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はじめまして。かふです。
なぜかチャットノベルが使えなかったのでノベルで挑戦しようと思います。
CP赤水(カプ要素は薄め) 地雷さんはUターン。もしかしたら、、と思った方居たら気軽にコメントしてください
では!すたーと
「っはあ、マジあの教師ウザいわ」
生徒指導の先生の悪態をつきながら俺は屋上に向かっていた。あの教師は俺が小さいことでもなにかすると生徒指導部に呼び出すようなやつ。俺が日常的に不真面目なのもあるかもしれないが、明らか厳しい。自由に好きなことやらせろよ。階段を登りながら心のなかで愚痴をこぼしているとすぐに扉の前につく。ギイっと音を立てて開く扉。普段から立ち入り禁止となっている屋上には先客が居た。何が面白いのか、曇り空を見上げて居るそいつは音に気づいてこちらを振り向いた。
小柄で華奢な体型。薄めの灰色の髪に入る明るいピンクと青のメッシュ。大きな目と白い肌のそいつは一見女子にも見える。
そいつは口元に人指し指を当てていたずらっぽく微笑んだ。可愛いと反射的に思う。よくいるインフルエンサーの、自分が可愛いと分かっている角度とポーズ。それに近いものを感じる。
「あーあ。だめだよ、立ち入り禁止なのに屋上来ちゃ」
「それ思いっきりブーメランだけど」
「あはは」
おもわずツッコむと何故か嬉しそうに笑うそいつ。不良だからと避けられてきた俺からすると怖がられないのは調子が狂う。
「こさめは良いんだよ。こさめ、は」
また曇り空を見上げたそいつは少し寂しそうな笑みを浮かべた。それに引っかかりを覚えながらもまた俺は口を開く。
「なんだよそれ。贔屓じゃねえか」
「ははっ、嘘だよ。こさめも内緒で来てる」
「ルール違反ですよー」
「ブーメランですぅー」
初対面なのに軽口をたたけるようになるとは自分でも驚く。こいつのコミュ力が高いだけかもしれないけど。
「お前、名前は?」
「んー…。こさめ、雨乃こさめ」
少し迷ったように目をゆらゆらと泳がせたあと、意を決したように名前を呟くこさめ。
「ふーん、こさめね。いい名前じゃん」
普通に反応するとホッとしたような残念そうな、変な顔を浮かべる。なんだ、こいつ。
「そう?逆に君は?名前は?学年は?」
「日真なつ。二年」
「へえ…。なつ、君」
「ん。お前は何年?」
「こさめー?永遠の一年生、みたいな?」
「なんだよそれ。留年しまくってんの?」
「違うし!こさめ頭良いもん!」
「へいへい」
軽く受け流すとむすっと頬を膨らませてこちらをじっと見られる。
「なんだよ」
「逆になつ君、勉強できるん?」
「…」
「授業出てないんじゃないのー?」
「ぅ…」
「テスト大丈夫なのー?」
「ぅぐっ…」
正直大丈夫じゃない。授業に真面目に出たことがあるのは今年も数回だけ。教科書を読んだりして個人で勉強してるものの平均以上を取る事ができるのはほとんど無い。来年受験を控えている身としてはなかなかにヤバい。
「こさめが勉強、教えてあげよっか?」
「なんで年下に教わらなきゃいけないんだよ。そもそも分からねえだろ」
「分かんないよ?こさめがめちゃめちゃ天才かもしれないし」
「いや…普通に自分で勉強するわ」
「そう?」
「お前さ、いつここに来てんの?」
「んー?天気がいい日かなあ」
「今日みたいな曇の日とか!」
「曇が良い天気って感じるのすげえな。確かに気温はこのくらいが丁度いいけど」
「まあねー。でも、一番好きなのは雨の日だよ」
「それは分かんねえわ」
「ふふ。嫌い?」
嫌いと聞かれて言葉に詰まる。こさめの目が悲しそうな色に染まったように思えたから。出会ってすぐだが、こいつからは度々変な雰囲気というか、言葉にできない変な感じが伝わってきてなんだかもどかしい。
「いや…嫌いとかじゃないけど」
「そっか」
沈黙が続く。
「今日くらい、授業真面目に出てみたら?」
ぽつり、とこさめが言葉を発する。
「案外、楽しいかもよ」
目を閉じて諭すように穏やかに笑うこさめからはなんとも言えない哀愁を感じる。なんだろう、この感じは。目に見えない深い溝があるような。何が、こさめと俺が違うんだろう。見た目?性格?いや、それよりもっと何か…。
「今を謳歌しないと。まだ若いんだからさー」
