コメント
2件
ふぎゃ………神ですか😭もしかすると先生魔人説!!
お久しぶりです。
3話です。
好き、なんだ。先生」
ハッとする。まるで今まで寝ていて目を覚ましたような心地だ。
しかし、同時に今自分が言ったことに呆然とした。
―――え、先生?それに好きって…。いや、好きだけど。でも今はそんなことしてる場合じゃなくて、魔神が…。
「そうか、俺も公子殿を好ましく思っている。俺と付き合ってくれないか」
「…え?」
「ん?」
あまりに予想外な事態にぽかん、としてしまう。思考が固まる。
どうしたんだ、と穏やかに笑う鍾離はよく知る彼だ。けれど、少し見覚えのないタイプの笑みを浮かべている。
…まるで、愛しいものを見ているかのような。
「…先生が、俺を…好き…?」
「もちろんだ。なんだ、伝わっていなかったのか?」
おかしい、と思う。これは夢じゃないか、なんて頬をつねったが、痛い。現実だ。
けれどそれでも、やっぱりおかしい。
だってあの時、あんたは俺を振ったじゃないか。
それに、さっきまでいた魔神はどうしたのか。自分は、ちゃんと倒せただろうか。確か半殺しにしたあたりまでは記憶があるのだが、自らも満身創痍だったせいでそれ以降の記憶がおぼろげだ。
「…どうした公子殿、まさか夢でも見ていたのでは?」
「…夢…だったのかな…でも…」
あんなのが夢で在ってたまるか。
失恋の苦しみも、悲しみも確かに現実で本当だった。
魔神との戦いの高揚も、傷ついていく身体的苦痛も確かにそこに在った。
それなのに、先生はあれを夢だという。
「何を疑問に思う。お前はずっと、ここにいただろう?」
「……………そう、かな」
「ああ、そうだ。さて、公子殿。せっかく思いが通じ合ったんだ…このまま、夜を共にしないか?」
「えっ」
するりと、鍾離の武人の手がタルタリヤの手に覆いかぶさり、絡めてくる。
「…お前を、抱きたい」
「っ…!」
おかしい、と思う。
けれどそれ以上に、この人に求められたことがうれしくて、涙が出る。鍾離は席を立ち、それを優しく拭うと顔を近づけてきた。
応えるように目を閉じて、その感触を待ちわびる。
その、時だった。
『………すまない、間違えた』
あの時の声が、彼の表情が、よみがえって。
「っ…やめて!!」
「くっ…」
気づけば鍾離を押しのけ、タルタリヤは立ち上がっていた。
「………公子殿?すまない、急すぎただろうか」
「…ごめん、帰る…ね…」
しゅん、と落ち込む鍾離を慰めたいけれど、それ以上に違和感がひどくて。タルタリヤは何とかそれだけ言い置き、逃げ出すようにそこを出た。
自室に駆け込み、へたりと座り込む。
「…どうなってるの…」
タルタリヤの声が、むなしく響いた。
続きはまたいつか…