(注意点)
100%妄想です
怪我や発熱で苦しむなどの表現があります
言葉遣いなど解釈違いでしたらすみません
長文で申し訳ないです
大丈夫な方はこのままお進みください
こんなに暑い夏だというのに、ディティカ内では夏風邪バトンリレーのような事が起こっていた。
最初に叢雲が、疲れからくる夏風邪で数日寝込んだ。
たまたま任務が無かった伊波が看病を担当していた。
叢雲「ライ、ほんまごめん。全然僕、放っといて平気やから。」
伊波「大丈夫!俺しばらく暇だし、こういう時くらい看病させてよ。なんか食べれそう?」
伊波は優しく声をかけながら、額の汗を拭いてあげたり、おでこの冷えピタを取り替えたり、甲斐甲斐しくお世話する。
熱にうなされ頭痛に苦しんでいた叢雲は、その心地よい声と優しさに、段々と眠くなってきた。
叢雲「ご飯はあとにするわ、なんか眠くて、、」
伊波「オッケー、おやすみ。なにかあったら呼んでね。」
掛け布団を肩まで掛け直してあげると、フワフワな頭をポンポンと撫でて部屋を出た。
廊下に出たところで、任務帰りの星導とバッタリ会った。
全身泥んこ状態だが、怪我は無さそうだ。
伊波「うわ汚ぇー!早くお風呂入って!」
星導「帰宅早々ひどすぎない?俺今日、忍者の代わりに任務行ったのに。」
伊波「ごめんごめん!まずはおかえりだったね!あ、静かにしなきゃ、今カゲツ寝てるから。」
人差し指を口に当ててシーのジェスチャーをとった。
星導はコクコクと頭で頷いた。
そのままお風呂へ直行し、サッパリした状態でリビングに戻る。
星導「カゲツ、風邪ってやつでしたっけ。ヒーローでも勝てないもんなんですね。」
伊波「さすがに無理だよ。身体が休めって言ってる証拠だし、病気の時はとにかく休む!それが1番!」
麦茶を2人分注いで、1つを星導に手渡した。
わーいと言いながら受け取り、立ったまままずはひとくち飲んで、ソファに座った。
星導「どんな感覚なんだろ、俺、風邪引いたことなくて。」
これがフラグになるとは思ってもなかったが、後日ガッツリ引くこととなる。
どこか他人事のように言うと、チラリと叢雲の部屋を覗いた。
眠っているのに辛そうな呼吸音と、時々湿った咳が聞こえてくる。
静かに近付くと、汗ばんだ顔に張り付く髪をそっとかきわけてあげた。
伊波「風邪なんて良いものじゃないし、できれば一生引かない方が良いよ。」
星導「そうみたいですね。明日は任務あるんですか?」
伊波「うん、明日は俺がカゲツの代わりに行こうと思ってるよ。まだ完治まで数日かかりそうだし。」
星導「いえ、明日も俺がいきます。俺じゃ看病うまくできないだろうし、ライがいてあげてください。」
伊波「そんな連日、大丈夫なの?」
星導「今日のも簡単だったし、任せてください。」
伊波は心配そうな顔を向けてくるが、星導はヘラリとした笑顔を返す。
星導「カゲツが元気になったら美味しいもの奢ってもらいましょ。」
伊波「そうだね!」
2人でニッと笑った。
しかし叢雲が治る頃に、伊波に風邪がうつり、数日寝込むこととなった。
伊波の看病は任務帰りの小柳と星導で行った。
星導は伊波の看病を見ていたので、それとなく形にはなっていた。
叢雲「風邪うつしてしもた、ホンマにごめんな、ライ。」
ベッドの隣で土下座に近い姿勢で謝っている。
伊波「ううん、気にしないで。カゲツもまだ病み上がりなんだから、無理しちゃダメだよ。」
叢雲「なぁ、プリンとか食べる?」
伊波「うーん、気持ち悪くて、今は無理かな、、あとね、キッチンからやばそうな音が聞こえるから、見てきてほしい。」
叢雲「は?あいつら何やってん?!」
キッチンで小柳と星導が卵粥を焦がして騒いでいる。
叢雲が対応している間、ワチャワチャとした会話に耳を傾けているうちに、伊波はスヤスヤと眠ってしまった。
手探りで小柳と星導が看病しつつ、叢雲含む3人が、伊波の任務も肩代わりしていた。
