テラーノベル
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・黄水
・R18
・記憶喪失要素
・微:黄紫
※水さんクズ
👑「…ぁ、あのさ…っ」
向かいに座ってただひたすらにオレンジジュースに浮かぶ氷をころころとストローで追い掛けていたみこちゃん。
その手を止めて、照れ臭そうにこさめの顔を覗き込んで重たい口を開いた。
👑「もうすぐまにきとの記念日なんやけど、なにかあげたいと思っててさ!」
👑「アクセサリーいいかなとも思ったんやけど、よく考えたら重いかなって思って…」
段々声が萎んで聴き取りにくくなっていくみこちゃんの声。
『えっと』『だから』『その…』とみこちゃんの口から紡がれていく頼りない接続詞から透けて見える羞恥が可愛くて、こさめは笑って応えてみる。
🦈「んで、何をあげたらいいかわからないから助けてって?笑」
👑「ぅえ!?なんでわかるんっ…!//」
🦈「いや、わかりやすすぎ!w」
グラスを握っていた手が、火傷を覆ったときに「あちっ」と反射で引くときのようにみこちゃんはビクッと跳ねた。
同時に、色白で元々わかりやすかった頬は赤色にぼんやりと染まっていく。
👑「うぅ…こさめちゃんは同類やと思っててんけどな、」
🦈「本気でそう思ってんならこさめに相談するの絶対違うやろ」
👑「ぅみんな忙しかったの!!」
漫画とかでよく見かけるぷくーっという効果音がきこえるような程に、みこちゃんはほっぺを膨らます。
🦈「なんやそのまるでこさめが暇みたいな言い方!」
🦈「はー、やだやだ……」
👑「ちがっ、そういうことじゃ…!w」
けらけらと笑いながら机を控えめに叩くみこちゃんは差し置いて、いつもの緩いテンションみたいに段々と脱線していくのを方向修正しようと思い喉を大きく鳴らす。
🦈「ん!で、プレゼントなにがいいかだっけ~?」
👑「ぅあ、そう!それ話すために誘ったんよ!」
🦈「バカやな」
なんですと、と言わんばかりに目と口を大きく開くみこちゃんに平謝りしてスマホを取りだし、とある単語を検索にかけた。
🦈「例えば~、こういうのとか!」
👑「コンパクトミラー…?」
控えめな光沢を見せるシルバー風の外観の小さな鏡の写真を見せた。
そこそこ知名度の高いブランド物だけど手が出しやすい値段で、いい塩梅の。
🦈「小さい鏡でも十分に身嗜みのチェックとかで使えるし、ふとしたときに結構使えるんよね~」
👑「ほぉ…!」
なんで鏡?と訊きたげに目を丸くさせていたみこちゃんの顔が、みるみるうちに明るくなっていく。
🦈「特にまにきって髪とか服気にするタイプだし、丁度いいかなって思って!」
🦈「小さいのだと持ち運びしやすいしね~」
👑「おぉっ!」
理由を付け加えていくと同時に、黄金色の瞳の中に微笑みがまたひとつ増えていく。
オレンジジュースに浮かぶ氷も同意するように、カランと涼し気な音を鳴らした。
🦈「あと、頻繁に使う物だと取り出したときにみこちゃんのことも同時に思い出すかなーって!」
👑「おおおぉっ!!めぇっちゃいい!」
🦈「ちょっ、ここお店…静かに!」
はっと冷静を取り戻したみこちゃんは少し丸まって申し訳なさそうに眉を下げる。
それでもまた直ぐに上がる眉が微笑ましくて、こさめも静かにしてと体現していた人差し指をそっと下ろした。
👑「おれ、プレゼント鏡にする!」
🦈「こさめってば名案だろ~!?」
👑「………今日だけ認める」
🦈「何故上から目線。」
ふたりでクスクスと笑いあって、こさめは自分のグラスに手を添えて中の飲み物を軽く揺らした。
───なんでか、まにきに振られた。
楽しくカフェで作戦会議をしていた数日後、そんな悲痛な一通のメールがこさめの光る板に飛び交った。
指先の音が響くこの部屋で、こさめの口角が歪に上がったことを自覚した。
『一旦こさめの家来てよ』
端的なお誘いのメッセージにただ既読がついたまま、ずっと返事は来ない。
👑「っ、こさめちゃん…」
今にも泣きそうな顔をしながら駆け込むようにやって来た訪問者。
肩で苦しそうに息をしているのは最愛の人に振られたからなのか、それとも走ってここまでやってきたからなのか。
🦈「…振られたって、どういうこと?」
👑「わからへん、っ…急に、言われて…」
👑「プレゼントもケーキもちゃんと忘れず用意したんに、なんでっ……」
失意、絶望、自棄、捨鉢?
