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本当は投稿する予定なかったんですけどね

まぁまぁ時間に余裕ができたので投稿します ! どうぞ !








 ないくんと付き合ってどれくらいだろう。

 俺ももう40後半のおじさんなわけでないくんの隣を一緒に歩くには情けない年になってきた。


 …だからこそ年を取るたびに思ってしまう。

 たったの2、3歳しか違いがない、あのないくん・・・・だったらどれだけりうらはこんなに年を取ることに辛さを感じなかっただろうなって。


 別に目の前のないくんが嫌いなわけじゃない。大好きで愛している俺の恋人パートナーだから。

 でもそうじゃない、これは完全に俺の問題、俺の気持ちの問題。それなのにりうらはあのないくん・・・・を愛していたから。それにも間違いはない。だからこそ乾無人くんじゃなくて内藤ないこくん好きって思ってしまう日々がここ最近では多々ある。


「…りうら?なんか悩み事?」

「なんでわかんの、こわ」

「ふふっ、俺がどれだけ愛してると思ってんの?」



ずき…



「俺…も、だいす、き…」



ずきずき



「ほんと?俺も大好きで愛してる」



ずきんずきん…!


 胸を突き刺すような痛みが俺を襲う。幸せなはずなのに幸せじゃない。彼に抱かれるたびに胸が痛い。締め付けられる。俺がいけないことをしている気分になる。


 ごめん、ないくん。俺ないくんのこと愛してやれないかも


 そう考えた瞬間俺の瞳からは雨みたいに雫がぽつぽつ零れ落ちた。





 俺の恋人が暗い顔をして笑わなくなったのはいつからの話だろうか。


 俺より年上の恋人、りうらは俺の世界で1番大好きな恋人。


 だからこそ彼が顔を曇らせるたびに胸が締め付けられるように痛くなる。ほら、今日だって俺に前みたいな笑顔を見せてくれないじゃないか。それでも、それでも俺が笑わないと彼だって笑わなくなってしんどくなっちゃう。


 笑え、笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え笑え…!!


 そう思っているときに目の前の彼が涙を流し始めるから俺はびっくりして何もできないまま。嗚呼、こんなにも情けない彼氏なんて居るのか?いや、居ないだろ。どれだけヘタレな彼氏でも背中を擦ってあげることくらい出来るはずなのに俺はそれでさえもできない。一体なぜ?俺の身体がそうすることを拒んでいる。今のりうらに手を触れたら拒絶されるんじゃないかって怖がっている俺がいる。


 …絶対にそんなことりうらがするわけないのに。




 ……でもそれって本当なの?

 今のりうらは俺のことを愛してくれてんの?俺が名一杯愛してやれてないのにりうらが俺のこと愛してくれてんの?俺が思い込んでるだけで本当は愛されてないんじゃない?ほら、ここ最近では身体を重ねた日も全部どこか遠くを見ているようで俺のことなんて見てくれやしない。だからこっちを見て、って無理やり頬を掴んで目を合わせたことだってあったよね。


 …りうらに新しく好きな人ができたんじゃ。それにりうらには……ううん、りうらのこと悪く言うようなことはだめだよ、無人。俺が悪いから、無人が悪いから。全部。ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ。


 だったらそんな人とお付き合いしているりうらがしんどいよね。


じゃあさ、





「…りうら。」



「別れよっか。」







「別れよっか。」



 そう彼から告げられたとき、俺は何も言えなかった。先程まで止まらなかったはずの涙もぴたりと止まった。体が冷えていくのがわかる。「嫌だ」って頭では思っていたとしても心と体は肯定するかのように働いてしまってる。


「やだ、まだ一緒に居たい」


 なんて思ってるのに伝えられない俺が馬鹿みたい。本当は別れたいって思ってた俺がいるんじゃないかって思ってしまう俺が嫌だ。


 …俺はなんて答えればいいの、?

 俺が心のなかではひっそりと思っているんじゃないかって思い始めてきてるから「わかった、別れよう」?それともまだ俺は彼のことを愛していることを信じ続けて、今が苦しくても。それでも今後幸せになれることを祈って「嫌だ、まだ一緒に居てほしい」?


