「ばいばい、ランス、」
俺は、この一生叶わない恋心を胸に海の中へ飛び込んだ。
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「 おい、あの噂聞いたか??ランスがあの魔法不全者と付き合ってるって話」
「えっ!?まじで??あんなやつと、?天才サマの考えてる事はわからんわ、」
それな〜!!やっぱ俺らとは違うわ笑笑笑…
……え??
、そんな…………
俺、レインエイムズはランスに恋をしていた。
イノセントゼロとの戦いも終わって、後始末で忙しくなってきた頃に、この最悪な噂を聞いてしまった。
今年の神覚者はランスが選ばれ、俺はランスの教育係であった。
同じ寮、歳の近い者同士であるため俺が選ばれた。
最初は正直、ヤバいやつだと思った。
出会った瞬間にランスの妹グッズを勧められ、好感度は爆下がりであった。
しかし、話してみると存外しっかりしていた。
公私を分けていたり、教えたことをすぐ吸収する。
歳上や立場が上の奴にも物怖じせず自分の意見をはっきり伝えられる。たまに見ててヒヤヒヤするが、そんな姿勢を俺は好ましく思っていた。
あんなクールな見た目をしていながら、案外面倒見が良いし、虫やお化けが苦手だったり……。
いつの間にか、俺の頭の中はランスの事でいっぱいだった。仕事中や休憩中、ふとした瞬間にあいつが脳内にチラつくのだ。
そんな事が何日も続いたら、流石に俺もランスに恋をしているんだと認めざるを得ない。
そんな、俺が片思いしている相手が、付き合っていたなんて……。
というか、そんな影を見たことがなかったから聞いた時は嘘なんじゃないかと疑ったくらいだ。というか、まだ疑っているのだが……
明日、仕事場でランスに聞いてみようかな……
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「先輩、なんか悩み事でもしてます?」
「……え、なんで、」
「いや、なんかソワソワしてる気がして……」
まずい、そんなに態度に出でたか、?
俺は ランスに、付き合っているのか質問するためにタイミングを見計らっているのだが、どう切り出せばいいのか分からず、未だに聞けずにいたのだ。
(俺はこんなことを聞いてどうしたいんだ、?)
(というか、本当に付き合ってたら、心が持たないかもしれない……)
ずっとうーん、うーん、と考えていたら不意にランスから、
「そんなに悩んでる先輩珍しいですね」
急にランスが少し微笑みながら俺に言ってきた。
ドキ……
ヤバい、熱が顔に集中してきた、ランスの微笑んでる顔なんて初めて見た。あんな感じに笑うんだ、
顔が赤くなってきたのが自分でもわかる。
「、っせんぱ、「コンコン、レインちょっといいですか」」
ビクっ、
「え!アっ!はい」
ガチャ
するとオーターが入ってきた。
「?ランス?今指導中でしたか?すいません」
「いえ、大丈夫です、休憩中だったので、」
「そうですか。ところで……」
さっきのランスの顔が頭にこべり着いてオーターさんの話が全く頭に入ってこなかった。
「それでは、」
フゥー、
ため息をついていると
「、レイン先輩?」
、そうだ、この部屋にはランスがいたんだった、……忘れてた、
「先輩さっきあんなに顔真っ赤にしてたのに、オーターさんによく何も言われませんでしたね。」
「、!?!?」
顔真っ赤なのバレてたのか、!?
「先輩って可愛いとこあるんですね」
はぁ、!?