どの二文字にすらもあてはまらないほど、目に映るみこちゃんはそれ以上に酷く見えた。
🦈「プレゼントって何あげたの?」
👑「ぇ、こさめちゃんと前話した通り鏡プレゼントして……」
呆然としたように、何も分かっていないようにただ立ち尽くすみこちゃん。
🦈「…っんふ、ふ…っあははw」
🦈「みこちゃんってば鏡、ほんとにプレゼントしたんだ?w」
👑「ぇ、……」
そんな姿が滑稽で、馬鹿らしくて、やっぱり期待を裏切らない本物の天然で、愛おしくて、可愛くて、可哀想で、醜くて。
色んな彼への感情が溢れ出て自然とこさめから笑いが込み上げる。
👑「こさめ、ちゃ……?」
ここまで来てもまだみこちゃんは何も理解してないみたいに、目を丸くしてこさめを見詰める。
嗚呼、本当にいいカモだな。
🦈「っあは、ごめんつい…w」
🦈「…みこちゃんってばかわいいね」
かわいいという褒め言葉を並べた瞬間、みこちゃんは嬉しくないと言わんばかりに顔を酷く曇らせた。
かわいいって言葉もこさめじゃなくてまにきからが良かったとか、かな。そんなところも一途でかわいいなぁほんと。
👑「っ、どういう……」
🦈「…いいこと教えてあげよっか」
否定とも肯定とも捉えられるように、みこちゃんは曖昧に首を宙に振った。
🦈「プレゼントに鏡はあげちゃいけないって知ってる?」
👑「えっ…」
鏡は落とすと割れてひびが入っちゃうから、仲が悪くなるという意味で縁起が悪いって言われてるんだってさ。
…ってこと、知らなかったんだよね。
🦈「いや~、なんかごめんね?別れさせたいとかは思ってなかったんだよ?別に」
🦈「ただちょっと茶々入れてみただけ」
👑「…っ、……」
意味がわからない、と言いたげにみこちゃんは口をはくはくと開閉させる。
みこちゃんってば優しいから問い詰めることもできないのかな、なんて。
🦈「…まぁ、おわっちゃったことは仕方ないし次のステップ進も~?」
立ち尽くすみこちゃんに背を向けて、こさめはリビングのソファ足を歩ませる。
これ以上にいいリアクションはきっともう出てこないだろうし、こさめも立っているのは疲れた。
👑「…っふざけないで」
刹那、こさめの視界に広がるフローリングに大きな黒い影が現れた。
びっくりして振り返った瞬間、険しく眉を釣り上がらせて明らかに不服そうなみこちゃんの顔がこさめの口を奪っていった。
👑「まにき、…っなぁ、まに、き…♡」
👑「別れたいなんて嘘よね、っ…?♡」
🦈「っあ、゙~~~…!?♡♡」
知らない、知らないよ。
過剰なショックで直近の記憶だけが抜け落ちるなんて漫画でもそう見たことない。
ましてや、人物像を誤って認識したままなんて聞いたことない。
👑「まにき、っ、……♡」
🦈「っちが、…こさめは…っ、♡」
🦈「ぁ゙、っ…ぉく、…!?//(涙目)」
みこちゃんとまにきが付き合っているのは聞いてても、みこちゃんが上だなんてことも知らなかったし。
初の処女を数分前に奪われたこさめがどう逃げるかなんてこと知る由もないし。
🦈「いるまくんじゃな、っ…♡」
👑「ん…そうね、気持ちいね…?♡」
🦈「ぉ、…ッ゙、かは、っ゙…?♡♡」
みこちゃんに襲われいる理由もなんだかわからなくなってきて。
なんでこんなに頭ビリビリするんだろうってこともわからなくなってきて。
🦈「く、っ~~~~゙…?♥♥」
🦈「っう、゙ぁ…っ、…/♡」
なんでお腹の奥がこんなに痛いの、なんで呼吸がこんなにも苦しいの。
お腹の中でどろりと動くこの液体はなんなの、気持ち悪いよ。
またお腹の奥が気味悪く蠢く。
👑「っ、ここ好きなんだ、…?♡」
👑「かぁわいい…♡」
みこちゃんがいつものみこちゃんじゃない。瞳の奥が笑ってない。
どうしてこんなに怒ってるの、なんでこんなに激しいの。
どうしてこさめの名前を呼んでくれないの。
🦈「んにゃ、…っ…や、゙っ…ね、ちがぅ、あ゙っ…!?♡♡」
🦈「ぁ、あ…゙っ、~~~…♡♡」
いたい、やめてよ。みこちゃんの恋人はこさめじゃないのに。
こさめのことなんてただのメンバーとしか思ってないくせに。
👑「まにき、…まにき…っ、♥」
👑「っ、出る、…/♡」
🦈「ぁえ、っ…だ、だめ、…っ、♡」
こさめはまにきなんかじゃないよ。
こさめは、こさめなのに。
みこちゃんが呼ぶその名前はこさめじゃないのに。
👑「…ゃば、~~~っ…゙♡」
🦈「ッ、~~~~~…゙っ、…!?!♡♡」
───みこちゃんは今、誰を見てるの?
コメント
8件
最高✨✨ 黄ちゃんを騙すクズ水ちゃんも騙される黄ちゃんも関係が好きすぎたんご んでそこから黄水になるのもあいらぶゆーだす💖
んふふふヘヘヘヘ見事に癖にぶっ刺さりましたよと🫣🩷 プレゼントに鏡を渡したらいけない理由を知っておきながら黄ちゃんに勧める水ちゃん相当な屑で好きです😻✨紫くんと間違えて水ちゃんのこと襲っちゃう黄ちゃんとされるがままの水ちゃんがとてつもなくかわいいんですよな🙄💖 黄水ほんとにすきすぎるありがとうございます💛🩵