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銃声が鳴る。
悲鳴や、助けを乞うような叫び。
ーーああ、五月蝿い。
俺は引き金に指をかけて、脳天めがけて発射する。
人を殺すことに、何のためらいももたなくなったのは、いつだったか。
いや、もうそんなのはどうでもいい。
生きるためには、金がいる。
あの場所〈しぇるたー〉を守れるなら、俺はなんだってする。
「あぁ〜〜冬橋さん、また派手にやったすねえ。」
けらけらと笑う声が暗い小屋に響く。
「霧矢か、」
「そっす。おわぁ…めっちゃグロいっすね笑」
「今更何言ってんだ。」
「へへ。」
この薄暗い裏社会でも、やっぱりこいつのこの笑顔だけが心の支えになる。
霧矢がいると、自然と心が軽くなる。
この気持ちは、なんなんだろう。
「霧矢…」
「んえ? 」
「…今夜、空いてる? 」
最初はぽかんとしていた霧矢だったが、ようやく意味がわかったのか、急に顔を赤くして俺から距離をとった。
「何?」
「……いや、空いてますけどっ」
「じゃあ、ホテル来て。」
「…うい〜っす。」
霧矢は帽子で顔を隠すと、いつも通り死体を埋めに行った。
その耳は少し赤かった気がする。
いやいや冬橋さん。 誘い方ってものがあるでしょ!
ほんっとにムードないっすよねえ…
「……まあ、そもそもそんなこと言える関係じゃないか。」
いわゆる俺と冬橋さんは〝セフレ〟という関係で、度々ホテルで身体を交わしている。
溜まったら発散する。それが俺と冬橋さんの関係。
…そう、それだけ。
メールで届いた番号の部屋に行き、扉を開ける。
部屋に入ると、もうすでに冬橋さんはシャワーを浴びていて、まだドライヤーをかけていないのか、髪から水がぽたぽたと垂れていた。
「冬橋さーん…髪乾かさないと風邪ひきますってぇ…」
「別にいい。」
「いや、見てるこっちが寒いっすよぉ。」
俺が棚からドライヤーを取り出そうと扉を開けると、後ろから冬橋さんが抱きついてきた。
すんすんと首元に鼻を近づけて匂いを嗅いでくる。少し擽ったい。
「あの〜…俺シャワー浴びてないんで汚いっすよ?」
「…そんなことない。霧矢はいい匂い。」
「えぇ〜…?」
俺が動揺している隙に、冬橋さんの手がシャツのしたから俺の身体を撫でた。
「ん、っ…」
思わず声が漏れる。
俺が慌てて口を手で隠すと、冬橋さんはあからさまに不機嫌になり、俺をベットへと押し倒した。
「ッ、ちょ 冬橋さん!痛いっすよいきなり!」
「うるさい。」
「は、? ん、っぅ…」
「ははっ、感じてんじゃん。」
俺の腹の辺りを撫でて、俺が声を漏らすたびに
無邪気に子供みたいな表情をする冬橋さん。
「っるさいっすよお…」
冬橋さんは、 クールで冷静そうに見えて、意外と顔に出るし、 感情的になりやすい。
俺だけが知ってる、大好きな冬橋さん。
…なんて、
セフレの俺が抱いていい感情じゃないよなあ…
「霧矢、何考えてんの。」
「ぇ、」
「余計な事考えないで。俺だけをみて。」
「っ…」
この人は……
俺がどんな気でいるかも知らないで。
「…冬橋さん。今日はやっぱしたくないです。」
「…は?」
冬橋さんには悪いけど、これ以上は俺が保たない。
この気持ちがバレてしまう前に、早く逃げないと。
俺は冬橋さんの腕の間から逃げ出そうと身動ぐと、急に冬橋の腕が再び俺をシーツに押し付けた。
「っ?!」
「ねぇ…霧矢。何考えてんのか知らないけど、
今更逃げるなんて許さないから。」
「ちょ、離してくださいって!」
「チッ、」
冬橋さんは乱暴に俺のズボンとパンツを脱がしてきた。
「っ、やめて、くださいって!」
「黙って。」
俺の抵抗は虚しく、すぐに腕を押さえられる。
身長はそんなに変わらないし、俺だって鍛えてる筈なのに。
冬橋さんの目がどんどん冷たくなっていく。
でも俺も怯まず、なんとか言い返す。
「ぅ、きょ、は…しないっすからぁ…」
「そんな事言ってるけど、ここもう勃ってるよ。」
そう言って俺の股間を膝でぐりぐりと押し付けてくる。
「ァ、っやだ !…ぅ゙、あっ」
「ほら、いいんでしょ?」
「ぃ゙や、ふゆ…はしさ、ぁあ゙っ
だめ…っいっちゃ、ぅ…」