急に砕けた冗談口調になるこさめ。それに俺もツッコミで返す。
「俺より若い奴が何言ってんだよ」
「ふふっ。そうだね」
「…まあでも、午後の授業はちょっと出てみるわ」
「それがいいよ」
「それじゃ、またな」
「うん。ばいばい」
その日、久しぶりに授業を真面目に受けた俺を見たクラスメイトが明日は雪が降るぞとか失礼なことを言っていたのはスルーしとく。
※※※※※※※※※※※
次の日、いつもの時間に起きると、雪こそ降っていなかったものの雨がぽつぽつと降っていた。
「今日は雨か…」
そういえば、あいつ雨好きとか言ってたっけ、と昨日の不思議な少年を思い浮かべる。ぼーっと窓の外を見ていると後ろから声がかかる。
「おはよう、なつ。ご飯できてるわよ」
「おはよう。ありがとう、母さん」
俺の母さんは父さんが不慮の事故で亡くなってしまってからも俺のことを女手一つで育ててくれた人だ。今日も仕事が忙しいのに朝早く起きて飯を作ってくれて…。なのに俺はこんな風にグレて。…嫌になる。
「いただきます」
「めしあがれ。母さん今日、お仕事泊まりで帰ってこれないから作り置き置いておくね。支度したらすぐ家出ちゃうからね」
「はい、行ってらっしゃい。…気をつけて」
「はーい、なつもね」
「…うん」
母さんはいそいそと支度をしていつも通り仕事にいった。
母さんは俺に学校生活に対して何も言わない。俺が真面目に学校に行っているわけではない事は気づいているはずだし、学校からも何度も連絡が行っているのに怒るのではなく「大丈夫?」と声をかける。間違った方向に向かっている俺を「気をつけてね」「自分で考えてね」この言葉で済ませられるのはすごいと思った。俺もどこかで会心しないといけないのかもしれない。自分で。
昨日、午後の三時間だけでもちゃんと授業に出た俺をまずは褒めてやろう。…まあそれも、初対面のあいつに影響されたんだけど。ただ話してただけなのに、不思議な力を持っている変なやつだ。
俺も支度をして、今日は午前の授業も受けようといつもより早い時間に出た。一応傘を差して歩く。
すると、数分歩くうちにぽつぽつと降っていただけの雨が大粒の雫となって傘や道路に打ち付けてきた。急な大雨にさらされながらなんとか学校に着いた頃には雨でズボンが濡れていて。傘を差していても雨が強いとあまり意味が無かった。
「はあ…最悪」
それを見て午前授業を受けようとしていた気持ちがすっぽり抜け落ちてしまった。我ながら気分が変わる天才だと思う。…なんて馬鹿なことを考えつつ、雨好きのあいつが居るかも知れないと思い屋上へ向かった。
「えー、今日もサボるのー?」
「…やっぱり居た」
昨日と変わらず、こさめはそこに居た。雨が降り終わってから来たのか、その制服や体は全く濡れていない。
「雨で制服濡れて、やる気落ちた」
「何その理由」
呆れたようにふふっと笑うこさめ。
「まあいいよ、こさめも話し相手居てくれた方が暇じゃないし」
「趣味は曇り空を見ることじゃねえの」
「んなわけ。あれはただの暇つぶしだよ。誰か来るまで待ってるんだから」
「一年中?」
「ううん。雨が続く日とか?」
「そんなん分かるもんなのか?…あ、天気予報」
「そうだねー。分かっちゃうからさ」
「なんだそんなに雨にこだわるん?」
「えー…、雨乃こさめだから?」
「なんだそりゃ」
それから俺のやる気が出ない日や昼飯などには必ず屋上に上がって二人で話した。
「やる気出すにはどうすればいいと思う?」
「ん〜、お母さんの事思い浮かべてみたら?今まで育ててくれた人に恩返しするにはお金稼がないとだし」
「マジこの問題無理なんだけど…」
「それ分かるよ、こさめ」
「お前いつ勉強してんの?」
「今日午前中授業行けた」
「進歩じゃん、やったね」
「午後も頑張る」
「すごい成長じゃん、これなら友達とかもできそうじゃない?」
「この前少しクラスメイトと話した」
「おー、やっとかあ」
「こさめ見ろよ、俺この問題全問正解だった」
「えーすご!授業出ると色々良いことあるでしょ」
「うん。この前の小テストも六割とれた」
「良かったじゃん、どんどん成績上がってるんじゃない?」
「先生に驚かれた」
「ほえー。今季の成績期待できるじゃーん」
「俺、部活入ろうかなって思ってて」
「え、まじ…?」
「そう、美術部。月、火、木曜日のなんだけど」
「へえ…寂しくなるね」
