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満月の夜と告白の行方 / 伊波 ライ×らっだぁ
MADTOWNの夜、街の光が猫カフェの窓から差し込み、静かな店内に柔らかな影を落とす。
カウンターに立つ俺は、閉店後の片付けをしながら、ライくんの告白を何度も反芻していた。
あの夜、ライくんの真剣な瞳と、俺の手を包んだ熱い温もりが、胸の奥で疼くように残っている。
ライくんの行動は、あれからますます熱を帯びている__
ある日、店のカウンターでセリーと他愛ない話をしていると、ライくんがパトロールの合間に突然現れ、鋭い目で割り込んでくる。
ライ ) らっだぁさん、セリーさんと何話してたんですか?
その声には、冗談とも本気ともつかない切実さが滲む。俺が「ただの雑談だよ」と笑って返事をすると、ライくんは俺の手をそっと握り、じっと見つめてくる。その熱量に、俺の心がざわつく。
別の日、俺がバニラと子猫の名前を考えるのに夢中になっていると、ライくんが俺に近づいて言った。
ライ ) この子、らっだぁさんに似てますよね。自由だけど、優しい
わざと俺たちに聞こえる声で呟く。
その言葉は、まるで俺を誰にも渡したくないと訴えるようで、俺は何故か胸が締め付けられる。
しまいには、閉店間際に署から息を切らして駆けつけてきた。
ライ ) らっだぁさん、夜道危ないんで、俺が送りますね
ほぼ強引に店の外までついてくる。ライくんのまっすぐな想いが、俺の心を掴んで離さない。
署員たちも、ライくんの大胆な行動を見て、ライくんの気持ちに気づき始めたようだ。
セリー ) ライくん、猫カフェに住む気?
なるせ ) らっだぁ、アイツの目は本物だぞ
ぺいんと ) らっだぁ、ライくんの想い、ちゃんと受け止めてやれよ
みんな、ライくんの心を見透かしている。
今夜も、ライくんは店にやってきた。
警察服のまま、カウンターにコーヒーカップを置いて言う。
ライ ) らっだぁさん、今日のパトロール、ちょっと疲れたんですけど、ここ来たら元気出ました
らっだぁ ) そっか、コーヒーでも飲んで休んで
ライくんの穏やかな笑顔に、胸がドキリと高鳴る。
閉店後、店内が静まり返る中、ライくんがカウンターに座り、子猫を撫でながらぽつりと呟く。
ライ ) らっだぁさんすみません、最近付き纏って… 頑張ってアピールしないと俺を見てくれない気がして、俺なりに頑張ってみたんだけど、逆効果だったかも
無理やり笑うその顔に、俺の心に深く根を張っていく。
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俺も、ライくんのことを、ちゃんと意識している。この気持ちがどこへ向かうのか、まだ分からないけど、ライくんの熱に、俺も向き合いたい__そう思ってる。
らっだぁ ) ライくん、俺もちょっと話したいことあるんだけどいい?
ライくんの表情が一瞬で強張る。
ライ ) …もちろん、です
少し声を震わせて返事をするライくん。 きっと、今から俺に振られると勘違いしているのだろう。
らっだぁ ) ライくんの気持ち、ちゃんと受け止めたよ
俺はライくんを傷つけないように言葉を慎重に一言ずつ選ぶ。
らっだぁ ) 実は俺、あの日の告白から、頭の中ライくんのことでいっぱいだったんだ…ライくんの行動は逆効果なんかじゃなかったよ。俺…ライくんと、付き合いたい
ライくんの目が見開き、頬がみるみる赤くなる。
ライ ) らっだぁさん…本当ですか?
らっだぁ ) うん、ライくんの思い、俺にちゃんと届いてたよ
俺はカウンターを回り、ライくんの前に立つ。ライくんの手をそっと握ると、その温もりに心が落ち着く。
ライくんが、ゆっくりと俺に近づく。
ライくん ) らっだぁさん…俺、めちゃくちゃ幸せです
その声は噛み締めたように小さく、でも熱を帯びている。
月光が窓から差し込み、ライくんの顔を柔らかく照らす。俺はライくんの頬に手を添え、そっと顔を近づける。
唇が触れ合う瞬間、MADTOWNの喧騒が遠のき、2人だけの世界に変わる。ライくんの唇は温かく、ぎこちないけど真剣で、俺の心を満たしていく。
唇が離れると、ライくんは照れくさそうに笑い、俺もつられて笑う。
らっだぁ ) ライくん、これからよろしくね
ライ ) らっだぁさん、絶対離しませんから
ライくんの手が、俺の手を強く握り返す。満月の夜、猫カフェは二人の新しい始まりを静かに見守っていた。
終
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