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夜の廟堂に1人。
9月だというのにまだ蒸し暑い夜の中。
屋根の上で酒盛りをするのがここのところの楽しみとなっていた。
「ん〜…。やっぱ、暑い夏に冷たい日本酒は最高だよねぇ…」
沼の手のひらに合うサイズの盃を持ちつぶやく。
綺麗で大きな月。その周りを囲う星々。
何処からか鳴いている虫たち。
こんな夜を独り占めできるなんて、なんて贅沢なのだろうか。
これも、俺が手足を手に入れたらか出来るようになったのだ。
前の手(?)では盃にグルグルに巻き付けて、バランスを取るのも精一杯ので、よく飲み物をこぼしていた。
その度にマリちゃんとシュミちゃんに笑われたなぁ…。なんて。
もう二度と行わないであろう、昔の出来事を思い出す。
「にしても、いつ涼しくなるのやら…
エネミー狩りもこの暑さだとたまったもんじゃないしさぁ〜」
はぁー。と深いため息を吐き、冷たい酒をくいっと喉に流し込む。
最後の一杯を飲みきり、屋根の上から飛び降りる。
飛び降りた目線の先では立派な大麻畑が広がっている。
「うーん。雰囲気のぶち壊し⭐︎」
人がこの廟堂に来てくれるのは嬉しいが、色々アウトなモノをここで栽培しないでほしい。
師匠に顔向けが出来ない。
しかし勝手に取ってしまったら、後であのヤク中に何されか分からない。最悪、ヤク漬けなんて…。
考えただけで身震いする。
そうなれば最悪、マリちゃんを売ろうと思う。
マリちゃんが自分に向かってそんな冗談はよせ!怒鳴ってくる様子を想像してみて、クスッと笑う。
そんなことを考え、心の中で唱える。 「マリちゃんごめんね。今度苺大福をあげるか… 」
そういえば今家の冷蔵庫には苺大福があったのだ。
酒の後に苺大福とは…。あまり合わないがするが、本人は気にしていない。
上機嫌に鼻歌を歌って足早に廟堂の中に入っていった。
「あー!!こんな日がずぅーーと!続けば良いなぁ!!」
大きな月を見上げながら、そう、叫んだ。
自分の体内にある “違和感” を誤魔化すように。