「放課後はな。それ以外は変わんねえよ」
「なあこさめ聞いて。今日こさめパワー無しで一日乗り切った」
「さっすがあ。やったね」
「こさめのおかげ。さんきゅな」
「そんなそんな…」
「正式に入部届出してきた」
「あ、前言ってたやつ。そっか…」
「そんで、先輩と仲良くなった」
「おおー、どんどん交流深まってくね」
「うん。明日から早速部活」
「わー。頑張って」
こさめは小さなくだらない事やその日あった事、変な悩みなども否定せずに聞いてくれて、俺にとって居心地のいい安らぎ場所になっていた。そんなこさめと話すのは必ず屋上。真面目に授業を受けるようになった俺の、唯一の不良ポイント。こさめが居る日は必ず曇りか雨。そんな天気に来るのも前言っていた「雨乃こさめだから」なのかもしれない。こさめから感じる小さな違和感はこさめだから、で片付けるようにした。なんだかその違和感を知ってしまったら、こさめと一緒に居られなくなる気がした。
※※※※※※※※※※※※※
こさめと出会って一ヶ月。ずっと灰色の雲で覆われていた空は澄んだ青色。さっぱりした快晴となった。俺ももう一日中学校で授業を受けられるようになり、成績も上がって行って。こさめいわく「飲み込みが早い」らしい。たしかに教わったことは早めに理解できた。学校での態度の変わりように先生や母さんはもちろん、クラスメイトまで「柔らかくなった」「笑顔が増えた」なんて言われるようになった。友達と呼ばれるような友達は少ないけれど、それでも俺の人間関係は変わったし、俺が変われたのも全部こさめのおかげ。こさめと話して色んなものが変わった。
晴天の空の下、俺は久々の晴れに意気揚々としながら学校についた。
(あ、でも晴れって事は今日、居ないんかな)
雨のイメージが強すぎだから今日は居ないと思ったがそれはないだろう。これまで一ヶ月、こさめは毎日屋上で俺のことを待っていたんだから。
「おはよー、なつ」
「…ん、らん」
放課後行くか、と思っていたら声がかかる。こんな事も今までは無かった。授業を受けるようになってから早めの段階で俺に声をかけてくれたらん。席がまあまあ近いこともあり結構すぐに仲良くなった。
「何してたの」
「…考え事」
「クールだねえ」
「何がだよ」
「顔?」
「なんでそこで顔が出てくるん」
「知らね」
らんとの会話はこんな風に短い言葉同士で話す。簡素な会話の仕方だけど、ぽんぽんと続くから好きだ。
「仲いいやつの事」
「へえ。好きな子?」
「バカか」
「好きじゃないの?」
「…別に。そんなんじゃねえよ」
「うっわあ、なつがデレる程の子ってどういう事?」
「デレてねえ」
「嘘だ」
「嘘じゃねえ」
そんな感じで意味もない言い争いを静かにしていると教師がやってくる。
「はい皆さん、席についてくださいね」
そこからはいつものように挨拶をして、HRをして、授業をして、休み時間に他愛もない話で盛り上がって…。こんな生活が「日常化」するなんて思っていなかった。やっぱりこさめのおかげだわ。
「なーつ。昼飯食べよ」
「はいよー」
前はこさめのところに行って食べていたが、それもらんという友達ができてからは少なくなった。それもこさめは成長したねえ、とにこにこ笑っていたんだけど。
「てかさあ、なつってよく屋上行くじゃん」
「まあな」
「気をつけてよねー。立入禁止だし」
「あれなんでダメなん?別によくね」
「いや、なんでも昔男の子が飛び降り自殺しちゃったらしいよ」
「へえ。どんな人やったん」
「んっとね、いじめ受けてたらしいよ」
「いじめ?」
「そう。昔ってやっぱり今よりジェンダーについて曖昧な部分もあったし差別もあったじゃん」
「そうだな」
「…てか知らないの?めちゃめちゃ学校の有名人だったらしいけど」
「有名人がなんでいじめ受けるんだよ」
「アンチ的なものじゃない?その子インフルエンサーだったらしいし」
「へえ…?」
「学校にアンチ、居たんじゃない?」
「それで、なんでいじめ受けてたん」
「男なのに可愛いから、らしいよ」
「はあ?なんだよそれ」
「今こそ問題になるべき事だよねえ」
「ふーん…」
「でね、その子が死んじゃってから学校に変な噂が流れ始めたの」
「何?」
「屋上に行くとその子の声が聞こえる、とか。屋上に居るはずのない幽霊が空を見てる、とか」
空を見る幽霊…?
