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#ご本人様には関係ありません
たたべ
274
ngkn単体のつもりですが、人によってはhbknにもsrknにも見えるので一応タグ付けしてます。
書いた本人がhbkn、 srkn、ngkn好きなのでご理解お願します🙏
私の名前は四季凪アキラ。高校二年生で、生徒会の副会長を務めている。
成績も悪くはない。むしろ周囲から見れば、優秀な部類に入るのだろう。
そんな私にも、最近ひとつだけ悩みがある。
その原因は、生徒会長・風楽奏斗だ。
人前では非の打ち所がない優等生。誰にでも優しく、仕事も完璧にこなす理想の生徒会長。
……それは、あくまで表向きの姿。
二人きりになると、その仮面は驚くほどあっさり外れる。
「アキラ〜、この仕事やって〜。」
「めんどくせー。」
「これ意味わかんねーし。」
そんな姿を見せられるたび、思わずため息をついてしまう。
ここまで散々な言い方をしておいて何だが、私は風楽奏斗のことが好きだ。もちろん恋愛的な意味で。
最初は、本当に真面目な人だと思っていた。
責任感が強く、人に頼らず、何でも一人で抱え込む。
それでいて誰にでも優しい。
同じ生徒会役員ということもあり、生徒会室で二人きりになることは珍しくなかった。
好きな食べ物。
趣味。
休日の過ごし方。
そんな他愛もない話を繰り返すうちに、私たちは自然と友人になっていた。
そしてその頃から、奏斗は少しずつ私の前で素を見せるようになった。
最初は、その姿を知っているのは私だけなのだと思っていた。
人前では絶対に見せない気の抜けた表情。
弱音。
面倒くさがる姿。
そんな一面を見せてくれることが嬉しかった。
「私だけが知っている。」
そんな小さな優越感が、いつしか恋心へと変わっていった。
けれど、それは私の勘違いだった。
ある日、奏斗と幼馴染の渡会雲雀が話しているところを見かけた。
「だるっお前w。」
私に向けるものと同じ、気の抜けた笑顔。
「あぁ……幼馴染ですからね。」
そう自分に言い聞かせて納得した。
……その時は。
けれど、それだけでは終わらなかった。
私を通じて知り合ったセラフ・ダズルガーデン。
彼と話している時も、奏斗は同じように肩の力を抜いて笑っていた。
その光景を見た瞬間、胸の奥が少しだけ痛んだ。
私だけじゃなかったんだ。
頭では分かっている。
信頼している相手だからこそ、素を見せるだけなのだと。
それでも、心は簡単には納得してくれなかった。
だから最近の私の悩みは、風楽奏斗本人ではない。
風楽奏斗の周りにいる人たちなのだ。
「奏斗、明日の放課後カフェ行かん? 美味しそうな店見つけたんよ。」
「奏斗〜、カフェより俺んとこ来ない? 新作ゲーム買ったんだよね。」
赤紫色と石竹色の髪が視界の端で揺れる。
「え、ごめん。僕、帰ったらすぐ寝る予定あるんだよね。」
「それ予定って言わないでしょw」
「だからカフェ行こうって!」
……限界だ。
「セラ夫とたらいは出て行ってください!! 生徒会室は役員以外立ち入り禁止です! それに明日の放課後は生徒会の会議があります! お二人とも諦めて帰ってください!!」
「あ、凪ちゃん本気で怒ってる。」
「逃げろ逃げろー! またな、奏斗!」
「またね〜。」
当の本人だけは呑気に手を振っている。
……あなたのせいなんですよ。
「奏斗、あの二人にもう少し強く言えないんですか?」
「え〜。仕事するより二人と話してる方が楽しいじゃん。」
「あなたは本当に……。」
思わず深いため息が漏れる。
雲雀は一学年上で奏斗の幼馴染。
セラフは私の友人。
その二人が今では、私と同じように奏斗の素を知っている。
そう考えるだけで胸の奥が少しだけざわつく。
