小ネタ 可愛い可愛い大事な弟
④…ruty
※小柳さんと剣持さんのif兄弟パロ(gta世界線)、剣持さんショタ
カプ要素はないし、とても短い
「ロウにぃ!」
「…は、?」
警察本署にて本来なら聞こえるはずのない高めの可愛らしい声が響く。声の主を見れば翡翠の瞳を持った5歳程度の少年がローレン署長に抱っこされていた。それは紛れもなく自分の弟で小柳含め、その場に居た多くの警察が困惑や動揺を隠せなかった。
元気よく小柳の名を呼んだ剣持は目一杯に手を伸ばし今にも小柳の元へ駆け出しそうだった。それを見かねたローレンが愉快そうに目を細めながら剣持を下ろしてやる。剣持の足が地面に着いたと同時に一直線に小柳の元へ走って行き、小さな体躯が思い切り小柳にぶつかる。
「ぐッ……」
「ロウにぃ!」
ぶつかった衝撃で2、3歩よろけたが、丁度後ろに立っていた副署長が支えてくれた。ぶつかってきた当の本人は嬉しそうに抱きついて離れない。仕方がないので抱っこしてやると楽しそうにきゃらきゃらと可愛い笑い声が聞こえた。
「…刀也、なんでここに?」
「ぁのねあのね!刀也ね!ローレンくんに連れて来てもらったんだよ!!ヘリに乗ってね!」
ふんふん、と興奮した様に瞳を輝かせて話す様子は大変可愛らしく周りの警察も頬や目尻を緩ませる。だがしかし、小柳が聞きたいのはそう言う事ではない。元々剣持はここから遠く離れた場所で両親と共に暮らしていた筈だが、今何故此処に居るのか。そこが聞きたかったのだが楽しそうにヘリに乗った話をしている様子を見るに聞き出すのには時間が掛かりそうだと小柳は眉を下げた。
「あ~…、それは俺から話すわ」
「ロレさん?」
ここまで黙って二人を見守ってたローレンが口を開いた。
「さっき無線で通報入ったから現場に行ったんだけど、そこで犯人から押収した荷物の中にその子が居たから多分連れ去られて来られたんだと思うよ」
周囲の温度が体感数度下がった様な気がした。よく見れば剣持の体には少ないながらも小さな傷ができていた。
「…今すぐその犯人ぶっ殺してきます」
「ロウきゅんめちゃ顔怖いよ」
思わず隣にいた赤城に止められる。今の小柳の顔を表現するなら般若よりも般若。酷く恐ろしい顔をしていた。思わず警察の数名は後ろは後ずさる程だった。
「ぶっ殺すも何ももう牢屋にぶちこんでるから大丈夫よ」
ローレンは本当に今から犯人を殺しに行きそうな小柳に苦笑しながら落ち着かせる。そして腕の中に居る状況がよくわかっていない剣持を見て、目線を合わせる様にかがみ込む。
「刀也くん、擦りむいてる所治療しに病院に行こうか」
「…またヘリ乗れるの?」
「んふ、乗りたい?」
「ん!乗りたぁい!!」
元気よく手を挙げて答える剣持にローレンは頬を緩ませる。軽く頭を撫でてやるとくふくふと嬉しそうに目を細めて笑うものだから可愛いな~、と剣持の綺麗な髪がくしゃくしゃになるまで撫でてやった。
「んじゃ、俺刀也くん病院連れてってくるわ」
「いいんすか」
「全然いいよ、俺も用事あったし」
「…あざっす、」
珍しく素直な部下が存外可愛かったのでついでにと弟と同じ様に頭を撫でてやった。しかしその手は悲しきかな、はたき落とされてしまった。
そんなこんなでローレンは剣持の手を引き病院まで送り届け、小柳は同僚から怒涛の質問攻めをくらった。
怒涛の質問攻めを何とか掻い潜り外へ逃げてきた頃にはもう既に夜が深くなり始めていた。小柳は両親にメールを送ろうと思い、携帯を開いた。幾ら自由気ままな狼だとは言え、未だ幼い末弟が急に姿を消せば気が気でないだろう。掻い摘んで事の発端を書き込み、送信すると直ぐに返信が来た。直ぐに迎えに行くのは無理そうだから数日預かって欲しいとの事だった。
小柳は頭を抱えた。可愛い弟が側に居ればそれはそれで癒される事は間違いないが、何如せん同僚が煩い。それに四六時中一緒に居てやれる訳でもない。大型犯罪が起これば其方に向かわざるおえないし、その時にまた誘拐でもされれば今度こそ自分は何をしでかすか分からない。
