはだかっていた。後ろからは倒れてくる木。前には変身したウェン。
…逃げられない。
そう思った時、俺の顔の真横にウェンが剣を振り下ろし、倒れてくる木を真っ二つに捌いてしまった。
「っ…!?」
「ふぅ…。流石に怪我させちゃったらるべショウから怒られちゃうからね〜。…ロウ?流石に僕の勝ちでいい?」
変身を解いて伸びをするウェン。俺も手に持っていた木の棒を捨て、倒れた木に座り込む。
「いや…お前自分の大剣持ってたのかよ…」
「変身しないとは一言も言ってないよ?決めつけは良くないんじゃない?ロウきゅん??」
「…。ロウきゅんって呼ぶな。…負けだよ俺の」
「え!?やったー!!僕勝っちゃったロウに!!えー自慢しよカゲツきゅんに…」
そう言ってスマホを取り出しニコニコでいじっていたのに、急にスンっと表情を無くすウェン。また何か任務の事を思い出したかと身構えていると、こちらを向いて話してきた。
「…帰らないと」
「…え?」
「カゲツきゅんが…、寂しいって」
「……」
スマホを見つめ、棒立ちのウェン。さっきまで走り回っていたからか、そのメッセージを見たせいか、ウェンの呼吸が荒いまま落ち着く気配を見せない。彼の目が水で満たされていくのが見えてしまった為、俺は後ろから彼の肩を叩いてテントの方へ連れて行く。
「…帰ろう。急いで準備するぞ」
「ん…うんっ」
焦る様子のウェンを落ち着かせながら、テントをしまうなど着々と荷物を車に乗せていく。
全ての準備を終わらせ、車に乗り込んだ俺ら。ウェンに運転は任せ、俺もスマホを確認してみると星導から
『カゲツの方、どうにかなりました。まだ俺の家に居ます』
とメッセージが来ていた。なので俺も
『今から帰る。夜までには着くと思うけど、カゲツ引き留めておいてくれ』
と返した。
「ウェン、星導の家向かってくんね?」
「え?何で…」
「カゲツ星導の家に来てるんだと」
「え…。ロウ、何か手回したの…?」
「あー…悪ぃ。星導に言った。でもカゲツにはお前が弱ってる事言うなって言ってあるから安心しろ」
何か言いたげな顔でハンドルを握るウェン。万が一カゲツにバレていたらどうしようとでも思っているのだろう。運転に集中させる為にも少し厳しい事を言う。
「…カゲツにバレていようがいまいが、ちゃんと自分の口から言えよ。何で元気なかったかとか、任務で何があったかとか」
「…ん…。…カゲツきゅん…引かないかな…。こんな情けない彼氏で」
「引かねぇだろ。泣くほど辛い事があったのに何一つ相談もされないで違う男と2人で泊まりに行かれる方が引くほど嫌だね」
「…刺してくんなよ…言い過ぎだろうが…」
しぼんだ声でツッコんでくるウェン。それでも何か腹を括ったようで、深呼吸をしている。
「…それに、ロウは共犯だからね。カゲツきゅんに怒られたらロウも謝ってよ」
「あぁ。謝るよ」
次第に景色が都会へと変わっていく。二日酔い明けでも安全運転の車に揺られ、俺は知っている景色が見えてくるのを心待ちにし、少しの時間目を閉じた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……」
「…きゅん」
「ロウきゅん?起きて」
視界に広がるピンク髪。暗闇でも輝く青眼に目を逸らした。
「…悪い、ガッツリ寝てた」
「もう着いちゃったよるべショウの家…」
「降りないのか?」
「ん…」
まだ心が決まっていないのか、一向に車から降りる気の無いウェン。仕方ないので星導にメッセージを送り、カゲツをこっちに連れてきて貰うことにした。待つ間ウェンの覚悟を決めさせる為に声をかける。
「まだ言うの躊躇ってんの?」
「…んー、何か、言ったら泣きそうっていうか…。カゲツきゅんの前で泣きたくないから…」
「弱みを見せてくれんのも、信頼されてるみたいで嬉しいもんだけどな」
「……好きなだけ抱いても許してくれるかな」
「なっ、…。まぁ…それはカゲツ次第だろ」
「ロウだったら?」
「……俺と交わって少しでもあいつの気が楽になるなら、いくらでも抱かれるよ、俺は…」
「ふーん。素敵な彼氏やってんだねロウきゅんも」
「ロウきゅんって呼ぶな」
するとウェンのいる運転席の方の窓の外にカゲツの姿が映る。ウェンは気づいていないようで、もじもじと下を向いたままだ。
「…愛しの彼氏さんの方から出向いてくれたみたいですけど?」
「…?…っえぇ!?」
するとカゲツが運転席のドアを明け、バッとウェンに抱きつく。
「っ…寂しかった…。勝手に居なくならんといてや…」
「…カゲツきゅん」
「おかえりなさい。小柳君」
「おう。迷惑かけた」
