テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
82
179
1,341
ーレヴィsideー
「レヴィくんはキレイだよ」
「…は?」
同情して言ってるのか、ただの冗談で言ってるのかは知らない。けど、こいつに俺を評価される筋合いはない。どうせウソを言っているだけなんだ。
「お前は普通で羨ましいよ。バカにされたことなんてねぇんだろ」
どうだ、と言わんばかりにコイツを蔑んだ。だが、コイツは少し俯いて、前を見て、俺に向かって言った。
「私は君を傷つけないよ」
どういう意図で言ったのかわからない。会話が成立していない。
混乱した頭のまま、何を言い返そうか悩む。そして、ふと気がついた。俺は今、あの女たちと同じだ。見た目だけで決めつけて、それを盾に相手を落とそうとしている。
「やっと気づいてくれたみたいだね。安心したよ」
「お前は、何者だ?」
「Он просто гений.」
ー愛楽sideー
少し変な空気が流れて、海斗がリビングに入ってきた。
「海斗、どうかした?」
「喉が渇いただけ」
「あ、レヴィくんごめん。お茶出すの忘れてた」
「いや、気にしなくていい」
キッチンに行って、海斗とレヴィくんの分のお茶を用意する。海斗はレヴィくんに目もくれない。視界に入れたくないのだろう。だけど、現実を教えなければならない。
「海斗、レヴィくん。これからここに住むんだって」
「はぁ!?」
今まで聞いた事のない海斗の焦った声。すごくいい。可愛いなと思う。
「私とレヴィくんがペアになるらしい」
「それは…いや、別に…でも」
何かと葛藤している海斗はすごく可愛い。たまにいじめたくなるのは、こういう姿も見たいからだ。決して嫌っているわけではない。逆に好き。大好き。
「レヴィでいいよ」
「え?」
「俺も、愛楽って呼ぶから」
そう言いながら、レヴィは前髪をかきあげた。顔が露わになり、レヴィは目を見せてくれた。
「ビー玉、みたい」
「ビー玉?」
「知らない?ラムネとかに入ってるガラス細工」
「知らない」
「んー…じゃあ違う表現がいいな。なんだろ」
ビー玉みたいにキラキラしてて、透明感があって、何より綺麗だと思うもの。
ふとお茶を飲んでいる海斗を見てこれだと思った。
「水滴みたい。キラキラで、透明感あって、綺麗な目」
私の言葉を聞いたレヴィは一瞬目を見開き青と黄色の瞳を丸くした後、くしゃっとその目元に皺を寄せて笑った。
「え、なんで笑うの?笑うところあった?」
「愛楽って他のやつとは全然違うや」
たぶん、同居はこの先安泰だ。
コメント
1件
読了しました。このエピソード、とても良かったです。 まずレヴィくんの心の揺れが丁寧に描かれていて、あの「自分が傷つけられた側なのに、いつの間にか加害者と同じことをしている」という気づきの場面にぐっときました。愛楽の「私は君を傷つけないよ」という一言が、だからこそ重く響く。そして最後の「水滴みたい」という表現でレヴィくんが笑顔を見せたところ、ほっとしました。 ロシア語の台詞も気になりますね。設定の奥行きを感じさせる良いスパイスでした。続きが楽しみです。