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多分、このまま狐の化け物に連れてかれた後に殺されるんやろなぁ…って思った。
らっだぁ達も散々な目に遭ってたし、助けは期待できないって。
だけど…
「ちょっとちょっとぉー?きょーさんになぁにやってんのー?」
目の前に、蒼い炎が咲いた。
「きゃあっ…!!」
炎に怯えた狐がぱっと手を離して、真っ逆さまに落ちる俺をらっだぁがふわりと受け止めた。
「ふふっ、きょーさんもずいぶんと派手にやられたねぇ〜」
ぱちんっと水泡が弾けるような音がして目を開くと、傷がひとつ残らず綺麗に治っていた。
「コンちゃん、ありが……は?」
らっだぁの背後に見える景色に目を見開いてしまう。おまけに口もぽかんと開く。
何回か目を擦ってたけど、夢じゃない。
そんな様子の俺を見てどりみとレウがくすくすと笑っている。
「コッチのことめちゃくちゃにしてくれちゃってさー……」
「ヒッ…わ、わっちはただ…約束を……!!」
ブンブンと首を振る狐にどりみがレウを盾にしながらそっと口を開いた。
「ソレ、期限切レ…ネ、レウサン」
「そうだね、期限切れてるのにここ数100年の間取り立ててたらしいね」
「違法ダネ、殺ソウ!」
「ち、違っ…」
ひっ、ひっ…と呼吸が浅くなる狐にコンちゃんがニコッといつもの笑みを浮かべた。
「人間との調和を考えて色々政策を進めてたのにさ、こんなに人間界に介入して…地形歪んでるよ?どうしようか、らっだぁ」
「えぇ〜、殺しちゃう?」
「しちゃえしちゃえ!仕事増やしやがってコノヤロ〜!!星にするぴょん☆」
「ご、かいが…!!」
いつぞやに見た可愛らしい言葉と共にぱちんっとウィンクをきめるコンちゃん。
いや、それはどうでもええねん!!
「どうしたのきょーさん?」
「『どうしたの?』じゃねーわ!!どういうことッ!?なんやコレ!?」
「えー?何って……見ての通り…」
らっだぁの背後に並ぶたくさんの妖達。
これ、そう簡単にやってええんか…?
だって…これって……
「百鬼夜行だけど…?」
だよなぁ!?やっぱり!?!?
「な、なんでこんなおるん!?」
「え、だってきょーさん連れてかれちゃったし…なんか女狐いるし…?」
それがどうしたの?と言わんばかりの顔で首を傾げるらっだぁ。
駄目や、コイツに常識を求めたらあかん…ど、どりみー!!なんとか言ったれ!!
「ナツカシイネ、オレノ トキ モ 百鬼夜行シテクレタンダヨネ」
ぐっ、コイツもバカか…レウ!!
「俺んときもだよ、面白いよねこれ! 」
…コ、コンちゃん!!!!
「明るいねぇ、綺麗だねぇ、楽しいねぇ〜」
駄目やどいつもこいつもアホばっか!!
ぐぬぬ、と呻き声をあげて頭を抱える俺を見下ろすらっだぁはニヤリと笑った。
「でもさ、きょーさん」
「……なんや」
「ちょっと楽しいな、って思ったでしょ」
「…うるせー、調子乗んなカス!!」
「ひどいっ!?」
そんな事していると、狐がそそくさと逃げようとしていたので力を使って光の網で捕縛すると「ぴぎゃっ」とヘンテコな悲鳴を上げながら地面に落下した。
「アーアァ、ラダオクンガモタモタスルカラァ」
「ごめんってぇ!今終わらせるから加減直して!?早く終わらせて夜行しようね!?」
俺を片手で抱えたまま狐の近くに降り立つらっだぁ。
俺、結構重い方やと思うんやけど……
網から逃れようと唸り声を上げながら暴れる狐にさっきのような優美さはカケラもない。
まあ、元から無かったけどな?