好きな人にこんなこと言われてドキドキしないやつなど絶対に居ないだろう、
「それじゃあ、今日もご指導ありがとうございました。」
そう言ってランスは出ていった。
ほんとに、心臓が持たないって……
熱くなった自分の頬を触りながらさっきの出来事を思い返していたレインであった。
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さて、次の授業は実技だったか、ジャージに着替えてグラウンドに行かないと、
親友であるマックスと一緒に更衣室で着替えていた。
「なぁレイン」
「、?どうした?」
「最近、なんかいい事あった?」
「え?いや、特には、?」
「無意識かなぁ、最近のレイン、すごく雰囲気が柔らかくなった気がしてさ!!」
「、?そうか?」
自分では実感がわかないが常日頃から隣にいる親友が言ってるんだ。きっとそうなんだろう。
最近はランスとよく廊下ですれ違ったり、その都度多少話す仲になったからだろうか、、
ランスと会うとすごく心がポカポカして幸せな気持ちになれる。だけど、幸せな気持ちになれると同時に胸がキュッと締め付けられる。
その理由はもうとっくに理解してる。
ランスと会う時、必ず隣にマッシュバーンデッドが居る。そんな些細なことを気にしてしまう自分が嫌になってしまう。きっとあの噂を聞いてしまったから、気になってしまうんだろう。ランスがフィンやドット、?とかいう奴と一緒に居ても何も感じないのに、、
俺はこんなにも心が狭いんだな……、
「レイン、もう少しでチャイムがなっちゃうよ!!もう行こう、!」
「……あぁ」
自分の心の狭さに嫌気を刺しながら、マックスと一緒にグラウンドに向かった。
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「よーし!!今日はアドラ寮の3年生と1年生の合同課外授業だぞ!!」
「まずは、1年生2人、3年生2人の4人グループを作ってくれ!!」
はーーい、とみんながやる気のなさげな声で返事をした。
「レイン!!一緒のグループにならない?」
「あぁ、もちろんだ。マックス」
こういうグループなどを作る時は必ず親友であるマックスと一緒だ。 あとは、1年生でグループになってくれる人を探すだけなのだが、 そこら辺にいる1年生に話しかけてみても断られてしまう、
まぁ理由は分かっている……。
俺は、無意識に眉間に皺を寄せてしまうから、みんなに避けられている。怖いイメージを持たれているらしい。それに加え、自分で言うのもなんだが俺は顔が整っている。周りから高嶺の花と言われていて逆にお近ずきになれないんだと、マックスが言っていた。マックスに「そういうもんなのか、?」と言ったら、「イケメンにはフツメンの僕たちの気持ちは分からないのっ!!」と怒られてしまった……。
グループがいつまでも決まんない中、ほとんどの人達は決まっていて、流石に俺達も焦ってきた。
━━━━━━その時
「レイン先輩、俺たちと組みませんか?」
バッと後ろを向くとそこには、ランスとマッシュが居た。
ランスに話しかけられて嬉しい気持ちになるのと同時に、あぁ、ランスとマッシュはずっと一緒なんだな、と複雑な気持ちになった。
そんなレインの事を見ていたマックスだけがなにかに気づいた。
「……あぁ。俺達も組める人が居なくて困ってたんだ……。」
「!本当ですか。良かった」
「やったね、ランスくん。ごめんね、僕のせいで全然組んでくれる人がいなくて、」
「いいんだ。マッシュ。お前と組みたいと言ったのは俺だからな。」
するとランスはマッシュの頭も優しく撫でた。
そんな微笑ましい会話を聞いていたレインは胸が締め付けられる程痛くなって、見れなかった。苦しい。助けて。見たくない、!!
その時、
「ごめんね、ランスくんマッシュくん。レインが体調悪そうだから一瞬木陰で休んでくる!!すぐ戻ってくるからね。」
、え?別に体調悪くないんだが、
いや、でもこれなら2人から離れられる口実になる、。
「レイン先輩大丈夫ですか?」
「……あぁ。ちょっと休んでくる。」
「レインくん。行ってらっしゃい」
そしてその場を2人は後にした。
「、マックス」
「ねぇレイン。レインってランスくんに恋してるの?」
ドキっ……、
えっなんでバレたんだ?さっきか?そんなに顔に出てたのか、?いや、それよりマックスに軽蔑されるか、?男が好きとか気持ち悪いよな、バレたことよりマックスに嫌われる方が精神的にクる、 、
マックスの前で泣きかけた時、マックスが慌てて
「レイン!?ごめんね、知られたくなかったよね、ごめんね……」
「……、!マックスは気持ち…悪いとか、思わないのか、?」
「思わないよ、誰が何をすきだろうが関係ないだろ!!好きになったもんは仕方ないんだから!!」
マックスの笑顔を見て、俺は泣き出してしまった。
ずっと1人で不安だったんだ。俺は神覚者だから、変に誰かに相談してバラされたらすぐに広まる。好きな人が付き合ってるかもしれない。そんな時に、誰かに頼れない、相談できない、自分の心の中で自己解決するしかない。そんな寂しい思いをここ最近ずっとしてた。
人に相談するって、頼るって、こんなに心が楽になるんだなって、思った。
「マックス、ありがとう。」
「!!僕は、親友としてやるべき事をやっただけだよ!」
「ふふっ、そうだな。お前はそういうやつだったな。多分、もう大丈夫だ、。」
「、、本当に?ヤバくなったら言ってね?」
「あぁ。約束する」
俺はもう、ひとりじゃないんだ。俺たちはランスたちのいる所に戻った。
「よーし!それじゃあグループが出来たな!!これからそのグループで魔物が多数生息している森に入っていってもらう!!この森の奥にはウォールバーグ先生がいるから、そこにたどり着ければゴールだ!!」
せんせぇ〜それってめっちゃ危険じゃないですかぁ〜?