「…出来るだけ、一緒にいてやるか」
ぼそり、と小さく呟いた。赤子の頃からずっと大事にしてきた弟。年が離れている事もあり弟の一挙手一投足の全てが愛おしかった。だから、ずっと傷付かないで欲しいと願ってきた。それ程までに小柳は剣持を大事に思っている。
「ロウにぃ」
服の裾を引かれる。今日何度も呼ばれたこの世でたった一人しか呼ばない自分の愛称。大きな翡翠が此方をじっと見つめていた。吸い込まれそうな程綺麗で、鮮やかな目に思わず息を呑み見惚れてしまう。
じっと見つめていると剣持が若干寒そうに体を震えさせたのを小柳は見逃さなかった。このまま外にいれば確実に風邪を引くので一旦署の中に入らせる事を優先させる。
「刀也、寒いだろ署の中入ろうな」
「…ぅん」
ん、と両手を差し出される。今よりもっと小さい頃から変わらない抱っこしての合図。変わらないな~、と薄く笑いながらお望み通りに抱っこしてやる。自分の肩に剣持の頭を乗せる。ぽかぽかした子供特有の体温と、鼻腔を擽る甘い匂いに懐かしいと目尻を緩ませた。
きっと、もう剣持は眠い時間だろうからと背中を一定のリズムで叩きながら横に揺れ、寝かしつけの体制に入る。
「ぅんん”」
剣持が寝るのを嫌がる様に唸った。
「刀也?ねみぃなら寝てもいいぞ」
未だにぐずる剣持を見かねて声を掛けるもなかなか寝ようとしない。そんな剣持を不思議がっていると、半分夢の世界に旅立っている剣持から思いもよらない言葉が飛び出した。
「…ゃ、まだねないの、まだ…ろうにぃと、いっしょいるの」
頭をぐりぐりと小柳の肩に押し付ける。可愛らしい抵抗に思わず胸がときめく。自分の表情筋がだらしなく緩む感覚がした。
収まりの良い丸っこい剣持の頭を撫でながら、最近は忙しくてあまり実家に帰れていなかった事を思い出す。たまに両親から送られてくる弟の写真は心なしか寂しそうな気がしていた。
「ごめんな刀也、寂しかったよな」
自分でも驚く程優しい声色で剣持に声をかける。小柳の服を掴む剣持の手の力が強まった気がした。
「今日はもうバイバイだけど夢の中で遊ぼうな」
「…あさになっても、ろうにぃ…そばにいる?」
もうほとんど意識がなさそうな剣持は、ふにゃふにゃになりながらも言葉を紡ぐ。普段は聞き分けの良い弟の小さな我儘に当たり前だ、と言う代わりに強く抱きしめてやる。すると、安心した様に弱い力で抱きしめ返してきた。
「んふ、うれしぃねぇ、ろうにぃ」
とんとん、と背中を再度叩いてやると2分もしない内に安らかな寝息が聞こえてきた。後で署長に長めの休暇を申請しておこう、と小柳は強く思った。
「おやすみ、刀也」
何より大切な弟だから、一番大事な宝物だから、傷付かないで幸せになって欲しい。弟が生まれてからずっと願い続けてきた。小さく上下する剣持の背中をさすりながら感傷に浸る。
同僚からは柄にもないだ、何だ言われるかも知れないがそれでも良い。
「小柳~、そろそろ入らないと刀也くん風邪引くぞ~」
遠くにいる署長に注意され、それもそうだと急足で署内に戻る。まだ自分の家へ帰宅できないので比較的安全な所に剣持を置き、エクスが持ってきてくれていたブランケットをかける。剣持の表情が幸せそうに笑っている事に気がつき薄ら笑う。
「明日はいっぱい遊ぼうな」
可愛がる様に剣持の小さい鼻をかぷり、と甘噛みする。それを見ていた署員は全員微笑ましそうに笑ってた。
(後書き)
あです!!お久しぶりです!
gta見てからずっと書きたかったif兄弟パロです。あくまで思いつきネタなので拙いし、書きたいとこだけなのでよく分からなかったかもしれません!
コメント
2件
うわぁぁぁあ!!!!!もう最高っすね…久しぶりの主さんの投稿で元気出ました👍ありがとうございます!!