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うたの.
32
#大森元貴
𝄞
2,076
#trlp
3,526
今日は大切な企画会議。なのに僕は…
「うぅ…お腹痛い」
布団から出れずに痛むお腹を撫でながらふぅと息を吐く。
どうしても、今日は頑張らないといけない。この日のために溜め込んだネタ帳に僕は一粒の涙を落とした。
「いってぇぇ、ほんと痛い。もうなんなの」
たぴちゃんがくぅーんの悲しそうに鳴く。ごめんね、たぴちゃん。僕今は構ってあげられない。
ピンポーン
チャイムに驚いて僕はゆっくりと立ち上がった。
「ころちゃーん。起きてますか?」
るぅとくんだ。そういえば昨日、遅刻しそうな人同士で集まって行こうということになっていた。
「今、行くから…待って」
ゆっくりと玄関のほうに向かってドアを開ける。
驚いたるぅとくんと目があった。
「ちょ、ころちゃんどうしたんですか!?顔色悪すぎます!」
「お腹痛い、昨日もそんな食べてないのに」
「今日の会議、辞めますか?こんな状態じゃ」
「や、行くよ。」
るぅとくんは僕を見て困惑していた。
「……薬は飲みました?」
「まだ」
るぅとくんは僕の背中をさすりながら、部屋へと入っていく。
「やっぱり無理しない方が…」
机の上に置かれたネタ帳をみて立ち止まるるぅとくん。
「これ、飲んでください。それから服着替えて行きましょう。遅れちゃいます」
僕は渡された薬を飲んでゆっくりと着替える。
ゆっくりと車に移動すると少し寝てて下さいと毛布をかけてくれた。
「みんなには…」
「言いません。ただ、無理して倒れるようなことがないようにして下さいね。ころちゃんの気持ちは痛いほど分かりますから」
ほっとして僕は毛布をぎゅっと掴んだ。るぅと君がきてくれて良かった。自分1人だと動けなかった。本当に助かった。
痛むお腹を抑えて、必死に耐える。
「ころちゃん、ひどい汗です。これで拭いて下さい」
隣でるぅと君は僕の看病をしてくれた。
「おはよー」
もうみんな集まっていて、さとみくんと莉犬くんが2人で騒いでいた。ジェル君は優雅にコーヒーを飲んでいた。
「じゃあ、始めましょうか」
スタッフさんの声にみんなは応じてソファに座った。
僕は端の方に座り、なんとかバレにくい位置にした。
「おい、ころん。なんか元気なくないか?」
さとみくんが僕を見て少し不安そうな顔をする。
「えぇ〜?大丈夫だよ。眠いだけ」
さとみくんはそれならいいけどと配られた資料を見ている。
ズキン
突然の痛みに、僕はお腹を抑える。るぅと君が僕を心配そうに見ていた。
大丈夫、まだ頑張れる。これさえ耐えればまた波は治るはず。
しかし、僕の考えに体はついてきてはくれない。
ズキン、ズキン
痛むお腹を抑えて丸くなる。
「くぅ」
情けない声が出た
隣のさとみくんが、僕の背中をぽんと軽く叩く。
「ころんどうした?」
小声で聞くさとみくんに僕は何も言い返せない。
「………ころん?」
覗き込んださとみ君と目があった。
「なんで泣いてんの?どうした?」
さっきよりも小さい声で僕にそう聞いて背中をさすってくれる。
「ッたい」
「ん?」
「痛いッ」
ぼろぼろと涙が出てくる僕を、驚いた顔で見つめるさとみくん。
「どこ?どこが痛い?」
「ころちゃん!?どうしたの!??」
莉犬くんがガタッと立ち上がって僕のところに走ってくる。
ジェル君も心配そうに僕の背中をさすってくれた。
「ころちゃん…」
るぅとくんの涙ぐんだ声が聞こえる。
あぁ、僕がいけない。こんな感じじゃ会議ができない。僕のせいで…
ハッ…ヒュハヒュハヒュ
息ができない苦しさにだんだん周りの声が聞こえなくなってくる。
「ころん、ころん。落ち着け。過呼吸になってる。大丈夫大丈夫」
さとみくんの声が遠くから聞こえる。その声を聞きながら僕は意識を手放した。
ふと目を開けると、さとみ君が僕を見ていた。
「ころん!?起きたか?体調どう?」
「うーん…」
僕が答えようと口を開くとさとみ君の目に涙が滲む。
「お前さぁ、相方なんだからメンバーなんだからさぁ、言っとけよぉ、心配しただろ」
「……ごめんなさい」
普段見せないさとみ君の顔に驚いた。
「るぅとから聞いた。体調悪かったらちゃんと言え!無理すんな。」
「うん」
さとみくんはしばらく僕の手を握りしめて、はぁと息をついていた。
その後、メンバーが集まってきて口々に心配やお叱りがあった。
僕は嬉しくて少し笑ってしまった。
心配してくれる人がいるってこんなにも嬉しいことなんだ。
コメント
1件
うわあ、これは胸がぎゅっとなる話だった……。最初の布団で丸まってるころちゃんの描写がもう本当にリアルで、読んでてこっちまでお腹が痛くなってきたよ。るぅとくんが気づいて薬をくれたり背中さすってくれたりするの、ほっとする優しさだった。それでいて最後のさとみくんの「言っとけよ」って泣きながら怒るところ、あそこはもうグッときた。自分のためじゃなく相方やメンバーを思って怒ってるのが伝わってきて。「心配してくれる人がいるってこんなにも嬉しい」って言葉が本当に響いた。うん、このチームの空気感、すごく好き。続きも気になるなあ。