春。それは出会いの季節。入学式を迎え、高校一年生となった。
「いい出会い、あるかな」と、心の中で呟いた。俺は昔からアニメや漫画、音楽に没頭していたため恋愛に疎かった。
なんなら女子との会話はほとんどない。中学2年生まではそれでいい、逆に恋愛をしているやつはダサいと思っている所さえあった。だが、中学3年生になってからは女子の目を意識するようになり、今まで全くセットしなかった髪の毛を少し整えたりした。
「あー、俺もからかい上手の◯木さんみたいな女の子と隣の席になっていたずらとかからかわれたりしてぇ〜!!」と、友達がよく呟いていたけど。今ならよく分かる。つまり、彼女が非常にほしい。そう思っているのだ。
からかい上手の◯木さんみたいな子が隣の席になったらいいな、と思いながら教室に足を踏み入れる。
黒板に貼られた席順のプリントを見てから俺は自分の席に着席した。集合時間より早めに来たので、隣はまだ来ていなかった。高校からはスマホが認められていたから、俺はTwitterを見ながら人が集まるのを待った。
すると、左隣から椅子を引く音が聞こえた。 誰かが来た。
俺は横目でチラリと見ると、女子だった。
ワンチャン、仲良くなれねえかなあ。と思っていると、その女子が
「ヾ(・д・` )ネェネェ 名前、なんて言うの?」と聞いてきた。
なんか、若干早口だ。俺は咄嗟に
「あ、え、俺だけど………」
しまった。若干吃った。最初にあ、って付けるの、小林製薬かよ。と心の中でセルフツッコミをした。
「俺くんかぁ!私、noa*。よろしくm(_ _)m」
「よろしく……」
陽キャなのか?かなりグイグイ来るな。ちょっと焦る。女子免疫が全然ないからどう接するのが正解なのかが分からない。
とにかく、俺からもなにか話題を振るべきだろうか。
「……noa*さん、はさ。趣味とかある?」
「趣味?あるよっ!音楽聴いたり、夢小説書いたりとかかなっ☆」
音楽は分かるが、夢小説……?Twitterで小耳に挟んだことはあるが、詳しくは知らない。
「夢小説って、どんなの書いてるの?」
「エッチ…」
「えっ。」
どんなものを書いてるか聞いたら、何故かエッチ!と言われてしまった。分からない。女子って、こういうものなのか。
「な、なんかごめん。じゃあ……音楽は?」
「キ○ニタツ○とかかなッ( ˆᴘˆ )」
「あ。聞いたことある。青のすみかの人、だっけ」
「そう!分かってんじゃん(ニコッ)」
よかった。呪○、見てたから助かった。
「いいよな、あの人。声かっけえし、解像度高すぎてびっく…」
と、話していると。鐘の音がする。どうやら、最初のHRが始まるようだ。初日から、横に座る彼女のおかげで一人ぼっちにならずに済んだ。気さくに話しかけてくれた彼女には、頭が上がらない。これから、もっと仲良くなれたらいいな。と思った。
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