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【プロローグ:目覚め】ドイツ、ミュンヘン。
重厚なカーテンが閉め切られた一室で、潔世一は意識を取り戻した。
ふかふかのベッド、嗅ぎ慣れない高級な香水の匂い。
そして、左足首に伝わる――冷たい金属の感触。
潔:
「……っ、ここ……どこだ……?」
潔:
「おい、誰かいないのか!? 練習はどうしたんだよ……俺は確か、バイエルン・ミュンヘンの施設にいたはずで……」
ガチャリ、と重々しい音を立てて扉が開く。
現れたのは、青い薔薇のタトゥーを首筋に刻んだ、この家の主。
カイザー:
「おはよう、俺の可愛い『世一』。よく眠れたか?」
潔:
「……カイザー!? なんでお前がここに……。っていうか、この足の鎖は何だよ!ふざけんな、今すぐ外せ!」
カイザー:
「ふざけてる? 心外だな。俺はいつだって真剣(マジ)だよ。お前をこの手に入れるために、どれだけの根回しをしたと思っている?」
カイザーは優雅な足取りでベッドに近づき、潔の隣に腰を下ろした。
逃げようとする潔の髪を、強引に指で掬い上げる。
カイザー:
「お前はもう、外の世界には存在しないことになっている。サッカー界からも、家族からも、友人からもな。」
潔:
「な……何を……言って……っ」
カイザー:
「お前のエゴは、俺という『王(キング)』だけが知っていればいい。お前のゴールも、その生意気な瞳も、全て俺が買い取ったんだ。……文字通り、一生分な。」
【中盤:折れない心と、甘い支配】
数日が過ぎた。
潔は何度も脱出を試みたが、窓は強化ガラス、扉は電子ロック。
そして何より、カイザーが与える食事が、触れる指先が、潔の精神を少しずつ削っていく。
カイザー:
「世一、食事の時間だ。今日は特別に、お前の好きだった和食を用意させたぞ。ほら、口を開けろ。」
潔:
「……食わねぇよ。お前の世話になんて、一生ならない……」
カイザー:
「ほう。なら、サッカーボールも必要ないな? 庭にある練習場、今日中に潰すとしようか。」
潔:
「っ! 待て……! それだけは……!」
カイザーは潔の弱点を知り尽くしていた。
サッカーを奪われることへの恐怖。それを利用し、潔を従わせていく。
カイザー:
「なら、食べろ。……いい子だ。お前は俺に従っていれば、最高の環境でサッカーができる。俺という世界一のパートナーと、死ぬまで、この箱庭の中でな。」
潔:
「お前……本当に、狂ってるよ……」
カイザー:
「ククッ、最高の褒め言葉だ。お前のその絶望に染まった顔、今まで見たどんなゴールよりも美しいよ。」
【クライマックス:逆転への執着?】
しかし、潔世一はただの「受け」ではない。
鎖に繋がれ、自由を奪われてなお、その瞳の奥にある「火」は消えていなかった。
潔:
(……まだだ。まだ終わってねぇ。俺は、こんなところで腐る器じゃない……)
潔:
「なぁ、カイザー。……お前、俺を閉じ込めて満足してんのか?」
カイザー:
「あ? 何が言いたい。」
潔は自ら、鎖の鳴る足を引きずり、カイザーの胸ぐらを掴み返した。
至近距離で、食い殺さんばかりの鋭い視線をぶつける。
潔:
「お前は俺に『愛』を語ってるつもりかもしれないけど、結局は俺が怖くて逃げただけだろ? フィールドで俺に喰われるのが怖くて、ここに閉じ込めたんだ。……そうだろ、クソ野郎。」
カイザー:
「…………っ!」
潔:
「いいぜ。この鎖も、この部屋も、全部お前の『敗北宣言』として受け取ってやる。……でもな、覚悟しとけよ。俺はここからでも、お前の人生をめちゃくちゃに食い尽くしてやるからな。」
潔の不敵な笑みに、カイザーの余裕が初めて崩れる。
愛する対象からの、宣戦布告。
カイザー:
「……ハハッ、これだからお前は……! あぁ、いい。やっぱりお前は、俺に飼われるだけの小鳥じゃない。俺を破滅させる『悪魔』だ……。」
カイザー:
「いいだろう、世一。どちらが先に壊れるか、この閉ざされた楽園で、じっくりと証明しようじゃないか。」