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#ryop
ゆゆ@プロフお読み下さい。

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Yun
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2.嫉妬
大森と若井は、付き合って半年になる。
普段の二人は、かなり仲がいい。
一緒にいるのが当たり前で、帰るときも自然と隣を歩く。
若井は大森に甘いし、大森もなんだかんだ若井に甘えている。
……ただ一つだけ。
大森は、若井が誰にでも優しいところが少し苦手だった。
「……なんか、つまんない」
その日も大森はソファに寝転びながら、少し離れたところにいる若井を見ていた。
若井は誰にでも優しい。
話しかけられれば笑うし、頼まれれば手伝う。
もちろん、大森にも優しい。
でも最近。
「……僕ばっかり、若井のこと気にしてるみたい」
ぽつり。
若井には聞こえていない。
大森はクッションに顔を埋めた。
本当は聞けばいい。
「僕のこと、好き?」
それだけでいい。
でも、そんなことを素直に聞くのは恥ずかしい。
だから。
「……ちょっとくらい、嫉妬させてみようかな」
小さく笑った。
ほんの少し。
若井が「誰といるの?」って聞いてくれるくらいでいい。
そう思っていた。
翌日。
若井が誰かと楽しそうに話している。
大森はわざと、その近くを通った。
「若井」
「ん?」
「今日、友達と遊びに行く」
「そうなんだ」
「男の子と」
「うん」
若井は普通に笑っている。
大森は一瞬固まった。
「……二人で」
「楽しんできなよ」
「……」
反応、なし。
(……え、なんで?)
大森は少しむっとした。
「……つまんない」
「何が?」
「なんでもない」
その場を離れようとしたとき。
「元貴」
「ん?」
「帰り、遅くなる?」
「……たぶん」
「そっか」
それだけ。
なのに大森は、なぜか少し嬉しくなった。
気にしてくれてる?
そう思った。
だから、もう少しだけ。
その日の帰り道。
「ねえ、若井」
「ん?」
「僕、今度あの子と二人で出かけるから」
「……」
若井の足が一瞬だけ止まった。
「いいんじゃない?」
そう言って、また歩き出す。
「……止めないの?」
「なんで?」
「……別に」
大森は隣を歩く。
若井は何も言わない。
ただ、さっきまで少し離れていた距離が、いつの間にか近くなっていた。
「……若井?」
「何?」
「近くない?」
「そう?」
「うん」
「じゃあ、気のせい」
「……変なの」
大森は笑った。
でも、まだ足りない。
もっと。
もう少しだけ。
「若井より、その子のほうが一緒にいて楽しいかも」
言った瞬間。
若井が止まった。
「……そう」
「……え」
「じゃあ、そうすれば?」
声が、明らかに冷たかった。
「俺には関係ないから」
若井は先に歩き出した。
「……待って」
大森は慌てて追いかける。
「若井」
返事がない。
「ねえ」
「……」
「怒った?」
「怒ってない」
「嘘」
「じゃあ、怒った」
若井は振り返った。
「人を試すようなこと、やめて」
「……」
大森は言葉を失った。
胸の奥が、ずんと重くなる。
さっきまで、自分から仕掛けていたはずなのに。
今はもう、怖かった。
「……ごめん」
若井は黙ったまま。
「……あの」
「何?」
「僕……」
言葉が出てこない。
「……ごめん」
もう一度、小さく言う。
若井は少し目を伏せた。
「今日はもう帰ろう」
「……うん」
二人は歩き出した。
でも、いつもと違った。
若井が少し前を歩いている。
いつもなら自然と隣にいるのに。
その距離が、妙に遠い。
「……若井」
「ん?」
「……なんでもない」
大森は袖を握った。
しばらく歩く。
「……まだ怒ってる?」
「少し」
「……そっか」
大森は無理に笑った。
「じゃあ……仕方ないね」
笑ったつもりだった。