やっと伊波が復活したと喜んでいた矢先、 疲労やら寝不足やらで、色々ボロボロだった小柳に風邪がうつってしまった。
ただ、この狼は簡単に看病させてくれない。
素直じゃないし捻くれ者だ。
小柳「俺のことはいい、寝りゃ治る。」
プイと背中を向けて布団に潜る。
星導「そんなフラフラで顔真っ赤に言われても説得力ないですよ。ほら、薬飲んでください。」
布団を強引に剥がし、背中を手で支えて上半身を起こしてあげる。
高熱に犯されて朦朧としてるのか、コップを持つ手がおぼつかない。
その手も支えてあげて、なんとか薬を飲んだ。
それだけで体力を使ったのか、飲み終えると電池が切れたかのように、ベッドに沈んだ。
小柳「はぁ、、最悪だ、。」
魘されるように呟く。
星導「悪態つけるようなら大丈夫そうですね。」
ツンツンと小柳の頬をつついた。
すると、舌打ちしながら顔を背けられた。
小柳「やめろ、触んな、、」
星導「身体が休めって言ってるらしいですよ?ここんとこ小柳くん頑張ってましたもんね。」
返事はなかった。
いつのまに眠ったのか、小さな寝息だけが聞こえてくる。
星導「おやすみなさい。」
電気を消した。
さすが白狼、1番酷く寝込んでいたが、回復も1番早かった。
星導「本当にもう大丈夫なんですか?昨日までグッタリで激熱だったのに。」
小柳「俺の回復力なめんな。もう余裕だよ。」
星導「へー、よく分からないけどすごいですね。」
叢雲「星導は風邪引いたことないん?!すごない?」
小柳「こいつ記憶ないだけで絶対経験してるだろ。」
星導「うーん、覚えてないですね。」
伊波「みんな気を引き締めて!やっと4人揃ってのデカい任務なんだから!」
先頭を伊波と小柳が走る。
まだ敵の姿は見えてこない。
どんどんと森の中を進む。
しんがりは星導。
というよりも、ついていくのが精一杯だった。
あれ?みんな今日、走るの早すぎない?
そんなに気合い入ってる感じ?
なんかもう俺、息が上がってて限界なんだけど、、。
これって俺が遅いの?
俺疲れてる、のか、?
星導は心の中で自問自答を繰り返す。
今朝は目が覚めると物凄い寒気に襲われた。
夏だというのに毛布を引っ張り出して二度寝しようとしたが、謎の寝苦しさで寝れなかった。
寒いのにじっとり汗を纏っていて、体が鉛のように重かった。
今日は久々に4人での任務だから、これくらいのことで休んで迷惑かけたくはない。
「行かなきゃ、、」と自分を鼓舞した声は、どこか掠れていた。
なんとか目的地に辿り着くと、そこは敵地のど真ん中。
すでに何体かの敵が闊歩している。
こちらには気付いていない。
叢雲「星導なんか今日動きおかしない?」
伊波「ほんとだ、なんかめっちゃ息上がってない?大丈夫?」
小柳「顔色悪。」
星導は額の汗を袖で雑に拭くと、にぱっと笑い、片手をヒラヒラ振る。
星導「昨日、鑑定の仕事遅くまでやってたらちょっと寝不足で、問題ないですよ。」
伊波「ほんとかなぁ、無理しないでね。」
叢雲「あ、敵に気付かれた!やるで!」
1体の敵がこちらへ向かってきた。
伊波「今日は数が多いからどんどん倒しちゃって!中型もいるから!」
叢雲「誰が1番多く倒せるか勝負な。負けたやつ寿司おごれ。」
小柳「言い出しっぺが、負けても知らねえぞ。」
星導「しんがりは任せてください。」
笑顔と裏腹に足取りは重い。
体調不良だと気付かれたくない。
バレれば任務から外され、3人の負担が増える。
迷惑をかけたくない。
大丈夫、戦える。
頭の中はそんなことでいっぱいだったが、自分でも気力で誤魔化せないくらい体調は悪化していく。
酷くなる頭痛、眩暈、息苦しさに加えて、気持ち悪くもなってきた。
怠い、、。今すぐ眠りたい、、。
これは一体何なんだろう。
とりあえずいつものフォーメーションで戦ってはいるが、小柳がチラチラと星導の顔を見てくる。