助手席側の外に星導が立っていたので俺も窓を開け言葉を返す。
「小柳君、帰ったら少しお話しましょうね」
「げ…。まぁ許して貰えないよな…」
「っ…るべショウ!…ごめん僕が悪いの!無理にこやロウの事誘って、僕が無理に…」
「いいんですウェン。分かってます。…これは俺の嫉妬なので。ウェンは悪くないですよ。何なら小柳君も悪くはないんですけどね」
星導はドアを開け、俺にバックハグをしてきた。
「…羨ましいんです。優しくされたウェンが…。寂しかったんです俺も」
「星導…」
彼の頭を軽く撫でる。するとずっとウェンにしがみついていたカゲツもウェンの顔を見て話し始める。
「あかぎ…あかぎは?僕居なくて寂しくなかったん…?」
「…っ、そんな、そんな訳ないじゃん…!!」
ウェンの声がくぐもる。泣きそうなのを堪えているようだ。カゲツが心配そうに見ている。
「ぼ…僕、カゲツきゅんの前ではかっこいい彼氏でいたかったから。でも、ちょっと疲れちゃって、かっこいいままで居られなくなっちゃって…ロウの所に逃げちゃった。…カゲツきゅんに、嫌われたくなくてっ…」
「そんな…。どんなあかぎでも嫌う訳ないやろ。みんなのヒーローみたいに明るくて元気なあかぎも好きやけど、かっこいいままで居られんくなった弱ったあかぎだって好きや。僕だってかっこいい彼氏なんやから、疲れた時ぐらい甘えて来てもええんやで?」
「っ…。カゲツきゅ〜んっ」
そう言ってカゲツの頭ごと抱きしめるウェン。突然の事にわたわたしているカゲツだが、ちゃんと背中を撫でてあげているようでウェンも涙を流しながらも安心した顔をしている。さっきまで死んだような顔をしていたのに。これが正妻の力か…と意味の分からない納得をした。
「…それじゃあ、帰りましょうか。小柳君いい加減他人ん家の車から降りたらどうです?」
「あ?さっきまで寂しいとか言ってただろ何でそんな当たり強いんだよ」
「ちょっと喧嘩し始めないでー!いいからロウきゅん降りて!?カゲツきゅんが乗れないでしょ!?」
「そうや早く降りろ僕ん席やぞ」
「お前らまじか…」
邪険に扱われながら俺は席を立つ。まもなく我が物顔のカゲツが乗り込み、何度か目元を拭ったウェンは車を出す準備をしてカゲツの方を見た。
「じゃあお家帰ろっかカゲツきゅん!」
「おう!家帰ったら僕がかっこいい彼氏として沢山あかぎの事甘やかすで!」
「きゃー!かっこいいカゲツきゅん〜!️♡」
そんな甘い空気を吐きながら、2人を乗せた車が走っていく。その姿が見えなくなるまで星導と道路に立って見送った。
「……楽しかったですか?ウェンとのキャンプは」
「ん…。まぁ楽しかった。拉致されたにしては」
「ふふっ。そうですか」
星導は満足そうに笑って家の中へ入る。俺も後に続き家へ入った。
「…なぁ星導…」
「何ですか?」
「お前怒ってるんじゃなかったのかよ」
「怒るっていうかまぁ…嫉妬してましたよ。でも小柳君が楽しかったんならそれでいいんです。俺いい彼氏なので」
「…」
うっすらと微笑み、まるで自分を納得させるかのように呟く星導。…違う、俺はもっとお前から必死に求められたいのに。
「…もう少し、嫉妬してくれたっていいのに」
「え?」
「お前からの嫉妬…全身で浴びてやってもいいって…言っ」
俺が言葉を発し終わる前に、彼に口を塞がれた。最初は軽い口付けだったのが段々と深い物に変わる。
「っ…/」
「……ひどいなぁ、小柳君。俺せっかく我慢したのに」
「…俺の彼氏は…そんなに大人な奴じゃない」
「ふっw…ひど」
またキスを交わす。久しぶりの甘い時間に段々とヒートアップしていく中、まだここが玄関な事に気づき2人で笑い合う。彼に手を引かれて風呂場へ歩みを進める───
とある1人の友人に頼られ、大切な人に愛される。
長く生きる中で永遠を願うことなど無くなった俺が唯一願ったこと。
こんな素敵な日々がいつまでも続いて欲しい、なんてな。
闇堕ちwnが脳を焼かれましたがどうにかruに連れ戻してもらいました。この2人の独特な距離感好き。
途中でwnがruに「好きって言って」とお願いしたのは、自分に感情が無いことを期待していたのではと思っています。でもruに実際に言われ嬉しくなかった事でkgtからの言葉や行動がどれだけ嬉しかったのかを実感して泣いてしまった、という感じです。貰った愛を返せなくてごめん、ヒーローなのにみんなを守れなくてごめんという気持ちが溢れてます。
きっと直接対決でruに勝ったwnはその経験を自信に変えて、トラウマを抱えつつも大切な仲間とまた前線に立つ事ができるでしょう。
分類しにくいcpでしたが読んでくださりありがとうございました🙇♀️