テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
21,879
1,036
24
眩い光がスバルの身体を包み込む。
「――スバル!?」
真っ先に声を上げたのはエミリアだった。
伸ばした手は届かない。光は彼を飲み込み、その足元にはいつの間にか暗い穴が口を開けていた。
「待って!」
駆け出そうとしたエミリアを、パックが咄嗟に制する。
「危ない!」
次の瞬間、スバルの姿は穴の中へと吸い込まれていった。
「エミリアたん――!」
最後に聞こえた声も途中で途切れ、穴は閉じる。
静寂。
誰もすぐには現実を受け入れられなかった。
「……え?」
エミリアは呆然と立ち尽くす。
何が起きたのかわからない。
さっきまでそこにいたはずのスバルが、突然消えた。
「スバル……?」
返事はない。
その事実が理解できた瞬間、顔色が青ざめる。
「スバル! スバル!!」
呼びかけても、何も返ってこなかった。
「ラム」
ロズワールが目を細める。
「状況を整理しようか」
普段通りの口調だったが、その瞳には警戒があった。
「はい」
ラムもまた表情を険しくする。
あまりにも不可解な現象だった。
魔法か。
権能か。
あるいはそれ以外の何かなのか。
情報が少なすぎる。
「兄様……」
ベアトリスは小さく呟く。
いつもなら騒がしいほど喋る彼がいない。
その違和感が胸を締め付けた。
「何なのよ……あれ」
怒ったような声だった。
だが本当は不安だった。
誰よりも。
「今のは追跡できないの?」
ガーフィールが歯を剥く。
「無理だな」
オットーが首を振った。
「痕跡が完全に消えてます」
それが余計に不気味だった。
誘拐ならまだいい。
敵なら追える。
だが今の現象は、理解の範囲から外れている。
「スバル様……」
ペトラは震える声で呟く。
涙が溢れそうになる。
しかし必死に堪えた。
スバルはいつも帰ってくる。
どんな無茶をしても。
だから今回も――。
「きっと帰ってきますよね……?」
誰に向けたかわからない問いだった。
誰も答えられなかった。
そしてエミリアだけは、穴が消えた場所を見つめ続ける。
拳を強く握りしめながら。
「……帰ってきて」
その声は小さい。
けれど確かな願いだった。
「絶対に帰ってきて、スバル」
今は信じるしかなかった。
彼がまた笑いながら戻ってくることを。
コメント
1件
わあ…第12話、読み終えました。スバルが突然消えてしまうなんて、あまりにも衝撃的でしたね。エミリアが「待って!」と手を伸ばす場面、本当に切なかったです。光に飲み込まれて、穴に吸い込まれていく描写が鮮烈で、まるで自分もその場に立ち会っているような錯覚に陥りました。 特に心に残ったのは、その後訪れる静寂と、それぞれのキャラクターの反応です。ベアトリスが「兄様」と小さく呟くところ、ペトラが涙を堪えて「きっと帰ってきますよね…?」と問いかけるところ、どれも胸が締め付けられました。そして何より、エミリアが拳を握りしめて「絶対に帰ってきて、スバル」と願う姿に、彼女の強い意志と想いが感じられて、とても感動しました。 どんな状況でも信じ続けることの尊さを描いた、本当に素晴らしいエピソードでした。続きが待ち遠しいです!