その度にさりげなく顔をそらした。
異変に気付かれてしまいそうだったから、気合いを入れ直して涼しい表情を貼り付ける。
前方からは多くの小型な敵が姿を表し、伊波と小柳が蹴散らしていく。
2人の後ろから、叢雲が援護射撃のごとくクナイを投げる。
3人が打ち損じた敵や、後ろからの敵を星導が触手で叩き落とす。
伊波「みんなー!避けてねー!」
大きなハンマーを何回転も振り回して、5体の敵を一掃した。
叢雲「やるやん!負けてられへんな!」
両手に4つの手裏剣を構えると、いっぺんに4体の敵の額に命中させた。
小柳「オイオイ、こりゃ負けは星導くんじゃね?」
一太刀で3体の敵を斬り落とし、ニヤリと笑って星導を煽った。
星導「せっかちですね。まだまだこれからですよ。」
強がってみたものの、明らかに動きが悪かった。
触手を振り回すが、敵に当たらなかったり、掴み損ねたり、いつもならしないようなミスを重ねる。
敵の攻撃を触手で防ぐが、勢いに負けてよろけたり、反撃が遅れたり。
1番後ろにいるから3人には気付かれてないと思うが、調子が出ない。
自分の体なのに不思議でならない。
伊波「奥から中型きたよ!」
人よりも2回りくらい大きい敵が3体こちらに近付いてきた。
そのうちの1体が口をガバッと開けると、中からミサイルが発射された。
叢雲の足元に打ち込まれ、すぐにその場から離れると同時に爆発した。
叢雲「あっぶな!なにすんねん!」
さらに発射されたミサイルを、伊波がハンマーで打ち返した。
伊波「ホームラン!お返しだよ!」
叢雲「ナイスゥ!」
1体の敵は、打ち返されたミサイルに当たり爆発した。
残りの2体は激怒したようで、5発ずつ、計10発のミサイルを連続で発射させた。
軌道は読みやすく、避けるのは難しくない。
小柳「こんなん当たるかよ。抜刀!」
ミサイルを真っ二つに斬り落とした。
避けたいくつかのミサイルは木々や地面に当たって爆発していく。
叢雲がひらりと避けた1発が、後ろにいた星導に向かう。
後ろに星導がいるのはわかってる。
どうせ避けるか触手でどうにかするやろ、と叢雲はあまり心配していなかった。
しかしすでに星導は朦朧としていた。
眼前にミサイルが飛んできてるのは見えているのに、頭が働いてくれない。
体に避けろと命令してくれない。
暑くて寒い。フワフワする。
目が霞む、、。
あれ、いま、なにしてたんだっけ、、。
無意識に変身も解いていた。
ぼんやりと地面を見つめて、棒立ち。
ミサイルは見事に星導の胸元に直撃し、爆発した。
衝撃と爆風に飛ばされて、大きな弧を描いて体が宙を舞う。
人形のように脱力しきった状態で、地面に強く叩きつけられた。
数秒間、何が起こったのか理解ができず、遅れて感じ取った全身の痛みに顔を顰めた。
星導「ゔ、、痛、、なに、これ、、」
ズキリと痛む胸元を見ると、ミサイル直撃によって抉られたような傷があった。
幸いそんなに深くはない。
落下の衝撃でどこか骨も折れているかもしれない。
猛烈に痛いはずなのに、感覚はぼんやりとしていて、まるで自分の体じゃないかのような、遠くに痛みがある。
立ち上がってみんなのもとに戻らなきゃ。
しかし気持ちに反して体は着いてこない。
なんとか立ち上がって一歩踏み出すと、べしゃっと倒れる。
もう一度、何度やっても、二歩目が出ない。
膝がカクンと脱力して地面に沈む。
星導「、、なん、で、?」
自分の体に尋ねるように口から溢れた。
そこで急に瞼が重くなる。
閉じてはダメなのに、抵抗したくてもできない。
星導「、どう、、して、、。」
考えようとしたが、先に意識が閉ざされた。
叢雲「タコどこいった?後ろ見たらおらんのやけど。」
伊波「え、しんがりは任せろとか言ってなにしてんのアイツ!」
あらかた敵を片付けた3人はやっと、星導が居ないことに気付いた。
