テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
初投稿
nmmnです。🐙🌟×👻 🔪となっております。地雷の方、上記の内容のどちらかでも分からない方は、閲覧なさらないようお願いいたします。
ご本人様とは一切関係ありません。
『🐙🌟』「👻 🔪」
🔞、 喘ぎ声等の表現有り
解釈不一致を少しでも感じた際は、無理せずブラウザバックすることを推奨いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『痛くない?』
その言葉にこくりと頷けば、そいつは愛しさに少しの呆れを含んだ表情で俺の頭を撫でた。
割れ物を扱うように、花を撫でるように。そいつは俺の身体を抱き寄せる。肩に触れる汗ばんだ髪がくすぐったい。
『嘘、痛いでしょ。無理しないで言ってよ。俺だけ気持ち良くても意味ないんだから』
「…ちょっとだけだから大丈夫だって。いつものに比べたらないのと同じ」
『戦闘基準にしたら大体そうなるだろ』
彼は眉を下げ、俺の肩に顔を埋める。
『大事にしたいんだよ…』
「うん」
伝わっている。だから本当に、痛みなんて無いのと同じなのだ。初めてなんて大体そうだろう。特に、男同士ならば。けれど、快楽だけを目的に体を重ねようとしている訳ではない。
「星導、俺のこと好きでしょ」
『当たり前じゃん。好きな人じゃなきゃこんなことしないよ』
「うん、知ってる。だから大丈夫だって。愛されてんなって感じられるから、それで十分」
尚も不服そうな表情を見せる彼に優しくキスを落とす。快感を拾いきれない、鍛えられた無骨な身体に向けられる熱を持った視線。つくづく物好きだなと思う。
「お前だって辛いだろ。生殺しだし」
洗浄し、拡張し、解す。世間が言う普通のそれには無い行為を、彼は何日もかけて一緒に行ってくれた。そんな相手と出会い、共に過ごす日々を手に入れられる確率は、一体どれほどのものだろうか。少なくとも自分は、この長い生の中で彼一人としか出会っていない。
面と向かって言うのがなんだか気恥ずかしくなり、彼の首に手を回す。強請るように、精一杯甘さを混ぜた声で
「動いて。奥ちょーだい」
と言えば、耳元で息を呑む音が聞こえた。
『ちょ、なにしてんの』
「物欲しそうな顔してんのバレバレなんだよ。」
『だからって』
「お前だからいいって言ってんの」
『そんなこと言っちゃって、デレてる?』
「うるさ。早く動けよ」
『無茶させたいわけじゃないんだよ』
「無茶してないよ。慣れてきたから言ってる」
『…本当に、しんどくなったら言ってね。絶対無理しちゃダメだよ』
「わかったって」
『動くよ。いいのね』
「ん、」
正直痛いし、きつい。内臓を押し上げられる感覚は慣れないし、異物感が大きい。けれど、それ以上に彼と繋がれたことが素直に嬉しかった。余裕のない表情をしていながら、こちらを気遣うように見つめる彼が愛おしい。愛されているという実感が湧き、幸福感が胸を満たす。
「ん、うぅっ」
ふと、背中にぞくりと変な感覚が走った。その声が自分の口から発せられたものだと、少ししてから気がつく。
『小柳くん』
「ん、?」
『ここ、気持ちいい?』
「ぅあっ、なんか、変なかん、じするっ」
同じところを擦られ、腹の奥が重くなる。相変わらず痛みはあるが、それ以上に熱を持った何かが迫り上がってくるのを感じる。
「まって、やばいかも。なんか腹、ぞくぞくする、」
彼の動きを止めようと肩を押せば、するりと長い指が絡められ、手の甲に彼の唇が触れる。
『可愛いね。よかった、一緒に気持ち良くなろ』
普段よりも低く、柔らかな声が心地良い。初めての、酔いが回る感覚。ぐらぐらと煮詰められ、蕩けてしまいそうだ。だからだろう、こんなことを口走ってしまうのも。
