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【side:ジュリ】
クリスマスになると働いているお店のイベントと重なる事もあって、その前にツキと久しぶりにデートをする約束をした。私が呼ぶとツキはかなり優先してくれる。でもここ最近、顔色が悪い事や、会ってもエッチが出来ない事もあった。今までそんな事無かったのに。ツキに何か起きてる…?
ポツリポツリと話してくれる内容としては今あまり体調が良く無い事。事情があって、違う人を優先しなくてはいけない事だった。
このセフレという関係の中で知ったツキの事。2人の約束。ツキは眠る為に私を使う。私も寂しさを埋める為にツキを使っている。そして私以外にもツキには寝る相手がいる。独占出来なくてもセフレには嫉妬しない。清廉潔白に好きな相手を想い続けるのは辛い。その寂しさをツキという人が解消してくれている。
友達以上、恋人未満のようなセフレ関係。
ツキと身体の関係はあるけれど、私の本命は違う。
好きな相手はお客さんだ。彼は1ヵ月に数回しか来ない。そして左手の薬指には指輪をしている…。
枕は誰ともしていない。むしろ私は可愛いのでもとよりする必要が無い。水商売であってもそこら辺の男達よりは確実に稼いでいる仕事へのプライドもある。それにツキが傍に居てくれるから。
私達はセフレであり協力者同士。バーで、ツキに猛アタックしたあの日から、ツキをとても大切な存在に感じている。全く乗り気じゃなかったツキを無理やりセフレにした負目も始めは正直あった。でも彼と関係を持つに連れて私の我儘を受け入れてくれた綺麗で寂しい生き物を甘やかしてあげたい気持ちになった。
『ツキ、大好きだよ。どんな貴方にも、ずっと、ずーっと好きを伝えるよ。』
◆◆◆◆
待ち合わせ場所へ着くと、私がコーディネートした綺麗めカジュアルな服装でスマホをいじりながらツキが立っていた。
『あ、ゲームしてる。』
ヒマさえあればゲームをしているのでわかってしまう。チラチラ通り過ぎる人達に見られているのも全く気にする様子も無く、パズルゲームに夢中になっている。
今日の髪型は一本結びなのね…。
普通の一本結びの襟足すら愛しい。
普段のバーの制服姿はカチッとスタイルなのにピアスは派手カッコ良い。でも外で会う時は私に合わせてシンプルな物を付けてくれる。
『遠くからでも分かるこの可愛いさ!さすが私のツキ♡』
「ツーキ、お待たせ♡」外で会える事が嬉しくてはしゃいでしまう。
「うん。おはよ。今日はどこ行きたいの?」今日は顔色も良い。ここ最近、ツキはちゃんと質問をしてくれる様になった。今までは殆ど無かったのに。少しの事でもツキの変化が嬉しい。
「今月はクリスマスだし、今日はお買い物デートをしまぁーす♡クリスマス本番はイベントで忙しくなっちゃうから、その前に1日お休みもらったの!」
「わかった。ジュリの好きなとこ行こ。」
『普段はボーっとしているのに、私の事考えてくれるツキ好き!!』ツキと手を繋ぎ、ウキウキしながら目的のお店へ向かった。
・・・・
「ねぇ、これどう?」ツキへ洋服を見せても「可愛い。」としか言わない。前一緒に買い物に来た時と同じ反応だ。やっぱり失敗。確かに自分に似合う物しか『どう?』とは聞いていないけど…。どうにかツキの興味を引きたい。
!!!!思い付いた!
「ねぇねぇ、何かお揃いのやつ買おう!」
「…うん。いいよ。」
「やったぁー!お揃いってまだ無いもんね!」
「?そうだね。」
「えーーーーっと…。あっ!パジャマとかどう??一緒にいる時用♡」
「じゃあ、そうしよ。」ツキはふわふわサラサラの手触りが好きだ。なので好みの肌触りは知っている。
ツキが気持ち良く眠れる様に毛布はふわサラで揃えてあるくらいだった。
途中カフェに寄ってランチ休憩。ツキと一緒にサンドイッチを食べる。「ジュリ、口の横に付いてるよ。」紙フキンで拭いてくれた。
「ありがとう♡ツキ、お兄ちゃんみたい。」
「ふふ、僕の方がだいぶ歳上だから確かにお兄ちゃんだね。」
「あー美味しかった♡次に行こー!」
手を繋ぎながらブランドショップへ入った。
店内で目についたのは最新のふわサラなルームカーディガンだった。丁度ネイビーとベージュとグレージュ、ピンクのカラー展開がされている。
ツキがこれを着ている姿を想像してキュンとした。
「ツキ!これ!どう?!」
「あ、気持ち良い…。」両手でなでなでしている。
『あ、これ気に入ったやつだわ。』
「これにしたい!」
「そうしよ。」やはり即決だった。購入したのはツキがネイビーで、私がピンク。
「帰ったら一緒に着てみたい!」
「うん。」プレゼントはツキが買ってくれた。
「お兄ちゃんからのいつものお礼。」そう言って笑っていた。
・・・・
部屋に帰り、買ったばかりのカーディガンを一緒に着てみる。
「お揃いー♡嬉しー♡」そう言いながらツキに抱き付くと「そうだね。」と微笑んでくれた。
「次は一緒に着ようね。私は毎日着るけど!」
「うん。」
『ツキ、大好き。』
「イベント終わるまでツキに会えない…。でもお客さんもたくさん来てくれるから寂しいけど頑張るね!稼ぐぞぉーーー!!!」
「僕もバーでイベントだよ。頑張るね。」
ツキは、抱きついたままで気合いを入れている私の頭をポンポンと、撫でてくれた。いつも疲れた顔をしているツキが今日はたくさん笑ってくれている。
それだけで最高のクリスマスプレゼントだった。
ツキと抱き合う特別な時間。
いつまでも笑っていて欲しいと思った夜だった。
・・・・
「ツキぃーまたねー。」
「またね。」そう言って今日も別れた。
『ありがと。』
「さぁ、お仕事、お仕事!」そう自分を鼓舞して有限の時間を楽しみに来るお客様の為に、いつもの可愛いジュリに変身する。