けれど、声は震えていた。
若井は何も言わない。
大森は俯いた。
目の奥が熱い。
(泣くな)
何度も瞬きをする。
「……泣くな、俺」
小さく呟く。
「自分でやったんだから……」
袖で目元を擦る。
大丈夫。
もう少し。
家まで行けば、きっと平気。
そう思っていた。
でも。
若井が一歩だけ離れた。
それだけだった。
たったそれだけなのに、胸がぎゅっと締めつけられる。
「……」
大森は唇を噛んだ。
目を逸らす。
「……大丈夫」
もう一度、袖で目元を拭う。
「大丈夫だから……」
声が震えた。
ぽろ。
一粒、涙が落ちる。
「……」
大森は慌てて拭った。
「今のは……違う」
もう一粒。
「……やだ」
鼻の奥がつんとする。
何度も瞬きをする。
でも、もう止まらなかった。
「……ごめん」
小さく呟く。
「ごめん……若井」
若井が足を止めた。
「元貴?」
「……っ」
見られた。
大森は咄嗟に顔を背ける。
「見ないで……」
「なんで?」
「……泣いてるから」
「うん」
「……かっこ悪いから」
若井は何も言わず、大森の前に立った。
「顔、見せて」
「やぁ……」
「元貴」
「……やだ」
声が震える。
「今、変な顔してる……」
「それでもいい」
その言葉に、とうとう耐えられなくなった。
「ごぇ……」
声が詰まる。
涙が一気に溢れる。
「ごめんなさい……っ」
大森は顔を隠した。
「ごめん……ごめぇん……」
肩が小さく震える。
「俺……ほんとは……」
息がうまくできない。
「若井に……嫉妬してほしかっただけなの……」
「……うん」
「僕のこと……ちゃんと好きなのかなって……」
涙を拭っても止まらない。
「だから……わざと……」
「うん」
「ごめんなさい……っ」
「もういいよ」
「よくない……!」
大森は泣きながら首を振った。
「若井、嫌だったでしょ……」
「……うん」
「……っ」
また涙が溢れる。
「でも」
若井は少しだけ黙ったあと、大森の手首をそっと掴んだ。
顔を隠していた手を、ゆっくり下ろさせる。
「……俺だって、嫌だった」
「……」
「元貴が他の誰かといるところ、想像しただけで嫌だった」
大森が目を丸くする。
若井はそれ以上説明しなかった。
ただ、泣いている大森の隣に戻る。
今度は離れない。
「……じゃあ」
大森が鼻をすすりながら聞く。
「……嫉妬してた?」
若井は答えない。
代わりに、大森の袖をつまんだ。
「……帰るよ」
「……うん」
歩き出す。
大森が少し離れようとすると、若井も同じだけ近づく。
また離れようとすると、今度は袖を掴まれた。
「……若井?」
「今日は離れないで」
「……」
「嫌?」
大森は首を横に振った。
「……嫌じゃない」
「じゃあ、そのまま」
「……うん」
少し歩いてから。
「……若井」
「ん?」
「……もう怒ってない?」
「まだちょっとだけ」
「……ごめん」
「でも」
若井は大森を見る。
「もう一人で不安にならないで」
「……うん」
「寂しかったら言って」
「……うん」
「甘えたかったら?」
大森は少し恥ずかしそうに、若井の袖を握る。
「……甘える」
「よし」
「……あと」
「ん?」
大森は俯いた。
「……今日はいっぱい優しくして」
若井が少し笑う。
「最初からそのつもり」
「……ほんと?」
「ほんと」
大森は泣き腫らした目で、少しだけ笑った。
「……よかったぁ」
若井は何も言わず、大森の隣を歩く。
今度は、離れない。
大森も、もう試す必要はなかった。
自分から袖を握って、そのまま隣を歩いた。
コメント
1件
ぽゅさん、最新話読みました!😭💕 もうね、大森くんの気持ちが痛いほどわかって胸がギュッてなったよ…「僕ばっかり気にしてるみたい」って呟くところから、試すようなことしちゃうの、本当に愛おしい不器用さだよね💦 でも若井くんが「嫌だった」って認めて、袖つまんで離れないところがもうズルすぎるでしょ!最後に「今日はいっぱい優しくして」って素直に甘えられるようになったの、成長だなぁって感動したよ🌸 次回も楽しみにしてます!