「手じゃなくて、口にもちょうだいよ」
『なにを?』
「言わなくてもわかんだろ」
『いや、そこまできたら最後までちゃんと言ってよ。小柳くんから言ってくれるの珍しいんだから』
「はいはい。キスしてくださーい」
『テキトーじゃん』
「うるせぇな。さっさとしろよ」
『えー、どうしよっかなあ』
「お前まじっ、はぁ゛っ、んぅっ」
奥を突かれ、勝手に声が押し出される。先ほどまでの気遣いは何処へいったのだとつっこみたい。こちらを揶揄うように笑いながら見下ろしてくるのもなんだか癪だ。
『小柳くんからしてほしーなー』
「まじでなんなんお前…」
彼はほら、と言いながら目を閉じた。仕方なく顔を寄せ、触れるだけのキスをする。最後に、少しの仕返しを込めて。
『いたっ』
「はっ、ばーか」
彼の唇は、俺の噛んだ箇所が切れ、血が滲んでいる。血を舐めとるように再度キスをすれば、鉄の味が口に広がった。
「うえ、まっず」
『自分からやっといて何言ってんの』
「お前の血がまずいのが悪い」
『理不尽すぎるだろ』
甘ったるい雰囲気に耐えられず、ふざけた話をする。いつもと変わらないような、馬鹿な話。そうでもしないと、本当に酔いでおかしくなってしまいそうだ。
『小柳くん』
「ん?」
『…好きだよ』
「お前さあ、いいって…。そういう流れじゃなかったじゃん」
『いや、だって…なんか伝えとこうかなって、』
「言った側が恥ずかしがんのやめてくれ。こっちだからな恥ずいの。せっかくいつもの感じで話してたのに」
『俺だって恥ずかしいよ!けどはじめてなんだから少しはらしくないことしたって良いでしょ!』
彼の顔をみれば、確かに赤くなっているのがわかる。
「お前にも恥じらいとかあったんだな」
『あるに決まってんだろ。なんだと思ってんだ。でももう捨てたから、今』
あとはお前だけだぞ、なんて言いながら睨みつけてくる彼の姿がなんとも可笑しく思えて笑いが溢れる。
『何笑ってるの』
「いや、まあまあ、俺も好きだよって」
『まあまあってなに?』
「めんどくせぇなお前は!愛してるよ!」
半ばやけくそになりながら、彼に深くキスをする。口の中で血の味が彼の舌に攫われ、混じり合う。
『うわ、鉄くさ』
「だから言ったじゃん」
お互いに顔を見合わせ、小さく笑う。程よく回った酔いが、ぎこちなさを溶かしていった。
『無理してない?』
「うん」
『ちゃんと気持ち良くなれてる?』
「わかってて言ってるだろ、それ」
『はは、そうだね』
彼はふたたびゆるく腰を動かし始めた。嬌声をあげるたび、頭を撫でられる。愛おしげに見つめてくる彼の瞳には、乱れた姿の自分が映っていた。
「は、あぅ、んっ」
『イキそう?』
「う、んっ」
『俺も、っは、一緒にイこ』
繋がれた彼の手に力が入る。小さく握り返せば、彼は驚いたような顔をした後、嬉しそうに笑った。律動が速くなり、彼が果てると同時に薄い壁越しにナカが満たされる感覚がする。余韻がじんわりと広がり、ふわふわとした浮遊感と幸福感に包まれた。
「はぁ、やば。あつ」
『はい、口開けて』
「ん」
声がした方を見ると、彼はベッドの横に用意していた水を口に含んで近づいてきていた。どうやら、口移しがしたいらしい。本当にらしくないことをするものだと思いながら口を開けていれば、顎に手を添え、持ち上げられる。なかなか様になっているなと惚れ直しかけたのも束の間、うまく移すことができずに、ほとんどの水が首を伝っていった。
「いったん下手すぎるか」
『待って、もう一回やろ』
「普通に飲む方が早くね?」
『いや、次はうまくやる』
「あんま慣れないことすんなよ」
『いいだろ!ほら、口開けろよ』
「口移ししようとする奴のテンションじゃないって」
何とも締まらない最後。けれど、それが俺たちらしいとも思った。