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ガーーー好きです(号泣)
「…………かいだァ!!」
春の匂いに鼻がなれた3月も終わりになっていく暖かい日。穏やかな雰囲気をぶち壊す荒々しい声が響いた。
「ふわさん!?なんすかぁ!???」
恋人のただことではない様子の声を聞きつけ洗面所にいる不破のもとへ甲斐田は急いだ。
「おまえ……!!言ったよな?見えるところに跡つけんなって」
不破の首元に咲くあかいあかい跡。グロテスクな愛は不破の首のいたるところに植えられていた。
顔を真っ赤にしてこちらを睨む目の前の恋人。
(あ、かわいい)
目に見える不機嫌さを前にしてまでここまで愛おしいと思える自分も末期だなぁとしみじみと感じる。
「ええ…?でも不破さんがつけてっていったんですよぉ?」
「いっとらん。ころ○ぞ」
「ふわさんアウトだよ!!!!」
「うるせぇわ。とにかくそんなこといっとらんしこれから見えるところにつけんな」
ぷんすか効果音がつきそうな様子で不破は支度を進めていった。パジャマを脱ぎタートルネックのスウェットに袖を通した。ぴしっとした雰囲気で露出の少ない衣類は不破の体のラインを際立たせるに十分だった。
「ふわさん……その服着るんすか???」
「あ?タートルネックの服これしかないんよ」
べつにお前が跡つけなければもっと服えらべたんやけどなと悪態をつかれる。
(怒らせちゃった?でも不破さんが跡つけてっていったのに…!)
せっかくかわいいことをいっていた恋人の姿がなかったことのように扱われていてなんだか癪に障った。
「…今日楽しみにしててくださいね?」
「なにいってんのよ」
明日歩けなくなることに気づかず不破は吞気に髪の毛のセットに勤しんでいた。
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「おま、なに盛ってるん!?!?」
帰ってきてまだスーツのままの着飾った恋人を押し倒す。状況を理解しておらず焦っている表情が可愛らしい。
「えー?朝のことわすれちゃったんですかぁ?」
「あえ…、?朝のこと??」
頭にはてなを浮かべているとふと思い出したかのように表情を変えた。
「甲斐田…楽しみにしててってこうゆうことやったんか…」
変態すぎるよ…と呆れた色を顔に乗せた。
「いやおれ疲れとるし…こんなことやったら社長んち行けばよかった…」
社長という言葉に甲斐田の表情が変わる。
「は?なんですかそれ?僕という恋人がいながら他の男の名前だすんですか?甲斐田怒りますよ???」
いわゆるメンヘラを出してくる甲斐田に少し不破は怯む。こいつの真顔は心底怖い。嫉妬深い性質を忘れていたのは盲点だった。
「不破さん酷いですよ…僕、不破さんがいなくなったら生きていけないの知ってるでしょう?もしかして甲斐田とのえっち気持ちよくないですか…???」
しゅん…と光の消えた目で訴えてくる。不破はその顔に弱かった。
「俺も甲斐田がいないといきていけんよ?あと、その…甲斐田とのそれは嫌なだけで満足してないとかじゃない」
「嫌なんですか…?なんで?痛かった?僕直しますよ悪いとこ全部」
「そうじゃないんよ!だからそのぉ…」
だんだんと赤くなっていく顔と合わない目線を見つめる。
「毎回気持ちよすぎてこわい……」
怖い?予想だにしていなかった言葉に驚いた。
「俺、シたときの記憶がほぼなくて、でも気持ちよかったってことだけはいつも体が覚えてて、毎回トんでるし自分が自分じゃなくなってるみたいで…、て甲斐田?」
ふと顔を上げると甲斐田の欲に満ちた瞳にとらわれる。いつも記憶がトびそうになる時によくする瞳。あ、喰われる。そう思った時には遅くネクタイが解かれていた。
「なにそれ…可愛すぎでしょ。僕も怖いです。不破さんがそんな可愛いこといっちゃうから僕もおかしくなっちゃいそう」
「かいだ、…?」
「大丈夫ですよ不破さん。記憶がトんでも。善がってる不破さん見せてあげるしトんでも何度でも起こしてあげるからね怖くなったら抱きしめるから。」
いつもの春色を閉じ込めたようなきれいな瞳はそこにはなかった。ただどす黒い欲と興奮を閉じこめたそんな瞳が不破を見つめていた。
続く
next R18?