もちろん、そんな感情を表に出すつもりはない。
「はいはい、そんな怖い顔しない。」
奏斗は苦笑しながら席に座る。
「ほら、仕事仕事。」
「その言葉を、あなたが言いますか。」
「え?」
「今日の書類、まだ一枚しか終わっていませんよ。」
「あー……二人が来ちゃったし?」
「追い返せば済む話です。」
「アキラが追い返してくれたじゃん。」
「あなたが言ってください。」
「面倒くさい。」
「…………。」
この人は本当に生徒会長なのだろうか。
「アキラ仕事早いし。」
「褒めても手伝いません。」
「えー。」
「疲れた。」
「まだ何もしていませんよ。」
「精神的に。」
「その八割は自業自得です。」
「厳しいなぁ。」
そう言いながらも、ようやくペンを手に取る。
その姿を見届け、小さく息を吐いた。
これでようやく静かになる。
私はほとんど仕事を終えていたため、残った書類を整理し始める。
ふと顔を上げると、奏斗が真剣な表情で書類を読んでいた。
長いまつ毛。
すっと通った鼻筋。
普段のだらしない姿が嘘のような横顔。
……ずるい。
そんな顔をされたら、また好きになってしまう。
「……っ。」
慌てて視線を逸らす。
今の、気付かれていませんよね。
恐る恐る目だけ向けると、奏斗は何事もなかったように仕事へ集中していた。
集中すると周りが見えなくなる。
そういうところも、私は知っている。
好きな人のことは、自然と目で追ってしまう。
どんな表情をしているのか。
何を考えているのか。
そんなことばかり気になってしまう。
その日も仕事は予定より少しだけ長引いた。
それでも不思議と嫌ではなかった。
奏斗と同じ時間を過ごせるなら、それだけで嬉しいと思ってしまう。
しばらくして、奏斗が大きく伸びをした。
「だぁーー!! やっと終わったー!」
「お疲れ様です。」
「生徒会長って忙しいなぁ……。」
「普段から仕事をしていれば、もっと楽なんですけどね。」
「一言多いなぁ、アキラ!」
頬を膨らませる奏斗に、小さく笑みが零れる。
「まあいいや。アキラ、帰ろ。」
「はい。」
並んで生徒会室を出る。
肩が触れるわけでもない。
特別な会話をするわけでもない。
それでも、この何気ない帰り道が愛おしい。
こんな日常がずっと続けばいい。
……そんなことを願ってしまう私は、きっと相当重症なのだろう。
本当に、罪な人だ。
……風楽奏斗という人は。
ある日の放課後。
体育教師に、「体育倉庫に置いてある備品を取ってきてほしい」と頼まれた。
…体育委員に頼めばいいものを。
そう思いながらも、お得意の”生徒会長・風楽奏斗”の笑顔を浮かべて引き受けた。
「ありがとうな、風楽!」
そう言って嬉しそうに去っていく先生を見送り、思わず小さくため息をつく。
ため息をつくと幸せが逃げる、なんて言うけれど。
そんなことより、今は一秒でも早く寮へ帰りたい。
今日は金曜日だ。
ゲームでもして、のんびり過ごそう。
そんなことを考えながら体育倉庫へ向かっていると、不意に人の声が聞こえてきた。
体育館裏だ。
……告白、かな。
普段なら"青春してるなぁ"で済ませて通り過ぎる。
でも、その時だけは足が止まった。
「……アキラ先輩。」
聞き慣れた名前が耳に飛び込んできたからだ。
心臓が、一度だけ大きく鳴る。
見ちゃいけない。
聞いちゃいけない。
頭では分かっている。
それなのに、どうしても嫌な予感がして、物陰からそっと様子をうかがってしまった。
そこには、頬を真っ赤に染めた女子生徒とアキラが立っていた。
女子生徒は震える手で封筒を差し出す。
アキラは一瞬驚いたような表情を浮かべ、それから困ったように微笑みながら受け取った。
その笑顔を見た女子生徒は、嬉しそうに頭を下げ、その場を駆け去っていく。
静かな沈黙だけが残った。
……知っていた。
アキラがモテることくらい。