見かけないなぁとは感じていたが、どこかで戦っているだろうと思い、さほど心配していなかった。
今回の敵は多いけどそこまで強くない。
いつもは後ろで自由に戦って、ヌルッと戻ってくる。
なぜか近くで戦闘していた形跡もない。
少しの気配すらない。
小柳は周りをよく見渡した。
見つけたのは後ろの方にミサイルの爆発の跡と、飛び散った少しの血痕。
小柳「あいつミサイル喰らってるな。」
叢雲「は?あんなん避けれんとかある?」
伊波「だとしたら相当吹っ飛んだんじゃない?!探しに行かなきゃ!」
3人は吹き飛んだであろう方角へ走った。
小柳「今日ずっと様子おかしかったし、ボーッとしてて、普通に当たったんじゃねえの?多分。」
伊波「何してんだよ、もー!」
叢雲「あ!おった!あそこや!」
うつ伏せで倒れている星導の姿が見えた。
伊波「星導!大丈夫?!体少し起こすよ!」
体を仰向けにし、上半身を支えて少し起こす。
体に触れた時、異常な熱さを感じた。
意識は無いが、苦しそうに不規則な浅い呼吸をしている。
叢雲「うわ、胸元の怪我エグいな、、」
伊波「これね、めっちゃ熱あるわ。すごい熱いもん。」
小柳「なるほどね、体調悪いの隠して来たわけだ。」
叢雲「こんなんで戦えるわけないやんな。ゆっくり休んどけよ、このタコが。」
文句を言いつつ、胸元の怪我の手当てをしてやる。
小柳が星導を背負った時、体の痛みに「ゔっ、、」と呻き、うっすらと目を開けた。
星導「え、、なに、、?」
小柳「なにじゃねえわ。てめぇ風邪なら来るなよ。」
星導「えぇ?、、おれいま、かぜひいてるの?、、」
まだ頭はぼんやりしているようで、会話もふわふわしている。
小柳「朝から不調だったんだろ?」
星導「なんか、へんだなぁ、とは、おもってました、、。へぇ、これが風邪、なんですね。」
自分がずっと知りたかった答えに出会って、なんとなくホッとした。
とにかく自分がずっと変で、その理由や名前が分からない事が怖かった。
小柳「お前、散々人の看病しといて分からなかったのかよ。」
星導「いざ自分が逆の立場になると、、こんな感じなんですね、、」
叢雲「今どこがしんどい?」
会話をしながら、星導は徐々に小柳の背中に顔を埋める。
目眩が強くなってきて、目をギュッと閉じた。
とても辛そうで、小柳はなるべく揺らさないように走る。
星導「頭痛とか色々、、あと、寒いです。」
伊波「俺たちの風邪、うつっちゃったね。」
ごめんねのポーズで星導の顔を覗き込む。
星導「ふふ、、貴重な体験、です。」
小柳の背中に顔を埋めたままモゴモゴ喋っている。
途中で、痛みに耐えるような呻き声が口から漏れる。
小柳に掴まってる手にもギュッと力が入った。
叢雲「気持ち悪いんか?吐きそう?」
星導「いえ、、、多分、どっか骨、折れてる、かも。」
伊波「怪我は早く言ってよ!」
素早くデバイスを取り出すと、救急へ連絡を入れた。
伊波「負傷者1名!治療受け入れの準備を!」
星導「風邪って、こんなにしんどいんですね、、。看病してる時は、よく分かってなかったので、、。」
小柳「こんなになる前に普通は気付いて寝とくんだよ!」
星導「、、はぁい。」
ひどく寒さを感じていた星導は、小柳の背中から感じる体温が心地よくて、そのまま眠りについた。
病院でひと通り怪我の治療を受け、星導はディティカの家に帰ってきた。
医師には入院を勧められていたのだが、星導は強く拒否したので、絶対安静に過ごす事を約束して帰ってきた。
3人が病院まで迎えに来てくれて、まだ熱の下がらない星導を家まで運んだ。
小柳がベッドにそっと寝かせ、叢雲がおでこに冷えピタを貼ってあげていた。
伊波「薬の前に少し食べよ?何なら食べれそう?」
星導「何もたべたくないです、、。薬もあとで、。」
小柳「そんなこと言ってるから熱が下がらねぇんだろ。ほら、薬飲め。」
ぐいっと星導の上半身を起こすと、渋々薬を飲んだ。
