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お久しぶりです。

3話です。


好き、なんだ。先生」


ハッとする。まるで今まで寝ていて目を覚ましたような心地だ。

しかし、同時に今自分が言ったことに呆然とした。


―――え、先生?それに好きって…。いや、好きだけど。でも今はそんなことしてる場合じゃなくて、魔神が…。


「そうか、俺も公子殿を好ましく思っている。俺と付き合ってくれないか」

「…え?」

「ん?」


あまりに予想外な事態にぽかん、としてしまう。思考が固まる。

どうしたんだ、と穏やかに笑う鍾離はよく知る彼だ。けれど、少し見覚えのないタイプの笑みを浮かべている。


…まるで、愛しいものを見ているかのような。


「…先生が、俺を…好き…?」

「もちろんだ。なんだ、伝わっていなかったのか?」


おかしい、と思う。これは夢じゃないか、なんて頬をつねったが、痛い。現実だ。

けれどそれでも、やっぱりおかしい。


だってあの時、あんたは俺を振ったじゃないか。


それに、さっきまでいた魔神はどうしたのか。自分は、ちゃんと倒せただろうか。確か半殺しにしたあたりまでは記憶があるのだが、自らも満身創痍だったせいでそれ以降の記憶がおぼろげだ。


「…どうした公子殿、まさか夢でも見ていたのでは?」

「…夢…だったのかな…でも…」


あんなのが夢で在ってたまるか。

失恋の苦しみも、悲しみも確かに現実で本当だった。

魔神との戦いの高揚も、傷ついていく身体的苦痛も確かにそこに在った。


それなのに、先生はあれを夢だという。


「何を疑問に思う。お前はずっと、ここにいただろう?」

「……………そう、かな」

「ああ、そうだ。さて、公子殿。せっかく思いが通じ合ったんだ…このまま、夜を共にしないか?」

「えっ」


するりと、鍾離の武人の手がタルタリヤの手に覆いかぶさり、絡めてくる。


「…お前を、抱きたい」

「っ…!」


おかしい、と思う。

けれどそれ以上に、この人に求められたことがうれしくて、涙が出る。鍾離は席を立ち、それを優しく拭うと顔を近づけてきた。

応えるように目を閉じて、その感触を待ちわびる。


その、時だった。


『………すまない、間違えた』


あの時の声が、彼の表情が、よみがえって。


「っ…やめて!!」

「くっ…」


気づけば鍾離を押しのけ、タルタリヤは立ち上がっていた。


「………公子殿?すまない、急すぎただろうか」

「…ごめん、帰る…ね…」


しゅん、と落ち込む鍾離を慰めたいけれど、それ以上に違和感がひどくて。タルタリヤは何とかそれだけ言い置き、逃げ出すようにそこを出た。

自室に駆け込み、へたりと座り込む。


「…どうなってるの…」


タルタリヤの声が、むなしく響いた。




続きはまたいつか…


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コメント

2

ユーザー

ふぎゃ………神ですか😭もしかすると先生魔人説!!

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