成績優秀で、面倒見も良くて、顔だって整っている。
隣でずっと見てきたからこそ、それは誰よりも知っている。
だから今さら驚くことなんてない。
……ない、はずなのに。
胸の奥が、ひどく苦しかった。
息が詰まる。
心臓が落ち着かない。
頭の中に、さっきの女子生徒とアキラが並んで歩く姿が勝手に浮かぶ。
……似合う。
悔しいくらい、違和感がない。
だったら。
僕は、どうしてこんなに苦しいんだろう。
どうして、あの隣にいるのが僕じゃないことを考えてしまうんだろう。
「……あ。」
思わず声が漏れた。
そうか。
そういうことだったんだ。
ずっと一緒にいたから。
隣にいるのが当たり前になっていたから。
だから気付かなかった。
僕は────
アキラのことが、好きなんだ。
奏斗の様子が少しだけおかしい。
……いや、おかしいというより、私に対してだけぎこちない。
以前なら、
『アキラ〜。』
と当たり前のように私の席まで来て仕事を押し付けてきた人が、最近は書類を机の上へ置くだけで離れてしまう。
「これ、お願いします。」
「…わかった。」
会話も必要最低限。
目が合えば、なぜか先に逸らされる。
最初は気のせいだと思っていた。思いたかった。
けれど、一週間も続けば嫌でも気付く。
「……何かしましたかね。」
書類へ視線を落としたまま、小さく呟く。
思い返しても心当たりはない。
怒らせるようなことを言った覚えもない。
むしろ、いつも通り接しているはずなのに。
「アキラ。」
「はい。」
反射的に返事をして顔を上げる。
そこには書類を抱えた奏斗が立っていた。
「この資料、確認お願い。」
「分かりました。」
書類を受け取ろうと手を伸ばす。
その瞬間。
指先が、ほんの少しだけ触れた。
「……っ!」
驚いたように手を引いたのは奏斗だった。
「……す、すみません。」
「え? あ、ううん! 僕こそ!」
慌てて謝る奏斗。
その耳は、ほんのり赤くなっていた。
……暑いからでしょうか。
そう考えることにした。
それ以上考えると、期待してしまいそうだったから。
「じゃ、じゃあよろしく!」
それだけ言うと、奏斗は逃げるように背を向ける。
「……?」
やっぱり変だ。
本当に、どうしたのでしょう。
考え込んでいると、生徒会室の扉が勢いよく開いた。
「奏斗ー!」
「あ、雲雀。」
「文化祭の準備終わった?」
続いてひょこっと顔を覗かせたのはセラフだった。
「奏斗、ちょっと休憩しようよー」
二人とも、いつも通りの笑顔。
奏斗も自然に笑い返している。
その様子を見て、胸の奥が少しだけ痛んだ。
……私には、あんなふうに笑ってくれなくなったのに。
そう思った自分が嫌になる。
嫉妬なんて、したくない。
二人が悪いわけじゃない。
奏斗が悪いわけでもない。
全部、私の勝手な気持ちだ。
だから私は、いつも通りを装う。
「お二人とも、生徒会室は役員以外立ち入り禁止です。」
「うわ、凪ちゃん今日も厳しい。」
「ちょっとくらいいいじゃん!」
「駄目です。」
きっぱり言い切ると、二人は顔を見合わせて苦笑した。
「はいはい、分かりました。」
「また来るね、奏斗!」
「うん。またね。」
……また。
その一言に、胸がちくりと痛む。
私もいつか、そんなふうに──自然に"またね"と笑い合える関係でいられなくなる日が来るのだろうか。
そんな考えが頭をよぎり、私は慌てて首を横に振った。
……駄目だ。
今は仕事に集中しましょう。
余計なことを考えるのは、仕事が終わってからにしないと。
仕事を終え、生徒会室を出る。奏斗は先生に呼ばれたらしく別行動だ。…ここ最近はずっとそうだけども。
「はぁ……。」
思わずため息が漏れた。
「アキラ?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこには雲雀とセラフが立っていた。