「さぁてと、ちゃちゃっと終わらせますか」
青鬼が細い指を口元に添えて静かに一言。
「…良い夢みろよ」
直後、狐からパッと蒼い炎が咲いた。
暖かく揺れる蒼炎は狐を包むと、小さくなって消えてしまった。
「なんか、あっけないなぁ…」
「そんなものだよ、妖だからね」
ふーん…
どりみがぱっと飛びついて、いつもと違ってニッコニコな顔で「ネェネェ」とパーカーの裾をブンブン振ってくる。
「キョーサン タコ焼キ買ッテ!!」
「あー…レウが買ってくれると思うで」
「ヤター!!」
「俺かよ!!…うー、まあいいけど…」
「この前もおねだりされてたもんねぇ〜」
あ、そうや…
「コンちゃん、その…親父も……」
「もう治してあるよ〜、百鬼夜行する前にちゃんと話しておいで!」
「あ、ありがと!!」
羽を広げて自分の足で親父のところまで歩いた。
「親父…」
「お前のことはもう知らない」
そっぽを向かれたままそう言われた。
あーそうかよ、と思いながらも心のどこかで悲しさを感じる。
諦めて踵を返そうとすると、どりみが親父の顔面をひっぱたいた。
「ど、どりみー!?」
「はっきり言えよ!このアホッ!!」
「な…何をするんだ!!」
カタコトじゃない…!!
親父の睨みをものともせずに、ポカポカと殴りつける。
「バーカ!!バカバカバーカ!!」
挙げ句の果てにわんわんと泣き出したどりみにタジタジの親父を見て思わず吹き出してしまう。
「くっ…はははっ!!」
「わ、笑うな!!お前も泣くな…その、ちゃんと話すから……」
「ひぐっ、ぐすっ…」
そっぽを向いていた顔と向き合うと、親父がモゴモゴと口を動かした。
「その、なんだ…いいんじゃないか……」
「は?」
「だから、彼らといることが幸せだと言うなら、彼らといればいい…お前の幸せを害する権利は親といえども俺にはない」
「……」
「今まではあの狐の妖のことがあるから散々邪魔していたが…その、なんだ…もういないわけだし」
あれ、この人って…
「俺、今までアンタが大っ嫌いやった」
「ゔ…い、致し方ないことだ…わかってる」
こんな感情が顔に出る人やったっけ…
「酒飲んでばっかやし、あたりはキツイし」
「……す、すまなかった…それは俺の悪癖だ…」
あぁ、俺も知らず知らずのうちにそっぽ向いてたんやな…
「でも、俺がちゃんと向き合ってなかったのも原因やと…今なら思う」
「…」
「これからは、マメに連絡する」
「……!!」
今はこれだけでいい。
あとはゆっくり時間をかけて知ればいい。
他でもない俺のために、俺を守るために親父は動いてくれてた。
それが知れただけで、今は充分だ。
「さ、行きますかぁ…!」
「そーだねー、みどりが不機嫌になっちゃうからね」
「アッチデオマツリガアルンダッテ!!」
「わかった、わかった…落ち着けどりみ…」
「コンちゃんは何食べる?」
「イカ焼きでしょお?焼きそばでしょお?」
「…イカ焼き…共食い……!?」
「こんな数で行ったら屋台の食いもん全部無くなるで……」
俺のぼやきを拾ったらっだぁが悪い笑みを浮かべた。
「それはそれで面白そうじゃん?」
「なんでもありじゃ無いんやから……」
「なーに言ってんのさ、きょーさん」
「俺ら妖だよ?自由に決まってんじゃん!」
そう言って青鬼は花が咲くように笑った。
どうも、チェシャで御座います。
えっと…これで終わりです!!
オチ?そんなの求めたら終わりさ……
とりあえず終わりは終わりなのだぁっ!!
ふぅ、次は…宵の君と、新作何出そうか……
どうせらっだぁ運営関連しか書かないんですけどね。
墓場からアンケートとろうかな…
でも飽きたやつだしなぁ……(`・∀・´)
とりあえず終わります!!!!
今まで読んでくれた皆様方、
本当にありがとうございました!!(*´꒳`*)
٩( ᐛ )وマタネー