〈べる視点〉
「……………」
私達は放心状態のななっし~に何も言えず、ただ見つめていた。
帰り道、私は地面に座り込んでるななっし~に「ななっし~、風邪ひいちゃうよ?」と何気なく言った。
顔を見上げたななっし~に、私は言葉を失った。
虚ろな目
後悔と謝罪が詰まった、諦めたような顔。
ななっし~の手からスマホを取り上げると、私はななっし~の今の理由が分かった。
裏切り…
理由なんて分かってる。
政府、無能力者…
ねえ、さもさん、凸さん以外はもしかしたらそこまでだったかもしれないって考えていたのかもしれないけど
全員、限界だったんだよ
全員でそろそろ反乱する一歩手前まで行ってたんだよ
…それを伝えることができても、今のさもさんの心には響かないんだろうな。
………
私は未だ床を見つめるななっし~の前にしゃがみこんだ。
ななっし~は反応しない。私に気付いてすらもいない。
私は腹が立って、ななっし~の頬を平手打ちした。
「!?ちょ、べるちゃん!?」
凸おじ、他の皆も驚いてるけど気にしない。
私はもう一発平手打ちする。
まさかの二回もされたななっし~は、びっくりした様子で私を見た。
「ななっし~、なんで終わりみたいな雰囲気だしてるの?」
「………!だって…だってぇ…」
ななっし~は色んな感情がごちゃ混ぜになったのか、涙で顔をぐちゃくちゃにしながら喋りだした。
「私が…同じだって…皆同じだよって言えてたら…でも…うぅ…」
「………だーかーら!諦めないで!」
私の大声に驚いたのか、ななっし~がびくっと体を震わせた。
「…さもさんは多分、mmmrのアジトに居ると思う…mmmrも多分私達と利害は一致してるんだよ…だから村民の誰かと接触できれば…だから全然可能性はある!一度さもさんとゆっくり話せるように、どうにかするんでしょ!いつものポジティブ思考はどうしたの!」
「……………ぁ…」
ななっし〜は光を取り戻した目で、私を見た。
「………べる…ありがとう…!」
「…はいはい…皆も!さもさんに会いに行くよ!」
「…なんか、べるちゃんがたくましく見える…土下座組なのに」
「いつもより頼れる気がします…いつもは遅刻するのに」
「ちょ、二人共!?最後の一言余計!」
私が凸さんとしぇいどさんに抗議すると、ななっし〜のが「ふふっ」と笑っていた。
…よかった、元気出たみたい。
もう心配はないだろう。
………さて、これから大きい問題が待ってる。
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