 もうわかんないから、俺は「わかった」って答えるしかなかったんだ。ごめんね、ないくん。こんなに情けない大人になっちゃだめだよ。



 俺が答えたとき、彼の顔を見れなくてすぐに背を向けてしまった。酷く傷ついた顔をした?それとも嬉しくて口角を上げた?よくわからないけど俺は切ない気持ちになったんだ。


 なんでだろうね、俺も受け入れたはずの結果なのになんでこんなにも寂しく、切ない気持ちになったんだろ。


 もう、あの幸せだった日々が戻ってくることなんて起きないんだけど。






 ないくんと別れてから数ヶ月。流石にまた熟練カップルのいむしょーに迷惑をかけるわけにもいかないから1人で耐えてる。

馬鹿みたい、涙も枯れちゃったのかな、もう出てくるものは何一つとしてないや。

 前の俺は若かったからな、多分前の俺だったら泣いてたけど。泣いてたけど俺は情も何もない1人の人間フリョウヒンだから。


「…そっちに逝ってもいいですか、?ないくん。」


 そう言ったとき俺は自然とあの場所、いつもタヒのうとして失敗したあの場所へ足を運んだ。






ザーザー


 綺麗な青色が潮を立ててこちらに迫ってくる。ザバーと戻っていくと俺の足が一気に冷えていくのがわかる。もうなんでもいいから濡れたズボンもめくろうとしない。


 よし、入ろう。と深呼吸を置いて足を前に出したとき、俺の横になにか人影が映るのが見える。


「…、り、ぅら…?」


 俺をここまで追いやってきた俺の”元”恋人が居た。俺が飛び込もうとしたことに気がついた乾くんは酷く傷ついた顔をしていた。


 辞めて、そんな顔しないで。俺が悪いみたいじゃないか、悪いのはそっちだろ?俺を愛して、俺を好きで居てくれて、


 ………お前じゃなくてないくんがこの世で生きてくれてたら。


「…は?」


 どうやら最後に考えたことは口に出てたみたい。


「どういうことだよ…、俺じゃなくて俺がこの世で…?」

「ないくんって誰だよ…俺と同じあだ名のやつと付き合ってて…ッ、」


 責めるような言い方ではなく哀しみが込められた言い方でこちらに言われるその言い方はここに来るものがある。

 辞めてよ、辞めて辞めて辞めて…!!

 俺はお前じゃなくてないくんを愛してたんだ、それなのに俺はないくんの言葉に愛してお前と付き合ってあげてた。それ以外のなにものでもない。


 そうやって自分を納得させていたのに、そんな顔してそんなトーンで言われたらどうもそう思えなくなっちゃうじゃん…


「っ、ごめん…邪魔した。」

「先生はここでタヒぬの?ここで沈んでいくつもり?」


 別れてから呼び名を変えたのは俺だけじゃないみたい。…なんでさ、乾くんには前付き合ってた人とかいるわけ?俺はまだタヒんでないのに俺みたいに似ている人と付き合ったことあるわけ??違うでしょ、俺の苦しみは俺にしかわからないはずなのになんで、なんでそんなに乾くんも俺と同じことを考えるの??


「…俺も一緒にタヒのうかな、笑」


 そう呟かれる。


 なんで?なんで乾くんには希望があるのにタヒのうとするわけ?別れ話を出したのはそっちじゃん。自分勝手すぎるよ。



「…先生、少しだけお話してもいいですか?」

「………聞いてあげる。」


 どうせタヒぬんだしなんかどーでもよくなっちゃった。だから乾くんの先生として話を聞いてあげる。相談事でも愚痴でもなんでもいいよ、なんでも話して。






 俺はりうら……ううん、先生と別れてから夢を見る時がある。




『_ _くん…!好き!!!!』


『一緒に教師になろうね、約束だよ』




「っはッ…!?」


 また夢、同じ夢。以前も同じような夢を見た。でも目が覚めたときには目の前に居た彼が誰のことを言っているのかわからない。それなのに目の前に居るのは紛れもなく先生だから、でも俺が知っている先生とは違って全然若い。お前は誰の名を呼んでいるの?俺の好きなお前は一体どこの女の名を呼んでいるの?


 そう何度も苦しまされた。


 またある日にはさ



『_ _?_ _ _が他に好きな人ができたとき、どうする?』


『えー?俺、?笑 俺だったら………』


 またジリリって目覚まし時計が鳴る。俺の声だった、明らかに俺の声だった。俺はこんなこと言った記憶ないのになんで?俺はなんて答えたの?





 なんてクソみたいな夢で悩まされるなんて御免だから人生を辞めにしてしまいたい。そんな風に考えてたら気がついたここの海に来ていた。そしてそこには見覚えしかない、赤髪の恋人が居た。




L.side



「みたいな?笑」

「っ、そっ、か」


 なんで乾くんの夢に出てきちゃうの?前世の記憶だよね、乾くんは知らない俺とないくんの会話をなんで乾くんは夢の中で知っちゃうの?