「大丈夫だ!!グループ内で戦闘不能になった者が出た時点でそのグループは強制的に救出されるぞ!!しかし、減点対象になってしまうから、みんな気をつけるんだぞ!!」
「それじゃあ、よーい、初めっ!!!」
みんな一斉に飛び出して行く中、俺たちはまだスタート地点で作戦を立てていた。
「先生はゴール出来たらいいって言ってたから無理に先にゴールする必要は無い。しかも戦闘不能になった時点で失格だから、ここは入念に作戦を……」
「ランスくーん、僕そういうの苦手だから寝てるね」
「マッシュ……。」
するとマッシュはランスの肩に頭を乗せて寝だした。レインはモヤモヤしたが、そんなこと言ってられない、。3人で作戦を立てることにした。
主に作戦はランスがたててくれた。
「……ということだから、2人ペアになり、ゴール直前で合流でいいか?」
「あぁ。いいと思う。」
「うん!!いいね!」
「じゃあ、そのペアを決めるか。」
「ねぇ、僕から提案!!せっかく1、3年生が2人ずついるんだから、ランスくんとレイン、僕とマッシュくんにしない?」
「!?!?マックス!?」
マックスは俺に向かってウインクをしてきた。気遣いをされたのだろう。
「……たしかに、よし、それで行きましょう。」
あぁあ……。嬉しいけど、嬉しいけど、!!マックスの方を見ると満円の笑みで俺を見ていた……
「おい、マッシュ起きろ。もう行くぞ」
「ハッ!!ん”ん……眠い…」
「じゃあ作戦を説明するぞ」
「……だから〜〜で、俺とレイン先輩、マッシュとマックス先輩で、ゴール前で落ち合おう。」
「、え?2人行動するの?」
「?そうだが。なにか不満なことでもあるか?」
「え、うん。なんでそのペアなの?僕とランスくん、レインくんとマックス先輩でよくない?」
「せっかく1、3年生がいるんだ。それだといつもと変わらないだろ」
「え〜……僕ランスくんとが良かった……」
マッシュはムスっとした顔をしていた。マックスの目の前でそれを言うとは、失礼過ぎないか……??
「マッシュ、流石にそれはしつれ「レイン!!僕は気にしないからいいよ!」」
「、マックス、」
ね?それよりランスくんと2人きりにしてあげたんだから、楽しんどきなよ!!
小声てマックスに言われた。確かに、せっかくランスと2人きりなんだ。楽しまないと損だな。
マッシュの方をちらっと見ると、睨まれた、気がした、?
━━━━━━━━━━━━━━━
「……」
「……」
気まずい、!!!いつもなら普通に喋れるのに、2人きりになった瞬間なんか恥ずかしくて話題が見つからないっ!!!最悪だ!せっかくマックスがこの状態を作ってくれたのに、!!
「、レイン先輩」
「!?ひゃいっ!!」
〜〜〜っ!!!声が裏返った!!最悪すぎるっ!!!
「……ふふっ」
「……笑うな、」
顔に熱が集まってくる。絶対顔真っ赤だ、!
