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山本麹は先ほどの婚活パーティの疲れを癒やす間もなく、会議室で途方に暮れていた。
「…五条先生、さすがにもう変装任務はご勘弁を…。」
五条は呑気に頷く。
「うんうん、大丈夫!今回は”ビジネスマン風”にしておいたから!」
七海建人が資料を机に置く。
「今回の作戦は、呪霊たちが集まる『呪霊就活説明会』への潜入だ。そこでは呪霊たちが様々な呪詛師組織や企業に”就職”を希望しているらしい。」
山本は頭を抱える。
「呪霊の就活ってなんなんだよ…!?」
五条は爽やかに笑う。
「いやぁ、呪霊たちも不安なんだよ。”このままでいいのか”って。やっぱり安定した環境で、人間を呪いたいんだろうね。」
山本は深いため息をついた。
「もう、やりますよ…どうせ逃げられないんでしょ。」
七海が静かに頷く。
「その通りだ。」
会場は、まるで普通の就活イベントのような空間。壁には「君の呪い、世界に広げよう!」「特級への道はここから」といったスローガンが貼られている。
スーツ姿の呪霊たちが静かに列を作り、企業ブースを巡っている。
山本はビジネススーツに身を包み、不自然に直立していた。
「呪霊ってこんな真面目にスーツ着るんだ…。」
五条が無線で指示する。
『よし、山本くん。企業説明を聞きながら、宿儺の指に関する情報を探れ!』
山本は呪霊企業ブースのひとつに向かった。
[企業ブース1:呪詛師カンパニー『闇呪』]
「弊社のモットーは”呪いは継続こそ力なり”です。」
スーツ姿の呪霊がプレゼンを続ける。
「弊社では、呪いの最適化やターゲットカスタマイズが可能!さらに、福利厚生として『毎年恒例・昇格セミナー』もあります。」
山本は営業スマイルを浮かべる。
「あ、あの…特級呪霊になれるのってどれくらい難しいんでしょうか?」
呪霊担当者は渋い顔をした。
「いやぁ…特級は狭き門ですねぇ。ですが、最近、宿儺様の指を手に入れた呪霊なんて即内定ですよ。」
(出た!手がかり!)
五条の声が無線から入る。
『いいねいいね、あと少し聞き出せ!』
山本は緊張しながら質問を続ける。
「そ、その呪霊さんはどちらに…?」
呪霊はニヤリと笑った。
「さあ、君が弊社にエントリーすれば、教えてあげられるかもしれないね?」
山本は膝が震えた。
(マジで就活生やるのかよ…)
[企業ブース2:呪霊スタートアップ『イノベーション呪詛』]
次に向かったのは、最近急成長中の呪霊スタートアップ企業だった。
「弊社は『呪いのDX(デジタルトランスフォーメーション)』 を進めています!」
壇上の呪霊が熱く語る。
「例えば、呪いの対象管理をAIで最適化し、さらにモバイルアプリで手軽に呪うことができます!」
山本は思わず突っ込んだ。
「呪霊もデジタル化する時代なんですね…」
壇上の呪霊は胸を張る。
「ええ、今は呪いも効率化の時代です!」
(いや、呪いに効率求めるなよ…)
説明が終わった後、山本は控えめに質問する。
「その…宿儺の指に関するプロジェクトとかもあるんですか?」
「実はね、弊社の技術で宿儺の指の力をクラウド化できないか検討してるんだ。」
山本は思わず叫ぶ。
「クラウド化!? そんなことされたら世界が終わりますよ!」
五条の無線から笑い声が響いた。
『いやぁ、最先端だねぇ。』
[最終イベント:呪霊グループディスカッション]
説明会の最後には、呪霊たちがグループで討論するGD(グループディスカッション)の時間が設けられた。
司会の呪霊が声を張る。
「お題はズバリ、『人間社会へのより良い呪いの浸透方法』です!」
山本はチーム呪霊たちに囲まれ、真面目な顔で議論に参加する。
「やっぱりSNSを活用した呪いの拡散が重要かと…。」
隣の呪霊が頷く。
「確かに、若者の間で呪いがブームになれば…。」
五条の声が入る。
『山本くん、楽しんでるねー。』
「もう嫌です…。」
[作戦成功!]
最後に、呪霊の一人が「宿儺の指を買った呪霊は呪詛企業『奈落インダストリー』に内定した」との情報を聞き出した。
山本は意気揚々と高専へ帰還する。
五条が迎えながら微笑む。
「山本くん、内定もらった?」
「もらうわけないでしょ!!!」