※🦉🎻さんに死ネタあり。苦手様や地雷様は自衛お願いします。💦
いつも通り、キーボードをカタカタと叩いて報告書を作る。
そう、いつも通り。
セラ夫は今日は他の仕事に行っていて事務所には不在。
そういう時に限って依頼が多いのだ。
これが私の「普通」。
後の私はきっと知らないだろう。
いや、知る訳が無い。
ガチャ…チリンチリン。
ドアが開き、呼び鈴の音がする。
今日は事務所に人が来る予定など無かったが…。
そう思い入口を見ると奏斗とたらいが立っていた。
だが、いつもと様子が明らかに違う。
顔を強ばらせて真剣な目でこちらを見る奏斗。
青ざめながらもこちらを真っ直ぐ見るたらい。
📄「…どうしたんですか?」
📄「2人ともそんな顔して。」
しばらく2人はものを言わなかった。
奏斗がやっと口を開いたと思い、口にした言葉は_。
🍝🍷「アキラ、落ち着いて今から言うことを聞いて欲しい。」
これは何かあったなと勘づく。
ここで少し違和感を覚えたのはセラ夫が居ない事だ。
奏斗があの顔をしているのだ。
こういう時、必ずセラ夫もこの場に来るだろう。
だが、セラ夫からは何の連絡も無く、くる様子も無い。
いや、違う。
私は話を聞く前に事務所を飛び出し、スマホのGPSアプリを立ち上げる。
聞こえたのは遠くから奏斗とたらいが私を呼び止める声だけだった。
GPSが示したのはここから最寄りの病院だった。
受付でセラ夫の名前を発すると、何か勘づいたのか直ぐに他の人を呼び案内してくれた。
「その前に、心の準備は大丈夫でしょうか?」
医者は言う。
その時_。
🍝🍷「アキラッ!!!!!!!」
奏斗の声が冷たい院内の廊下に響き渡る。
2人とも息を荒げ、奏斗は医者に「僕から説明しておきます。ありがとうございました。」 と言い、軽く礼をする。
♦️☕️「…奏斗。」
🍝🍷「うん。」
🍝🍷「アキラ、落ち着いて。」
🍝🍷「…まぁ、落ち着けるはずがないか。」
軽く背中を押される。
多分、「見たら分かる」という事なのだろう。
………少しだけ、少しだけで良いから、心の準備をする時間が欲しい。
大きく吸って、吐いて。
意を決してドアノブを持つ。
ドアノブを下げて、前に押す。
ドアが開く。
📄「……ッ、セラ、夫?」
目の前には、顔部分に白い布がかけられ、横たわるセラ夫の姿が見えた。
時が止まった。
なんで?
セラ夫が死んだ?
なぜ?
どうしてセラ夫が。
本当に死んだのか?
フリをしているだけかも。
死んだなんて、そんな訳が無い。
どうして?
どうして?
頭の中がぐるぐるする。
気持ち悪い。
息が荒い。
苦しい。
🍝🍷「アキラ、大丈夫。」
🍝🍷「落ち着いて。」
♦️☕️「せやね。まずは落ち着こうな。」
背中に温かみを感じた。
2人が背中をさすってくれていたのだ。
♦️☕️「ほら、吸って…、吐いて。」
たらいの言葉通りに息を吸う。
そして、吐く。
しばらく深呼吸していたら、息の荒みは引いていった。
それから、セラ夫をじっと見て、病室から出た。
あぁ、本当に死んだんだ。
セラ夫は事故に巻き込まれた。
打ちどころが悪く、病院に搬送された時には心肺停止。
その2時間後に死亡したそうだ。
私は受け止める事も、受け止めない事も出来ないまま、数日を項垂れながら過ごした。
《後編に続く》
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