「…イけよ。」
「〜〜〜っ♡」
耳元で囁かれ、俺は呆気なくイッてしまった。
服は自分の白濁で汚れ、ああ…掃除が大変だな
とどこか他のとこで考えていると、 身体が貫かれるような衝撃が走った。
「ぃ゙ッ〜〜〜♡」
「…ッあれ、挿れただけでイったんだ。」
「ぇ、ぁ…?」
急に奥まで貫かれたせいで、目の前に星が飛ぶ。
やばっ…しぬ、
このまま突かれでもしたら、間違いなく。
俺はなんとか意識が落ちるのを阻止し、冬橋さんに懸命に訴えかける。
「ぁっ…ごめ、なさぃ…ぅ゙ァっ、ふゆっ、はしさぁん…!」
「……」
「ごめ、なさ! あ゙ッ、ぅ、にげよ、としてっ、ッぁ! ごめなさ、ぃ゙…!」
「ぁあ!ッおく、だめぇっ、しぬ、しんじゃぅからあ! ァ、は、♡ やだぁっ!」
「…」
何を言っても止まってくれない冬橋さんに、俺も限界がきて、涙がぽろぽろと溢れてきた。
嫌われたかもしれない。
もう、要らないと捨てられるかも。
そんなのやだよぉ…
「ぅ、あ゙、っふゆはし、さ!ッぁ、」
「…」
「しゃべ、て、 っぅ゙う…ん゙、っ
しゃべ、っへよぉ…!」
「…、霧矢っ」
ようやく口を開いてくれた冬橋さんに、
安心してまたさらに涙が溢れてきた。
「ぅ゙、んん…」
「は、っごめ、きりやッ、いきそ、」
「あ゙っ!? そ、な♡!はやいっ、おく、しんじゃっだめ、ぃく。いっちゃ、ぅ…!♡」
「…はぁ、でる、だすよ?きりや…っ」
「…ぁ、は…あつぃ…なか、っァ、♡」
腹の中が冬橋さんのモノで満たされていく。
この時が一番嬉しくて、多幸感に満ちている。
「ゃ…りや、…霧矢。」
「……ん、ふゆはし、さん?」
「…ごめん。やり過ぎた。」
申し訳なさそうに謝る冬橋さんが、とても小さな子供に見えて、思わず抱きしめてしまった。
これは俺の仕事じゃない、それはわかっている。
俺達は恋人じゃない。これまでも、これからも。
そんな色恋沙汰を持ち込めば、きっと仕事に支障がでるし、冬橋さんもきっと困る。
しかも同性同士だ。裏社会とはいえ、周りからの目を気にしないわけにもいかない。
それに…
冬橋さんが死んだら、俺はきっと耐えられない。
いつ、誰が死ぬかも分からないこの裏社会で、
俺は、彼の死ぬところなんて想像もしたくないし、見たくない。
でも、その可能性が完全にゼロと言えるわけでもない。
だから、この思いは俺の中に留めておこう。
そう思っていたはずだったのに…っ
「ひどいっすよ…冬橋さんは、」
「…霧矢?」
「俺ばっかこんな思いして、苦しくて、いっそ突き放して、嫌ってくれればいいのに。
なのに、優しくしてくれて…」
ぽろぽろと、涙と一緒に、今までの思いが全部溢れてきた。
だめだ、止まらない。
ほら、冬橋さんも困ってる。
やめないと、
「…セフレなんて、もうやめたいっすよ。
………好きです。」
「え?」
「俺、冬橋さんの事が、っ好きなんです。」
言ってしまった。
ずっと留めておこうとした言葉が、口から溢れてしまった。
もうだめだ。後戻りはできない。
いっそもう全て話してしまうか、
それで嫌われて、突き放される方がまだマシかもしれない。
暫くの沈黙の後、先に口を開いたのは、冬橋さんだった。
「そっか…」
「っ…ごめんなさい。キモいっすよね、こんなこと言って。」
「…いや、しっくりきた。」
「んぇ?」
「霧矢、俺も、…お前が好き、だよ。」
なにを、言ってるんだ…?
冬橋さんが俺を好き、なんて…
都合のいい、ユメ、なの?
「…裏社会に入ってからも、いやトー横時代からも、俺はお前に支えられてきた。お前がそばにいると、落ち着く。」
「ふゆ、はしさん…」
「ずっと、この気持ちがわからなくて…
でも、霧矢が言ってくれたおかげで、やっとわかった。」
冬橋さんが、俺の手を取る。
その手の温かさに、俺は声をあげて泣いた。
こんなことが、本当にあっていいのか。
ずっと幻想でしかなかった、諦めていた好きという気持ちを、冬橋さんからも聞くことができるなんて、
「だから、俺と、付き合ってほしい。
セフレじゃなくて、一から。」
だめか、?
ああもう、そんなの決まってる。
「いいすっよぉ。」
俺は今までにないくらいの笑顔で、そう答えた。
fin.