『りうらには思い切り幸せになってほしいな』


 そういったのはないくんなのに、やっぱり無理だった。ないくんが居ないこの世界なんて何も楽しくなかった。

ないくんの生まれ変わりみたいな人も見つけたのにりうらが愛したのはないくんだった。俺は乾くんを愛せなかったりうらはないくんしか愛せなかった。


「一緒に、タヒぬ?笑」

「…先生は嫌じゃないの?」

「もう…なんかなんでもよくなっちゃった、」


 最期くらい俺のわがままに付き合ってほしい、俺が、りうらが愛してきた人たちには。タヒぬときも側に居てほしい。愛してきた人たちには。


「ふふっ、いいよ。一緒にタヒのっか。先生。」

「…っ、ごめんね。」


 そう言って俺達は手を握りしめ一歩一歩前へ足を出す。冷たい水が俺の足を冷やす。


 嗚呼、人間ってなんでこうも使い勝手悪いのだろう、寒さで足も腕も全てが震えている。


「先生、?怖い?」

「ちが…寒くて。」

「そっか…、怖いって思ってくれたらまだ引き返せたけど、本当にいいんだね。」

「いいの、りうらは俺のこと嫌いだから。」


 そう言って彼は強引に俺の体を引っ張っていく。やがて俺の胸元まで潮が押し寄せてきた。息がしづらくなっていくのをわかる。


 その時俺の身体がぎゅぅって締め付けられるのがわかる。


「だめ…タヒんじゃやだ…っ、」


 目の前に居たのは乾くんだった。先程のタヒんだ瞳ではなくハイライトが宿っている乾くんのようで乾くんじゃない誰か。

違う人格が宿っているのではないかと疑いたくなるほど逆の発想を押し付けてくる彼にはもうなんとも思わなくなってきてしまった。


「りうら…、俺だよ……ねぇ、…!やだ、やだやだッ…!!!!」

「ねぇ…やだよ…っ、生きて…俺の代わりも生きて…ッ、」


 はぁ、やだなぁ、目の前は乾くんのはずなのに口調も言っていることも全てないくんを連想させてくる。


「ないこだよ…ないこだからッ…やだ…本当にやだ…ないこのところ来ちゃだめだよ、りうら」

「ない、くん…?」

「そう、ないこだよ。りうらの彼氏のないこ。」


 本当に?本当のないくんなの?



 でもそんなのあり得るわけないのに、でも懐かしい温かさを感じる。



「ないくん……りうらタヒにたくない…っ」

「生きて…っ、」

「でも…でもッ、ないくんが居ないと楽しくない…」

「無人が居たじゃん…」


 違う、俺が愛したのは乾くんじゃないの。俺はどれだけ乾くんを愛そうと頑張っても頭に残ったのはないくんだったから。ないくんしか愛せないの。乾くんにも失礼じゃん。自分には存在しないはずなのに相手からは勝手に理想を押し付けられて、しかもそれで別れて…んで結局よりを戻そう?最低だし失礼。


「もう離さない、俺がずっとこのままりうらのこと愛すからッ…!!」


 なんでそんなにして止めてくるの?ないくんだってこんなところに取り残されるの嫌なんでしょ?天国行って幸せになってよ。

俺は…地獄かなぁ、浮気してるわけだし。


 でも俺は罪を償って生まれ変わりたいから、なぁ…笑


「本当だよ、無人だけどないこだよ…信じてッ…」

「なに、言ってるかわかんないし…笑」

「…ッ…、りうら…っ」


 はぁ、前へ進みたいのにないくんが邪魔だな。


「思い出した、思い出したの…!!!!!!!!」

「前世の記憶…にはなるけど思い出したの、心も全部ないこになった…戻ったの…」

「はぁ?ファンタジーなこと言わないでよ」


「っ、そう、だけど……でもそれでも本当だから…!!」



 やだよ、辞めてよ、そうやってまた俺だけが不幸になっていくのなんてもう嫌だよ。1回目も2回目も俺だけが不幸になっていく。


「…もう一回、もう一回俺にチャンスをください……っ、りうら…」

「………」


 ぱちんとモノクロだった世界に色がつくように心が揺らぐ。



 はぁ、本当りうらってチョロい男。


 そう考えたのと同時に彼に抱きついてた。





 次こそ、次こそは幸せにしてね。






 ”りうら”の大好きな”ないくん”。



end

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