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紫色でサラサラの髪の毛が好き。翡翠色の宝石よりは控えめなのに澄んだ瞳が好き。可愛い高校生らしい笑い声が好き。好きというと熟れた林檎のように真っ赤になるところが好き。
刀也さんの全部が好き。
俺、伏見ガクは世界でいちばんかわいい恋人がいます。
そんな可愛い恋人が今日は拗ねています。ちゃんと話したいのにずっとだんまりでそろそろ俺の心がへし折れそうです。
「とぉやさ〜ん、、何かしちゃいました、、?ちゃんと言ってくださいよぉ、、」
「ガクくんなんか知りません答えることもありません。」
「えぇ〜、、、」
ずっとこんな感じで、そっぽを向いたままこちらを1度も見てくれない。でも後ろから見てもむくれているのが分かって、きゅんとしてしまう。
本当に何を俺はしでかしてしまったのだろう。検討もつかない。
なにかあるとしたら、この間友人が置いていったDVDと本くらい?
あのDVDも本も友人のものだからと手をつけていなかった。
特に隠さなくてもいいだろうと自室の机の上に置いておいたのだが。
首を捻るがそれくらいしかなくて、機嫌直しのためにも特性のココアを作ろうとキッチンへ向かおうと、立ち上がると腕を掴まれた。瞳は薄く膜を張っていて、歪んでいた。
「刀也さん、?」
「ガクくんは黒髪の美人な人が好きなんですか。僕みたいな可愛げもない男じゃなくて。」
「ハイ!?」
黒髪の美人!?誰!?
その前に、可愛げのない?
いやいや可愛げありまくりだろうと突っ込みたくなるが多分それは逆効果だ。
女の人と付き合ったことがほぼほぼ無いためわからないが、それくらいはわかる。1度鏡を見てからその発言をして欲しい。
可愛げに溢れすぎている。
黒髪?美人?そんな女の人大学に指折りでしかいないし、なんなら俺は女の人と喋らないから友達にもいない。美人なら尚更。
刀也さんと友人以外に俺は興味が無いので意識したこと無かった。
そもそも刀也さん以外どうでもいいのだ。
だとしても、その女の人というワードに引っかかる。女の人と最近交流した覚えもないが、、と考えたところはた、と考えが浮かぶ。
AVはDVD派
基本本を読まない友人
そして、本も少し小説とかマンガと言うには2回りくらい大きかったかもしれない。
俺は、帰りざまの友人のにんまりとした笑顔を思い出した。
カチリとピースが脳でハマったような音がしたと同時に汗が吹き出す。
いや、そんなまさか。
「ちょっ、ちょぉっとまってて!刀也さん!」
バタバタと自室に向かい、机を見るとDVDがこの間置いたところより明らかに移動していた。
次に本を見ると開かれていて、そのページは未成年が見てはいけないシーン。いわゆるえっちな同人誌。そりゃ刀也さんが拗ねるわけだ。
「うーーわ、、」
もうこれしか言えなかった。頭を抱えてしまう。
謝るしかないし誤解も解かなくちゃいけない。責任である。
自室から刀也さんがいる部屋に戻ると、いつの間にか、彼は俺の布団にくるまっていて団子状態になっていた。その団子の横に座るとスプリングがギシリと音を立てた。
「刀也さん、あれ俺のじゃないんだよ。あんなもんみるわけないでしょ」
だって刀也さんしか興味無いんすから。と心の中でつぶやく。すると布団がモゾモゾと動き、彼が顔を少し覗かせる。亀みたいで可愛いな。俺爬虫類も結構好きなんだよな。
「うそつき、じゃあなんでおいてあるの。」
彼の声はくぐもっているからよく分からないが鼻声で。
泣かせてしまったのだと悟る。あぁごめん。泣かせるつもりもそんな思いもさせるつもり無かったんだよ。ポスリと手を置いてみるとビクリと反応したが、拒む様子は無いのでそのまま話を続行する。
「俺の大学の友達がな?からかいなのかわかんないけど置いてっちゃって。でも俺刀也さん以外興味無いんすよ。」
「どんな美人でも?」
「どんな美人でも。」
「、、胸大きくても?」
「う”っそれは、、」
とわざと言葉に詰まったフリをするとドスっと脇腹に重い一撃を食らう。そんな彼が可愛くて愛おしくて、意地悪したごめんねと笑いながらつい謝ってしまった。
「刀也さん、好きだよ。可愛くてかっこいい君が好き」
本心を伝えるとそれが伝わったのかもそりと動いて、紫色の綺麗な髪色が現れた。ぴょんと髪が跳ねていてそこも愛おしく見えてしまう。
「、、僕もです。僕もガクくんが好きです。えっちなやつ見ても好きです」
「一生見ることないけどな!」
「うん。見ないでください。ぜったい。」
そういうとガバッと抱きついてきた。えっなに!?デレ期!?
「罰として僕と今日と明日ずっと一緒にいてください。そして僕を甘やかしてください」
顔は見えないがじんわりといつもより高い体温で照れていることが分かる。
「仰せのままに。」
愛おしくて、世界一可愛らしいこの俺だけのお姫様を話す訳にはいかないなと、俺はぎゅっと彼を抱きしめ返した。
そのまま俺らはお昼寝をした後、事件の元凶である友人に鬼電をかまし、大学でコテンパンに叱ってやった。