「先輩、顔真っ赤ですよ」
「〜〜〜っ!!う、うるさいっ!!」
「ごめんなさい、笑笑」
そこから緊張がほぐれ他愛の無い話を沢山した。幸せだった。好きな人と2人きりで喋ることってこんなに幸せだったんだな……
だから気が緩んでいたのだろうか。
「シャアアアアッッッ!!!!!」
「、はっ!?」
気づいた時にはもう遅かった、
あ、やばいな
「、!先輩っ!!!!!!!!」
「スモウルっ!!」
「………え??」
「レインっ、ランスくんっ無事!?」
「ま、マックス?」
「大丈夫そうだね。よかったぁ〜、!」
それより、
「っっっ!?!?!?」
え!?!?俺、ランスにだ、抱かれて、??
「ら、ランス、??」
「大丈夫か!?!?」
「あ、あぁ、」
「よかった……ほんとに、」
ランスにすごい力で抱かれている俺は、心臓か飛び出てしまうのではと思うほどドキドキしていた。
(ら、ランスと密着しすぎだろ、!?!?)
ランスとレインの間に隙間が無いほどにピッタリとくっついていた。
(心臓の音、うるさい……これ絶対ランスに伝わってる、!!!)
「レイン先輩、俺に抱かれたくらいで心臓バクバクしすぎ、笑笑」
お前に抱かれてるからこんなに心臓バクバクしてるんだっ!!!と言いたいところをグッと堪える。
ずっとこのままでいいのに、と思っていたら……
「レインくん、ランスくんとくっつきすぎ。流石にレインくんでも、ダメ」
「あ、あぁ、すまん」
「マッシュ、嫉妬してるのか??可愛いやつだな、」
「別にぃ〜、嫉妬してないです」
「マッシュはほんとに分かりやすいな。まぁそーゆうところが好きなんだけど」
…………あぁ。やっぱり
2人は付き合ってたんだな……
「えっ!?もしかして2人って付き合ってるの!?!??噂は聞いたことあるけどホントだったんだ、!!」
「えぇ、まぁ。」
ランスが不意に優しい笑顔を浮かべた。
わかってる、わかってただろ、レイン。この2人には、他とは違う優しくて、甘い、不思議な雰囲気が漂ってることに……。
もうとっくのまえからわかってたのに、認めたくなくて、認められなくて……。あの、ランスが優しくしてくれる度に、やっぱり、やっぱりって……。でももう、認めざるを得ないんだ、
「……レイン先輩、??」
「……そうなだったんだな。すまないマッシュ。お前の恋人に触れてしまって。もう今後はこんな事がないように徹底する。」
「まぁ、多少ならいいですけど、さすがに今回みたいなことが沢山あったら僕も嫉妬しますんで」
「……あぁ。気をつける」
…………泣きそうだ。わかってた。わかってたけど、面と向かって言われるとやはりダメージが大きい。拳を握って、震えていたら不意に、
「もしかしてレインくん、ランスくんのこと好きでした、?」
「……え?」
「だからマックス先輩もレインくんとランスくんをペアにしようとしたんですか? 」
「ぼく、寝てるフリして起きてましたんで 」
「「……は?」」
「……え?」
「ペア決まったあと、マックス先輩、レインくんにウインクしてましたよね。それってそーゆー事だったんですね。今理解しました。」
「……ねぇ、レインくん。レインくんはランスくんのこと好きなんでしょ??」
〜〜〜〜ッ!!!!
