テラーノベル
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「………」
重い瞼を開けると薄暗い天井が視界に広がる。
いつの間にか寝落ちしていたらしい。
出掛ける前に軽く施したメイクも、服装もそのまま。
天井を見上げながら、小さく吸い込んだ息を吐き出した。
別に、そうすることで胸の奥にある重さが軽くなる訳じゃないけど。
また、あの夢。
1人になるなんて、そんなことあるはずがない。
以前は心の何処かでそう思っていた。
思えていた。
今は、この夢が現実になるのではないかとすら思ってしまう。
現実になった所で自業自得だけど。
「………っ…」
身体を起こすと、目の奥がズキズキと痛む。
目元を抑えた指先が微かに濡れた。
そっか、泣いたんだ。全然覚えてないや。
ベッドに放られていたスマホを手に取り、暗い画面に映る自分を見つめる。
いつまで続くのか。
恋と呼ぶには穢れすぎてしまったこの感情は、いつまで自分の中に有り続けるのか。
どれだけ考えても、答えは出るはずもなく。
巡る思考を無理やり止めるようにスマホの画面を開いた。
意味も無くアプリを開いてエゴサしてみたり、頭に入ってこない文字列をぼうっと流してみたり。
画面の光が染みて、目の奥が余計に痛む。
それでも画面から目を離せないのは、気が紛れるから。
瞬きをすることすら忘れ、乾いた瞳から涙が出る程にただ画面の世界へと身を委ねる。
何も考えたくない。
「画面から目を離さないのは、何かで気を紛らわせたかったから。」
「瞬きをしなかったのは、瞳を濡らすのに理由が欲しかったから。」
そんなことにも、気付かないフリをしていたい。
結局 そんなことをしていても気は紛れない。
こんなことで紛らわせる程の気持ちじゃないって事でしょ。
“一途”が報われる相手にこの感情を向けていたなら良かったのかな。
生憎、一途なんて綺麗な名前は付けられなかったけどね。
こんなのはただの”執念”でしかない。
「………あ」
突然、静けさの中にコール音が響いた。
画面に表示される見慣れた名前。
応答ボタンに触れることが出来ず、その文字の輪郭を何度も視線でなぞる。
ずっと、何してんだろう。
忘れることもしないでいつまでも引き摺って。
自分勝手な感情で動いて馬鹿なこと言ったなら、無理言って忘れてもらったんなら。
同じこと、しないと。
フロントマンである自分に求められる
「器用さ」を失くしていけない。
汚れきった感情を出さないように、器用で居ないといけないんだよ。
「…もしもし」
コール音に代わり僅かに掠れた自分の声が部屋に響く。
「あ、もしもし。ごめん急に」
くぐもったその声が少しばかり苦しくて、静かに息を吸った。
「いーよ別に。何もしてなかったし。」
そっか、と一言置いた後 若井はいつものトーンで続けた。
「じゃあちょっとだけ付き合って」
断る理由なんて無い、前と同じように話せばいい。
今はただ返事をすればいいだけなのに、言葉がすぐには出てこなかった。
頭の中に靄がかかったような感覚は、普段なら浮かぶはずの言葉を隠してしまう。
「…ぁ………うん」
我に返り、漸く口にすることが出来た当たり障りのない返事。
たった2文字を返すこともままならないこの状況は、現実を嫌という程に実感させる。
きっともう 変わることは無いんだろう。
若井に対して純粋な気持ちを抱けなくなったことも、あの頃のように話せなくなったことも。
自分勝手な想いで変えてしまった関係を戻そうなんて、考えるだけ馬鹿馬鹿しい。
上辺だけでもいい。
形だけでも若井の傍に居られるならそれでいいから。
──って、そんな想いだけあれば良かったのにな。
そうやって割り切れたならまだ良かったのに。
結局 戻ることの無い過去に縋ってしまう。
純粋なままでいれたなら、と。
コメント
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い゛ぢさぁぁぁんっっ泣 まずは続きをありがとうございますっっ 待ってました……この2人を待ってましたっ、私!!! そして……う、ぅぅぅ……十分……十分に純粋ですって!! 大森さんが今、思っている感情が切ないけど、相手を大切にしたい想いが溢れてて……そんなん純粋で無ければ持てない感情ですってっ!!あぁ……もう……しんどい……しんどいけど、2人を見ていたい……