「それで、色々と問題だって言われて、同じことが起きないようにしっかり鍵かけて屋上は立入禁止になったはずなんだけどなぜかその鍵が壊されてるんでしょ?」
「ああ。なぜか開いた」
「でさ、その子、雨の日に必ず現れるらしいよ」
「あ、め…?」
雨の日。
「そう。曇の日に屋上行ってご飯食べようとすると声が聞こえて。雨の日に行くとその子の歌声とか聞こえるらしいよ」
「らん、そいつの名前、知ってねえか?」
もしかして。
「え?だから有名だって言ったでしょ。八年前に自殺したインフルエンサーの、モデルもやってた雨乃こさめさん」
「っ…!」
「ほら見て、可愛くない?天使みたい。死んじゃったのほんと残念」
らんのスマホに写っているのは紛れもなくあのこさめ。こさめは八年前、死んでいた…?
あの笑顔、口調、声、仕草。本物の人間みたいなあいつ。
永遠の一年生というのはもう年を取らないからで。
…でも。あいつは怨霊とか、妖怪とか。そんなものでは表現が違う。
俺みたいなダメなやつをひっそり手助けして、アドバイスして、相談に乗って。間違った方に行きかけている人間を正しい方に導いてくれるような。らんが言った天使のような…。少し違うか。あいつは天使じゃない。
綺麗な妖精だ。コミュ力が高くて、色々な経験があって。頭が良くて、安心感があって。自分の人生にきっと沢山の後悔があって。だから、自分と同じように歩まないように人の前に現れるんだ。そして、その人が正せるまでは雨を降らして自分が出てきて。…天気を自由に操れるなんて、雨の妖精かよ。そして、自分の役目が終わったら晴天にして…。きっと、昨日がこさめに会える最後の日だったのかもしれない。そう考えるともっと一緒に居たいという思いが込み上げてきて。でも、それは不可能だということも分かってしまうから。俺は理解してしまうから。こさめにもう一度会える方法なんて探したりしない。できない。
きっと、また会えない。会ってはいけない。会わないように俺は成長していくしかない。
※※※※※※※※※※※※※※※※
「あーあ、バレちゃった。」
手の上に浮かべた水晶でなつ君とらん君の様子を見ていたこさめは軽くため息をつく。でも。
「妖精、か…」
その表現は、こさめが大好きだ。
「さっすがお前が目につけたやつ。お前のこと知らなかったんだな」
後ろから聞き慣れた声がする。
「いるま君」
「感傷に浸ってんじゃねえよ?」
「べっつに?そんな事ありませんけど」
「そーかよ。でも、ちょくちょく私情入ってたと思うけど」
…そうかな。
「まあ、母校だし」
「それより八年前の怪談、まだ続いてるのな」
「こさめが死んだときの怨念が宿ってたから」
「あの時のこさめはマジでヤバかった」
こさめはいじめをしてきた人への恨みが募って悪い霊になりかけたところをその時の任務を課せられたいるま君によって天国に回収されたんだ。あれがなければ今も学校の中をさまよい続けていたから本当に助かってる。
「怨霊から救ってくれてありがとね」
「別に。今更気にすんなよ」
「ありがと」
少し沈黙が続く。こさめは口を開いて次の話題を出した。
「…妖精って表現、良くない?」
「んー、俺はそんな表現似合わないけどこさめは良いんじゃね」
「たしかにいるま君は悪魔だよね」
「おいしばくぞ」
「ごめん」
冗談を言い合って二人で笑う。こさめ達は天国に住んでいる住人。罪を侵さないで善人だった人が来る場所。ここには心がきれいな人しか居ないのでとても心地が良い。
「いるまくーん!こさめちゃーん!」