レインが黙って下を向いていると、
「無言は肯定として捉えますね」
「……レイン先輩、そうだったんですか、?」
「……あぁ。そうだ、。俺は、、ランスが好きだ」
「!!先輩、」
ランスの顔を見れない、もう、この場には居たくない……。 無意識のうちに目から涙零れていた。
「……ごめん」
「!?レインせんぱ……」
俺はランスに名前を呼ばれたが、杖を振って自室に戻った。
━━━━━━━━━━━━━━━
それから数日後……
あの日、マックスが部屋に戻ってきた時、俺はマックスに謝った。
きっと俺が居なかったから失格になったんだろう。
マックスは、「そんなこと気にしないで!!それよりレインが心配だったよ。すぐ戻って来れなくてごめんね」と言ってきた。俺は本当に良い親友をもったなと思った。
しかし、まだ問題は解決していない。
あの日以降俺はマッシュにもランスにも会えていない。会えていないというか、俺から避けている。逆にあんな事があったのに、会える方がすごいとおもう。
廊下で2人を見た瞬間杖を振って絶対に対面しないようにしていた。魔法局でランスに用があると言われても、部下を通してくれと言って、できるだけ話さないようにした。
前みたいな関係に戻りたい。もどりたいけど、そんな勇気はない……。拒絶されたらどうしよう、気持ち悪いって言われたらどうしよう……。
そんなことばかり考えてしまう。こんなに弱かったんだなと、自分で自分のことを笑った。
そんな時、部屋のインターホンがなった。
「、、、!!」
「レイン、先輩……」
バンッッッ!!!
「ッッ!?!?!?」
ドアを閉めようとしたら、ランスがドアの間に足を入れて閉められないようにした。やばい、なんでここにランスが、!?!?逃げたい、怖い、やだ、助けて……
「……レイン先輩、そんな顔、しないで下さい」
ランスが俺の頬を優しく撫でてきた。やめてくれ。勘違いしてしまう。辛くなっちゃう。
「今日は、話し合いたくて、来ました。」
「……とりあえず、入れ、」
「急にすみません、」
「……」
ランスをソファに勧め、俺は紅茶の準備をしている。
「……レイン先輩は、俺の事が……す、好き、なんですよ、ね、?」
「……あぁ」
「、そっか……。そうか、」
なんで聞き直すんだ?その事に触れられて欲しくないことに気づいていないのか?それともわざとか?気持ち悪いから、俺を罵倒しに来たのか、!?!?!?俺の気持ちを弄びやがって…………!!!!!
最近上手くいかないことが多くて今日は頭に血が登りやすかった。だから、いつもなら言わないことも、この時は言ってしまったんだ。
「……今更なんで来た。」
「なんでって言われても……」
「俺をからかいに来たのか?罵倒しにきたのか?」
「そんな訳、!」
「じゃあなんで来たんだ!!触れてほしくない事について話し合おうとか、急に言われても困るし、状況に追いついて行けねえよ!それに!!話し合うことなんてないし!!2人きりで会ってたことをマッシュに知られたらお前が困るんじゃないか、???だから早く出ていってくれよ、!!!!」
これじゃあただの八つ当たりじゃないか、ランスはこの状況をどうにかしたくて来てくれたのに、
最低だな……
「……」
「そんなことを言う先輩が悪いんだからな。正直言って失望した。先輩の事気遣って今日来てあげたのに、なんだよその態度。」
グサッ
「もう、一生顔も、声も!!何も見たくない!!!」
バアァンッッッ!!!
閉められたドアを見て、無意識に笑い声が漏れた。
「ハッ、ハハッ…………自業自得、だなぁ、……」
その日はマックスが帰ってくるまで、いや、帰ってきたあともずっと、ずっと泣いていた。
━━━━━━━━━━━━━━━
数ヶ月後…………
今日は晴天。日向ぼっこでもしたら気持ちいいだろうな〜、
そんな呑気なことを考えているレインエイムズだが、状況は全く呑気ではなかった。
レインは今、自殺する人が絶えないで有名な崖のギリギリを立っていた。
「ハハっ、ほんとに今ここで死んじゃうんだな、俺……。実感湧かね〜、笑」
ランスとの関係が決裂した後、俺はどうにかランスを忘れられないかと色々な事を試した。
例えば、顔を隠して体を売ったり、ヤクに手を伸ばしたり、……。もっと色んなことをした。どうにか忘れようとしたんだ。したけど、むりだった。
だからもう、終わりにしようって、思ったんだ。生きてても辛いだけなんだよ。
