テラーノベル
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俺は今までの人生で恋をしたことがなかった。
けど俺は今。恋をしている。
お相手はメンバーの藤澤涼架
初めて出会った時一目惚れをしたんだ
あの儚くてでもなぜか悲しそうで寂しそうで俺に似た部分を感じた。
気付けば俺はバンドに誘っていた。どうせ断られるだろうと思ったのに彼は二つ返事で了承してくれた。
彼と出会っておれは人生がより鮮やかで豊かになったと思う。
もうバンドを結成して10年。
彼と出会って10年以上たつ。
自分の恋心に気づいたのはフェーズ1完結の時くらいかな。もちろん若井のことも大親友で頼りにしてて信頼してて大好き。けど涼ちゃんには若井とはちがう大好き。
俺のものだけにしたい。他の人に渡したくない。
正直涼ちゃんと若井が同居するのはどうかとマネージャーに提案された時はほんとに嫌だった。2人の仲が深まって、2人が恋に落ちて俺だけ置いてかれていったらどうしよう。
けど2人も否定はできないようで渋々了承したようだった。
こんなとこで俺が「同居なんて許せない」なんていったらどうなる事だろうか。言えるわけがなかった。
休止期間中はダンスレッスンだらけで正直追い込まれていた。
元からあまりメンタルが強くない涼ちゃんは若井に毎日のように慰められているらしかった。
羨ましい。俺だって涼ちゃんを慰めて、涼ちゃんを抱きしめて愛したい。
そんな思いが届くはずもなく休止期間は終わった。
フェーズ2として活動が再開してからは怒涛の日々で涼ちゃんに想いを伝えるような時間はなくて、なんとなく涼ちゃんと若井の距離が近くなってるのを感じた。
同居期間は終わったものの、3日に1度ほど若井の家に集まってお泊まりをしているらしい。
もうそんなの、付き合ってるじゃん、
そんなことをレコーディング中に考えてしまって音程が外れてしまった。
「すみません。集中します。
もう一度お願いします。」
涼ちゃんと若井のことは一旦考えるのをやめてレコに集中することにした。
無事に俺のターンは終わり、次は若井のターン。
地味に疲れたのでスマホを見ていると涼ちゃんが声をかけてきた。
「ねえ、元貴。今日元気ない?」
「ん?そんなことないけど」
なんでこんな時に鋭いんだよ。
俺はなるべく平然を装って答える。
「ほんとに?嘘ついてるでしょ。」
「ついてないって。なんなの?」
「い、いや、ごめん。なんもない。」
涼ちゃんは少し涙目になっていた。
きっと俺の冷たい目と声に引いてしまったんだよね、ごめん。なんで俺はこんなことしか出来ないんだろう。若井なら、若井ならきっと涼ちゃんをずっと笑顔にするんだろうな。
ああ羨ましい。おれは羨ましがってばっかだな。情けない。
レコーディングが終わり帰ろうとするとスマホがピコンと鳴る。あとでもいいか、と思ったがなんとなく今見ようと思いスマホを開いた。
『今日家行っていい?』
涼ちゃんからだった。
心配してくれたんだろうな。
『うん。いいよ。』
『ありがと、すぐいくね。』
涼ちゃんはほんとにすぐにきた。びっくりするくらい。
「お邪魔します」
「どうぞ。」
「で、なんで来たの?」
「言ったでしょ、元気なさそうだって。
心配だからさ話聞こうと思って」
涼ちゃんのことが好きで、大好きでたまらない。本当はそう伝えたいよ。
でも伝えられないから。俺はずっと黙ったままだった。
「ねえ、なんとか言ってよ。ほんとにどうしたの?元貴。」
少し涼ちゃんがイラついてきているのがわかった。ごめん。ほんとにごめん。
もう、今しかないよね。今言うしかないよね。
「ごめん。俺、涼ちゃんのことほんとに、好き、で、」
「え?」
涼ちゃんは目をまん丸にしていた。
「え、?どういうこと?元貴のことは俺も好きだよ、?」
なんでこんな時に鈍いんだよ。もういい。どうなってもいいよ。全部をさらけ出そう。
「涼ちゃんの好きはlikeでしょ。俺はLoveなの。涼ちゃんのことがほんとにすきなの。
若井と同居も本当は反対だった。若井と涼ちゃんが付き合って、俺だけ置いていかれるんじゃないかって、ずっと不安で。若井のことももちろん好きだけど涼ちゃんを、涼ちゃんのことを若井に取られたらどうしようって。
最近距離近いでしょ。若井と。もう付き合ったんだなって。だから機嫌悪かったの。迷惑かけてごめん。もう気にしないで。」
俺は泣きそうになる目を見せないように下を向いて俯く。
「え、?ん?え?
…俺。若井と付き合ってなんかないし若井のこと恋愛的に好きじゃない、よ?」
「え?そ、そうなの?」
「うん。あとさ、俺も元貴のこと、好きだよ。likeじゃなくて、Love。大好き。」
「え、ほ、ほんと?」
俺は驚きのあまり俯いていた顔をあげ、大粒の涙を零しながら涼ちゃんを見つめる。
「え、じゃ、じゃあ付き合える、の?」
「うん。付き合おう。元貴」
俺は涙でぐしゃぐしゃになった顔を押し付けるように涼ちゃんを抱きしめる。はあ、こんな恋が叶うなんて。大好きだ。ずっとこうしたかった。
「……涼ちゃん、」
「んー?」
「目みて、ちゃんと告白してよ、」
「えー、やだよ!はずかしい。。」
「お願い」
上目遣いで涼ちゃんを見つめると、んぐぅ、、と効果音が聞こえてきそうな顔で仕方ないなと言ってくれる。こういう優しいとこも大好き。俺のわがまま聞いてくれてありがとう。
「元貴。俺は元貴のことが大好きです。
付き合ってください。」
「はい。よろしくお願いします。」
やっと叶った。
もう離さないからね。
涼ちゃん。
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