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「、やってしまった、」


飛び出した彼女の背を見つめながら、私は静かにそう呟いた


ただ、告白だけしようと思っていたのに、

彼女が可愛くてつい、


「、でも、あの反応なら心配はいらないかな」


頬をこれでもかという程赤くさせ、私の口付けを受け入れる彼女


「さて、夏休み明けが楽しみだ」


私は一人、高鳴る鼓動を抑えながら

その場を後にした


しかし、夏が明けても彼女は現れなかった


彼女のクラスに行ってみれば、夏休み中に引っ越したらしい


なぜだ?彼女は私が好きなんだろう?

でなければあんな表情を私に見せるはずがない


「、そうか。君は私から逃げるんだね」


ならばこちらも、全力で君を捕まえに行こう


そこから、私は高専にスカウトされ入学した


入学してから色んな事があった


非術師、つまり猿共が嫌いになったり、双子を引き取ったり、フリーの呪術師になったり


彼女を薄汚い猿共とは思った事はない


むしろ、私にとっては唯一の存在で、女神のような存在だ


しかし、彼女は非術師で、私達とは真反対の存在


なら、彼女を私の愛玩として傍にいて貰えば良い。


もう二度と私から逃げられないように、これ以上汚い猿共の餌食にならないように


私が守らなくては


「随分とまた、可愛らしくなったモノだね」


私は呪霊に乗り、彼女の様子を呪霊の視界を通してみていた


彼女のいる会社に呪霊を放ち、結界で閉じ込めた


少し、私から逃げたお仕置きをしないとね


____________



「んー?おかしいな、もう一階に着くはずだけど、」


もう何分経っただろうか、私は延々と階段を降り続けていたが一向に一階へ着けなかった


それより、降り続ける毎に階の様子がおかしく感じた


何だか、雰囲気が重苦しくなったような


「ッ、早く出ないと、」


私がそう呟いた瞬間、急に建物が揺れた


「ッ?!地震?!」


あまりに激しい揺れで、私はその場に転んでしまった


「いっ、」


一体何が起こってるの?!スマホも圏外だし、


私は擦りむいた膝を押さえながら立ち上がった瞬間


“ グゥうェェェェ”


「、え?」


背後から、先程まで無かった”人ならざるモノ”が私に向けて


刃を振り翳していた


死ぬ。


死とはこんな呆気ないモノだったのか


しかし、最期にせめて、伝えたかった


「傑、」


傑は、今はもう結婚している時期だろうか


何でも良い、傑が幸せなら、何でも


私が瞼を閉じ、その瞬間を覚悟しようとした


だが、次に聞こえたのは何かが破裂する音


「全く、これだから低級は要領が悪くていけない」


「、、?」


目を開けると、先程いたであろう”人ならざるモノ”はおらず、代わりに何かが潰れたような跡だけが残っていた


そして、サラサラとした黒髪と五条袈裟を纏った男性


「やっ。久しぶり、冷夏」


「すぐ、る、?」


そこには、かつての幼馴染がいた


「どうして、」


「君を迎えに来たんだ。

あぁ可哀想に、泣いてるじゃないか」


傑は私に歩み寄ると、目に溜まっている涙を指でそっと拭った


「怖かっただろう?

もう大丈夫だよ、私が傍にいるからね」


「すぐる、、!」


私は我慢していたモノが溢れ、傑に抱きついた


「怖かった、死ぬかと思った、!」


「うん、うん。

大丈夫だよ、私が来たからね」


傑は私の身体を抱きしめ、そう言葉を掛けながら頭を撫でた


「ほら、後は私に任せて

もうおやすみ」


傑は私の頬を持ち上げると、私より一回り大きい手を私の瞼に乗せた


傑が傍にいるという安心感からだろうか、私は数分もしない内に意識を手放した


____________



彼女が眠った事を確認し、私は彼女を抱き上げた


「君は本当、馬鹿で可愛らしいな」


君を危険に晒した張本人に抱きつくなんて、


だからこそ、彼女は可愛らしいのだ


「私だけの姫様、このまま大人しく私に愛されておくれ」


彼女の瞼にそっとキスを落とし、私はその場を後にした



____________




本日未明、〇〇会社の一人を除いた

社員全員が投身自殺をする事件が発生しました。


原因は不明ですが、全員が書き記された遺書には必ずこう記載されていました。




“ 鈴木冷夏の呪い ”



警察は現在行方不明になっている鈴木冷夏の犯行であると捜査を進めているようです。


____ 次のニュースです________




広い和室の中、男は女を愛玩動物のように

可愛がっていた



「すぐる、」


「あぁ、ようやく手に入れた。

これからは私から逃げてはいけないよ?」


男は砂糖を煮詰めたような甘い眼差しで女を見つめ、女を自分の腕の中へ閉じ込めた


それに対して女は、まるで縋り付くかのように男の袈裟を摘み、身を預けた


「冷夏、君は私のモノだ。

これからは私が君を守ってあげるからね」


「うん、」


それは愛の囁きか、呪いの言葉か


それは、二人だけが知るだろう

この作品はいかがでしたか?

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