「ぅわあ!?」
休憩場所に響く中音の声。その直後にドシン!という音が聞こえその人の悲鳴が響き渡った。
「出た出た。みこちゃんのぅわあ、が」
「口癖のぅわあ、ね」
「二人共茶化さないで!」
「お怒りだあw」
「やべー」
「もう!!」
みこと君が頬を膨らませながらこさめ達の前の椅子に座る。
「ははw今こさめの任務お疲れーってやってた」
「あ、そうだね。こさめちゃんお疲れ様」
二人に労いの言葉をかけられて頬が緩む。
「ありがと。でもね、やっぱお別れつらいよねー」
「まあ、たしかにな。未練たらたらも良くねえけど」
「母校行ってたんでしょ?」
「そう。こさめが死んだ所。緊張したあ」
「バレなかったの?」
「え、今仲良くなった子にバラされたよ」
「あら…」
「でもね、こさめの事怖がってなかった。嬉しいなあ」
「ふーん。良かったな。どんなのだっけ」
「グレちゃった子」
「それは手強いね…」
「でもね、話してるの楽しかった!」
「ふーん」
「どんどん良い子になってって。今は先輩で仲いい人も居るらしいし、その後のことで特に悪い方向に行きそうな事も無いのでおっけー!」
役目を終えてからは数日間、水晶でその人のことを見守り、完全に大丈夫だと判断したらそこで任務終了だ。
「さっすが」
「でもさ、この太陽が苦手な性質どうにかならない?絶対に雨降らさなきゃいけいないの不便なんだけど」
そう。人間界で太陽を浴びると自由に体が動かせなくなってしまうらしい。怖すぎ。
「いいじゃん、別に」
「生きてた頃のあだ名の梅雨の妖精って表現通りじゃない?」
「あれはただのインフルエンサーとして注目されたのが梅雨だったからで…って、こさめの事はどうでもいいでしょ!」
「そうだな。俺もそろそろ他の奴んとこ行かなきゃだし」
「いるま君任務行くん?頑張って!」
「怖がられないようにねw」
「うっせ。この見た目のせいで苦労してきてんだわ」
「いるま君ヤクザみたいな顔して可愛いもの好きだったり可愛いよな」
「あっはは。可愛い〜」
「お前ら絶対後で締めるから。行ってきます」
「行って来ますは言うんやなw行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃいー!!」
いるま君を見送ってみこと君とこさめ二人だけになる。
「いるま君、こさめが帰ってくるの待ってくれてたんかな」
「そうやな。結構気にしてたで」
「ふーん」
心の中で感謝しながら紅茶を飲む。
「…こさめちゃん、今回の任務の子、好きやろ」
「ぶふっ!?」
突然何を言い出すのやら。驚いて口の中身を吹き出してしまった。
「何言ってるの!?」
「あれ?違うの?いるま先生と話してたんやけど…」
「…いや…そう、だけどさ…」
「やっぱそうやんな!?甘酸っぱい…」
これみこちゃん、絶対天界の者と人間界の者、恋しちゃダメってルール忘れてるな…。
「みこちゃん、恋愛禁止のルール覚えてないやろ」
「…へ?」
「やっぱり…。生きてる人に恋心を向けちゃダメってやつ」
「そんなんあったん!?」
「はあ…ほんとによくないわ…。みこちゃん気をつけてよね」
「はぁーい」
「でも、俺はそういう禁断の恋も良いと思うよ?」
「もう!それはもう良いから!!」
「…やっぱり照れてる?」
「照れてない!!」
終.
※※※※※※※※※※※※※※
これから私がここで書く事はほとんど無いと思いますがよろしくお願いします(?)
最後まで見てくださってありがとうございました!
8554文字お疲れ様でした!