「お疲れ。」
「お疲れ様です。」
「奏斗は?」
「先生に呼ばれたらしくて、先に行きました。」
「あー、そうなんだ。」
雲雀が少し残念そうに笑う。
「最近、奏斗忙しそうだよね。」
「そうそう。全然遊べてないし。」
「文化祭前ですからね。」
「終わったら暇になるかな。」
「…なるんじゃないですね」
何気ない会話。
ただ、それだけのはずだった。
「じゃあ、終わったらまた四人でどっか行こうぜ。」
雲雀が笑う。
「いいね! 俺も賛成!」
セラフもすぐに頷いた。
「……そうですね。」
笑って返事をしたものの、胸の奥が少しだけ痛む。
四人。
その言葉が妙に引っ掛かった。
文化祭が終われば、生徒会の仕事も落ち着く。
今みたいに毎日一緒にいる理由も、少なくなる。
……その時。
私は今みたいに、奏斗の隣にいられるのでしょうか。
そんな不安が胸をよぎる。
「じゃあ、またね。」
雲雀とセラフは手を振りながら廊下を歩いていく。
私も軽く手を振り返し、その場に一人残った。
……また。
その一言が、妙に胸に引っかかる。
文化祭が終われば、生徒会の仕事も落ち着く。
来年になれば、雲雀は卒業する。
再来年には、私と奏斗も。
当たり前のように続くと思っていた毎日は、案外あっさり終わってしまうのかもしれない。
「……。」
考えれば考えるほど、胸が苦しくなる。
その時だった。
廊下の向こうから、見慣れた蜂蜜色の髪が歩いてくる。
「あれ、アキラ?」
「……奏斗。」
「まだ帰ってなかったんだ。」
「はい。」
短い沈黙が流れる。
奏斗も、どこか落ち着かない様子で頭をかいていた。
「……じゃあ、一緒に帰る?」
いつも通りの一言。
そのはずなのに。
今日は、その『いつも通り』が、どうしても遠く感じた。
「……はい。」
二人並んで歩き出す。
沈黙が続く。
こんなの、私たちらしくない。
何か話さなければ。
そう思うのに、言葉が出てこない。
寮が近づく。
このまま別れたら、また今日と同じように後悔する。
そんな気がした。
足が止まる。
「奏斗。」
「ん?」
振り返った奏斗と目が合う。
逃げたい。
でも、もう止まらなかった。
「私──」
言うつもりなんて、なかった。
準備なんて、何もしていない。
それでも。
「……あなたのことが好きです。」
言ってしまった。
勢いだけで。
時間が止まる。
奏斗は目を見開いたまま固まっていた。
「え……。」
その一言だけが漏れる。
しまった。
何を言っているんですか、私は。
顔から火が出そうになる。
「わ、忘れてください!」
言い終わるより早く、踵を返そうとした、その時。
「ま、待っ───」
奏斗が何かを言いかける。
けれど次の瞬間。
「ご、ごめん!」
顔を真っ赤にした奏斗は、そのまま勢いよく走り出した。
「……え?」
あまりに突然のことに、頭が真っ白になる。足はその場に縫い付けられたように動かなかった。
数秒遅れて、ようやく思考が追いつく。
「ちょ、ちょっと奏斗!?」
返事は。
……返事は、どうなんですか。
「奏斗!!」
慌てて後を追いかける。
「待ってください!」
「今は無理ー!!」
夕暮れの通学路に、そんなやり取りだけが響いていた。
風楽奏斗の返事を、私はまだ知らない。
だけど、逃げるあなたを捕まえるまでは、絶対に諦めません。
本当に、最後まで罪な人です。
──風楽奏斗という人は。
──────Fin
コメント
1件
え〜〜っ!最高にエモい!!😭💕 生徒会室でのツンデレ掛け合いから、「私だけが知っている」っていう優越感が崩れていく切なさが刺さりまくりでした…。最後の告白→奏斗が真っ赤になって逃げる展開、可愛すぎて頭抱えた🥺💦「今は無理ー!!」って、もう完全に両想いじゃないですか!?続きが気になりすぎて叫びたい!!!