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みー
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詩
この作品に政治的意図はございません。
誤字脱字等ございましたら教えてください。
中日です。
『__再见小猫。』
目を閉じれば、時折思い出す。
柔らかな口元に落ち着いた低音。
砂のように指の隙間から消えていく姿。
悔しくて、何度手を伸ばしても届かなかった。
私はただ記憶の中で立ち尽くす他なかった。
だけど、それでも
また貴方に会えたら__
さんざめくような夏蝉の合唱が私の耳を突いた
辞令が出て一週間。
ふと、気がつくと故郷の駅前にいた。
乾いた道路の先に陽炎が悠々と揺れている。砂利を弾くたび、照り返しが足裏をじくじくと焼く。コンビニで買った菓子パンを片手に、実家への道を歩く。鼻を突き抜ける青草の匂いが心地良い。
もう優しかった近所のおばさんも、哀愁漂う背中を見せた祖父もいない。
そんな静かな故郷はどこか懐かしくて、どこか寂しかった。
故郷の大通りを抜け、静かな小道に入る。
私はポケットから実家の鍵を取り出した。
鍵は少し渋く、力を込める。
玄関の隅に生い茂る草木が鼻を掠める。
固い戸を両手で押し開ける。手の肉が木の縁に食い込んで思わず顔が歪んだ。
シャツの襟首をぱたぱたと扇がせながら、サンダルを脱ぎ捨てた。
ひりひりと痛んだ足の裏には丁度良かった。
重みで床が軋む度、そこだけ止まっていた時間が再び動き出すようだった。
「…小猫」
あと数歩というところで、声がかかった。
聞き間違えるはずがない。
あの人だ。
記憶の中で何度も聞いた声。
私は迷いなく振り返った。
開けっぱなしの戸にすらりと立っていた。
濡羽色のチャイナ服を身に纏い薄ら笑みを浮かべる姿はそこだけ時間が切り取られたように静かだった。蝉時雨の突くような合唱も不意に遠くなった。
「会いたかった。」
一歩、また一歩と。
確実にまた私の元へ近づいて来る。
止まっていた古時計がまた動き出すようなそんな錯覚を覚える。
「ずっと、待ってた。ずっと。」
発音も、文法も少しだけ変。
だけど私を見るあの人の目の奥は黒曜石のように深く、暗く煌めいていた。
蝉時雨が遠くで鳴き始めていた。
コメント
1件
読ませていただきました。第1話、とても印象的でした。 「再见小猫」というフレーズから始まる、過去と現在の交錯。懐かしい故郷の風景と、蝉時雨の騒々しさの中にぽっかりと浮かび上がる、あの人の静けさ。濡羽色のチャイナ服、薄ら笑み、黒曜石のような瞳——その一瞬で時間が変わった感覚が、とても美しかったです。 ずっと待っていた、という言葉。これからどうなるんだろう。続きが気になります。素敵な作品をありがとうございます🌷