飲み込んだ水でむせてしまい、派手に咳き込む。
星導「ゴホッコホ!ケホッケホッ!!」
少し驚いた顔をして、小柳が星導の背中をしばらくさすってあげた。
小柳「落ち着いたか?」
一気に体力を失った星導は、脱力して目も閉じてしまっている。
肩まで布団を掛けてあげると、小さな声で星導が囁いた。
「はい、、ありがとうございます、、、もう寝ます、、。」
伊波「起きたら少しは食べてね!色々用意しとくから。おやすみ!」
叢雲「ポカリ買ってきたるわ。」
2人は何を用意しておくか話し合いながら部屋を出ていった。
小柳も部屋を出ようとした時に、服の裾が何かに引っかかった。
振り返ると、星導が裾を掴んでいる。
本人は眠っているように見えるので、無意識に掴んだのか、、寝たフリして、心細くて掴んでいるのか、、。
小柳「しょうがねぇな。」
少し困ったように、でもどこか面白そうに笑った。
隣にある椅子に座って、腕を組んで目を閉じた。
座ったまま眠り込んでいると、誰かの苦しむ声が聞こえて目が覚めた。
星導「うぅ、、嫌だ、、、やめて、、」
隣を見ると、星導がうなされていた。
悪夢でも見ているのか、汗を浮かべて震えている。
小柳が肩を軽くゆすった。
小柳「おい、星導、一旦起きろ。」
耳元で声をかけるが起きる様子がない。
次は少し強めに肩をゆすってみた。
そこでパッと目を開けたが、引き攣るような浅い呼吸が口から漏れ出した。
小柳が星導の上半身を起こし、目を合わせた。
小柳「星導、こっち見てゆっくり息しろ。」
乱れた呼吸を落ち着かせようと、背中に手を添えてトントンと優しく叩く。
星導「、こや、、なぎ、く、、」
放心状態の星導は何か言葉を出そうとしたが、唇だけがハクハクと動くだけだった。
掠れた声でなんとか小柳くんと言えたが、それだけだった。
少しは落ち着いたかと思ったが、突然、星導の瞳からはポロポロと涙が落ちた。
やや驚いた表情の小柳は両手で、星導の両頬にそっと触れると、覗き込むように尋ねた。
小柳「どこか痛むのか?」
星導「、、ちがう、、、わからないです、、」
瞳は涙で潤んでいて、目が合ってるはずなのに、目が合わない。
頬をつたう涙を手で拭ってやると、星導は不安げに眉尻を下げてジッと見つめてくる。
今度はちゃんと目が合った。
星導「、、もう少し、、ここに、いてくれますか?、、」
震える小さな声。
その潤んだ瞳はオーロラのように美しくて、一瞬見惚れてしまった。
そんな自分がちょっと恥ずかしくなってしまった。
それを誤魔化すかのように、星導の頭をワシャワシャと撫でた。
小柳「ずっといてやるから、寝とけ。」
初めての風邪の高熱で、気持ちが不安定なのだろう。
頭もきっと回ってない。
星導のこんな姿、初めて見た。
なんとなく庇護欲をかきたてられて、安心させてやりたくて、星導の手を握ってやった。
すると、星導もギュッと握り返してきた。
ホッとしたような柔らかい表情になり、ゆっくりと瞼を閉じた。
その頃、
切ったリンゴを持った伊波と、ポカリを持った叢雲が、部屋に入るタイミングを見失っている。
実は少し前から立ち尽くしてこの状態。
寝ている可能性もあったので、ドアが少し開いていた隙間から覗いて、様子を伺ってた。
2人は互いにアイコンタクトで、一旦戻ろう、と示した。
伊波「なんだかんだ、仲良いよね、あの2人。」
叢雲「写真とか撮っとけばよかった。」
伊波「それ絶っ対に怒られるやつ。」
叢雲「まあ、ほんなら、僕もあとで手握ったるか。」
伊波「じゃあ俺も!」
普段は煽ったり小突きあってるけど、
結局みんなすごく仲間思い
それがディティカの空気感なんだ
コメント
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相変わらず最高です!毎回楽しく見させてもらっています!!素敵な作品ありがとうございます!!