コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「……泣くほど、辛いのですか?」
以前にも、こんな言葉をかけられた気がした。
確かあの時も、私が泣いていたんだった……。
長く繊細な指の先で、滲んだ涙が拭われる。
「……そんなにも、私を嫌うのですか?」
身じろぎもできずにいる私に、彼が続けて問いかける。
「……嫌いです…嫌い……愛情もなく、人の心をもてあそぶようなあなたなんて……」
言葉を切り、ごくっと口の中の唾液を呑み下して、
「大っ嫌い……っ!」
泣き叫んだ私の身体が、
回された腕の中に、突然に抱きすくめられた──。