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※今回は太宰目線でお送り致します。短いです。
『いっその事、中也だったらいいのに。』
ふと口から出てしまった一言だった。
このことは絶対に、中也に悟られないようにしていたのに、私の馬鹿め。
つい先刻の出来事に、動揺を隠せないまま店を出た。
中也だって、先刻からずっと上の空だし、だからって直ぐに帰りたくないし。
今回の共同任務は、実は森さんと社長に無理を言って作ってもらったもので、実際は占い屋はなんの害もない。
只、私が中也と行ってみたかっただけ。
でもまさか、あの中也に好きな人がいたなんて。
まぁ、あの態度なら図星だったんだろうな。ほっとしたよ。
『双黒』と呼ばれたあの頃から、私の頭には中也が住み着いてしまっている。
あの茶色がかった朱色の癖っ毛。キリッとした目、長いまつ毛。あの強がりな口調。中也の身長体重。好物。綺麗なボディライン。ファッションセンス。
全てが愛おしく、妬ましい。
私には無いものだってある。
ずっといじったりしていたのは、ただ単に構って欲しかっただけ。
探偵社とポートマフィアという、真逆の組織にお互いが居るから、そんなに簡単に会うことも出来ない。
中也は鈍感だから、そんなの気づかないだろうけど。
あ、そうだ。
言ってしまったんだから、いっその事もう私の事を意識させてやろう。
アピールを全面的にして、気づいてもらおうか。
「ねぇ、中也。今から一寸付き合ってよ。 包帯とか色々買いたいしね、なに、一寸ぶらぶらするだけさ。」
私だけの中也にするんだ。