2025年12月23日_
涼架 side …
晴れた空。冷たい風が頬を撫でる。太陽が出てると言うのに、冬というものは寒いものだ。
今、僕は若井の墓参りへと向かっている。本当は元貴と一緒に行きたいななんて考えていたが、元貴は別で予定があったらしい。
「…若井も元貴がいた方が喜んだのにな」
つい向かっていた足が遅くなる。そんなこと考えてももう遅い。あの時、無理にでも元貴連れてこれば良かったかも。僕はブンブンと頭を左右に振って、頭を切り替える。
「…早く行こ!」
僕は走って墓参りへと向かった。
「着いた…!」
街中とは違ってどこか落ち着いた雰囲気に、少しだけ暖かさを感じた。休日だがあまり人は多くなかった。僕は細い通路を身を縮めて突き進んだ。
「若井!」
若井の墓の前にたどり着き、優しく若井の墓石に触れる。墓石はツルツルとしていて、ひんやりとしていた。
若井はいつも明るくて暖かかった。元貴と僕は冬になると、毎日若井をカイロのように使っていた。スタジオではソファに座る時必ず若井を真ん中にして座り、若井に引っ付いて暖をとっていた。
「…若井が居ないと冬は寒いよ」
小さく呟くと、白い吐息がふわっと空へと昇っていく。
「あ、そうだ!若井にいい物買ってきたんだ!」
僕は持ってきたコンビニ袋から”ある物”を取り出した。それは元貴が表紙を飾った雑誌だ。
「…若井、元貴のこと大好きでしょ?笑」
若井は元貴のことが好きだった。それを知ったのはミセスを結成してすぐの事だった。僕にその事を伝える時の若井は、まるで”俺が元貴のこと好きだから取るなよ”というような鋭い目つきで伝えてきた。だが、僕が応援してると伝えてから若井は一変した。
それからというもの、よく2人だけで喫茶店などに行き若井の恋バナを聞いたり、悩みを聞いたりとまるで女子みたいなことばっかしてた。この事はもちろん元貴には絶対言わないし、絶対言えない。だって若井が墓場まで持ってくって言ってた事だもん。
「…若井、今でも元貴のこと好きでしょ?」
若井の墓石に向かって問いかける。もちろん答えなんて聞こえてくるはずがない。それでも僕には『好きだよ』という若井からの答えが聞こえてきた。
「…きっと元貴も、若井のことが大好きだよ。」
若井が死んだあの日から、元貴は変わった。あまり笑わなくなり、次第には痩せた気がする。今でも元貴は時々寂しそうな苦しそうな目をする時がある。
「若井も元貴も、ちゃんと気持ち伝えなきゃダメだよ、」
もしも若井が死ぬ前に元貴に思いを伝えられていたら。もしも元貴が若井が死ぬ前に思いを伝えられていたら、何か変わっていたのかもしれない。そう思うと胸の奥がチクチクと小さな針で刺されたような感覚がする。
「…いつか絶対、好きだよって伝えなよ。元貴、絶対喜ぶからさ」
僕が大好きな2人には幸せになって欲しかったな。
ねぇ神様。もしも来世があると言うなら、僕はいいから、絶対に2人を幸せにしてあげて。
冷たい風が吹くと、花筒に入れられたライラックの花がふわりと揺れ、1枚の花びらがヒラヒラと舞っていった。
番外編、ありがとうございました!!
実はこのお話で涼ちゃんは結構
重要人物なんですよね…!
そもそも、涼ちゃんが居なかったら
元貴くんはどうなってたことやら…😨
涼ちゃんがお墓参りをしている時、
元貴くんは兵庫に向かっている途中か
兵庫に着いた時ぐらいですかね!
もう時間とか色々とぐちゃぐちゃです…💦
とにかく、ここまで読んで頂き
本当にありがとうございました!!!
そして!次回作についてなんですけど、
次回作は暗い夜のお話です😏🖤
題名は「溺」になります!!
あと「溺」は
センシティブなお話になります⚠️
苦手な方、すみません🙏🏻💧
明日から更新予定なので、
楽しみにしてもらえると
嬉しいです!!
では!また次のお話で^^
コメント
2件
またまた大号泣です(泣) もうホント神ですね 次の作品も楽しみにしてます!