テラーノベル
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主の実話を込めた。恋愛の話。
建前→主は同棲恋愛者です。
代理
潔→自分
凛→友達(主が恋心を抱いてる人)
『夏祭り』
夜空に、花火が咲いた。
人混みの中で、潔世一は何度も隣を確認していた。
ちゃんと、隣にいる。浴衣姿の糸師凛が、いつも通り少し無愛想な顔で歩いている。
「人、多いね」
「まぁ、祭りだし。仕方ない。」
それだけの会話なのに、胸の奥がうるさかった。
屋台の明かりが揺れるたび、凛の横顔が違って見える。
焼きそば、たこ焼き、かき氷。適当に買って、二人で分け合った。
でも――
「……これ、美味いな」
凛がそう言ったのは、赤く光るりんご飴だった。
「あ、それ凛の好きなやつだろ?」
「まぁな」
ほんの少しだけ、口元が緩む。
その瞬間、世一の中で何かが決定的に傾いた。
――ああ、やっぱり好きだ。
花火が大きく打ち上がる。
ドン、と遅れて音が落ちてくる。
その音に紛れれば、言えるかもしれない。
…そう思ったのに、結局何も言えないまま、ただ時間だけが過ぎていった。
「そろそろ帰るか」
そう言い、凛が先に歩き出す。
背中は、いつもより少し遠く見えた。
――このままじゃ、終わる。
「凛!」
思わず声が出た。
凛が振り返る。
少しだけ不思議そうな顔。
世一は一歩近づいて、喉の奥に詰まっていた言葉を、無理やり引きずり出した。
「……言いたいことがある」
一瞬、風が止まった気がした。
屋台の音も、人の声も、全部遠くなる。
「俺、凛のこと――」
言葉にした瞬間、もう戻れないと分かった。
「好きだ。」
花火が、また空に広がる。
けれど今度は、その音さえ聞こえなかった。
凛は固まったまま 何も言わない。
ただ、少しだけ目を見開いて、世一を見ている。
戸惑い。
驚き。
それから――何かを考えている顔。
「……」
沈黙が落ちる。
一秒が、やけに長い。
世一は目を逸らせなかった。
逃げたら、この瞬間ごと消えてしまいそうで。
やがて凛は、視線をわずかに外して、何かを言いかけて――やめた。
「……」
結局、返事はなかった。
夜風だけが、二人の間を通り抜ける。
けれどそれでも、世一は思った。
――言えてよかった、と。
「…。」
どんな答えでも、この気持ちは本物だったから。
遠くで、最後の花火が上がる。
その光の下で、二人の関係は、まだ名前のつかないまま――静かに揺れていた。
終わり。
少し盛ってますが、告白して、返事がなかったのは事実です。顔がまじ暑かった…。
それとね悲しかった。断られたわけじゃないけど、「答えがない」ってのが1番、辛かったな。今でも引きずってるよ…笑。
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