1度だけ、マッシュとランスを見かけたことがあった。その時、俺は本当に神様に愛されていないんだなって再認識した。マッシュとランスはキスをしていた。
それを見た瞬間、俺の中の、なにかが壊れたんだ。言葉では言い表せない程に心がぐちゃぐちゃになって、破壊衝動に迫られて、その日の夜、俺は顔の知らない誰かに処女を奪われた。
そんなこともあってか、俺の性格はどんどん変わっていった。
今までは怖がられてみんなに避けられたり、真面目な性格で尊敬されていたりしていたが、今ではクラスの中心的存在で、何事にもポジティブに考えられるようになった。
しかし、ランスへの気持ちが吹っ切れてポジティブになった訳では無い。たまにいるだろう?追い詰められて、追い詰められてどうしようも無い奴が馬鹿みたいに明るくなったりするやつ。あんな感じ。だからか、一部の人からは気味悪がられているらしい。まぁ、そんな事どうでもいいが。
「このまま何もせずに死ぬのもいいけど……」
そうだ、遺書を書こう。神覚者が死んだとなると、事件として扱われる可能性が高いからな。てか、そうとしか思えないだろう。神覚者という、みんなに崇められる存在になったのにも関わらず自殺するバカなんて居ないからな。普通は。
誰宛に書こうかな。まずはフィンだな。あとはマックスにも。神覚者のみんなにも書こうかな……迷惑かけるし、謝罪だけでも……あとは、
「……………ランス、にも……」
ランスに書いても見てくれないかな、でも、伝えたいことたくさんあるし……
まず、覚えてないかも……。いやでも、まだ1年も経ってないし、?あんなこと忘れられない、よな、普通は
よし、書こう。死んでから後悔なんてしたくない。そうと決まれば早速行動に移さなければ。
不意に周りを見てみると、足元には花があった。どこにでもある小さな花だ。
あ、いいこと思いついた。
花にはひとつひとつに花言葉というものがついているらしい。遺書だけじゃ物足りないし、花もあげちゃおう。
そうだな、花は、フィンとマックスと……
あと、ランスにもあげよう。
俺の気持ちを花に乗せてランスに送ってやろう。花に罪は無いから流石に捨てない、よな?あいつは花言葉なんて興味ないだろうから最適だ。
そうだな、じゃあまずは花屋に向かわなければ……。
━━━━━━━━━━━━━━━
「……よーし!!全員に書けた。」
花屋に行った後、おれは自室に戻って手紙を書いていた。
じゃあ、手紙と一緒に花も置いて……
ここならマックスが帰ってきた時に気づくだろう。
マックスには申し訳ないが、みんなに手紙と花を渡してもらおうかな。
外に出ると、空はもう赤く染っていた。
「、!にいさま!」
「、フィン?」
「にいさま、こんな時間にどこに行くの?もう日が暮れちゃうよ!!」
フィンに会えるのも今日で最後か。なんだか少し寂しくなってきたな……。そうだ、、
俺は、 最後だからフィンの頭を優しく撫でた。そしたら、フィンは恥ずかしかったのか、顔を赤く染めた。
「にいさま!?」
「フィン、大きくなったな。……お前は俺の自慢の弟だ。本当に、本当に……ッ!」
「っ!!!」
フィンが俺にハグをしてきた。フィンからしてきてくれたのはいつぶりだろう。幸せだなぁ。心がポカポカするなぁ……。
「えへへっ//……ところでにいさま、これからどこかにいくの?」
「あぁ、ちょっと……」
「そうなの!?ごめんね、呼び止めちゃって!それじゃあまたねっ!!」
もうフィンには会えないのに、「またね」なんて言える権利なんてない。ごめんな……。俺は何も言わずに手を振った。
最後なんだし、街中でも歩こうか。
街には、最近できた服屋や、昔マックスと食べに行った事のある食堂、そして、アクセサリー店…
………いいこと思いついた。
ランスが一生俺を忘れられないように、呪いになるものを俺から贈ってあげようじゃないか。
俺はアクセサリー店であるものを買い、郵便局で、来年のランスの誕生日に届くように手配した。
もうこれで、心残りは無い。
━━━━━━━━━━━━━━━
結局、俺が崖に着く頃には空が真っ暗になり、星が綺麗に見えていた。
「綺麗だな……」
「ばいばい、ランス」
俺は真っ黒な海の中に落ちていった。
コメント
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続きがいいですね!! 続き待ってます
上手すぎです!! 続きが気になりますね! これからも頑張ってください\(*⌒0⌒)♪